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背後で放たれる750psの脅威 ランボルギーニ・ムルシエラゴ アヴェンタドール 歴代4モデルを比較する(3)

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背後で放たれる750psの脅威 ランボルギーニ・ムルシエラゴ アヴェンタドール 歴代4モデルを比較する(3)

興奮を呼び起こすNA V12サウンド

V型12気筒エンジンの回転数が高まると、熱烈な咆哮が放たれる。ランボルギーニ・ムルシエラゴの車内で聞くサウンドは、鋭敏で正確なステアリングの反応と完全に一致。興奮を呼び起こす。

【画像】運転したい衝動へ駆られる カウンタックからアヴェンタドールまで 最新レヴエルトも 全152枚

ボディは強固で、シャシーは安定。コーナーの隆起部分を、即座になだめる。アクセルペダルを急激に倒さない限り、トラクション・コントロールの警告灯は点滅しない。

手のひらへ伝わるフィードバックは、従来より少ない。しかし、鮮明に反応するドライブトレインとステアリング、グリップ力の圧倒的なバランスによって、ムルシエラゴは今回の4台では最もスポーツカー度が濃いスーパーカーだ。

起源を1960年代とする、ジョット・ビッザリーニ氏の設計がベースのV12エンジンは、アップデートの限界だと考えられていた。しかし、ランボルギーニの技術者は高性能なムルシエラゴを求めて、改良を加え続けた。

2006年にLP640-4が登場。フェイスリフトとともに、最高出力640psを達成している。今回のライトブルーのムルシエラゴも、その1台だ。

2009年には、LP670-4 SVへ進化。エアインテークは大型化され、カーボン・トリムとリアウイングで武装し、モデルの最後を彩った。

ムルシエラゴは、同社へ前例のない成功を与えた。2002年の価格は、フェラーリ575M マラネロと同等でありつつ、生産開始からの1年で424台もラインオフしている。

2003年には、ジュニア・ランボルギーニとしてガヤルドもリリース。年間数1000台というペースで、スーパーカーを提供することが日常となった。

ボディ全体に展開される六角形

21世紀に入ると、新興市場が台頭。ムルシエラゴの10年後に、ランボルギーニは新しい後継モデルを提供できる資金を稼いだ。方向性も明確で、歴代で最もワイルドでシャープ、ハンサムなモデルを創出することが目標とされた。

スタイリングを担当したのは、ドンカーヴォルケの後任となるデザイナー、フィリッポ・ペリーニ氏。2007年のランボルギーニ・レヴェントンと、2010年のセスト・エレメントを描き出した人物だった。

いずれも、デザインのインスピレーションとなったのは戦闘機。アヴェンタドールもそれに準じたが、歴代モデルの特徴も盛り込まれた。

ボディ全体に、六角形が展開される。ウェッジシェイプのシルエットは伝統通りだが、アグレッシブさは前例がないほどだろう。

シャシーは、先代までのスチール製スペースフレームから、新設計のカーボン製モノコックへ一新。アルミ製のサブフレームが前後に備わり、ウイッシュボーン・サスペンションとプッシュロッド式のコイルオーバー・ダンパーが組まれた。

V12エンジンは、過去の影響を残しつつ、基本的に再設計。バンク角は60度が保たれ、排気量もムルシエラゴと同じ6498ccではあったが、シリンダーはオーバースクエア。88x89mmのボア・ストロークから、95x76.4mmへ更新された。

その結果、最高出力は700psへ上昇。レブリミットは8500rpmに設定された。

ムルシエラゴにも載った、セミ・オートマティックはアヴェンタドールも継承。他ブランドのダブルクラッチ式ではなく、シングルクラッチ式が選ばれている。

ドライバーの背後で開放される750psの脅威

アヴェンタドールの英国での価格は、オプション抜きで24万2000ポンドから。多くの利益が得られる設定だった。

販売は順調に伸び、キャンセル待ちのリストは増え続けた。早期の割り当てを切望する
ディーラーは、ガヤルドを2台納車することを条件に順番が繰り上げられたという。

需要に合わせて、生産体制も拡大。2013年以降は、年間1000台以上のアヴェンタドールの供給を可能としている。

生産は2022年に終え、フラッグシップの座はレヴエルトへ譲ったとはいえ、その存在感は揺るぎない。シャープなシザーズドアを開けば、ジェット戦闘機を彷彿とさせるインテリアが広がる。

圧倒的な速さであることを、今回のアヴェンタドール LP750-4 SVでは一層印象づける。アルカンターラとカーボンファイバーで内装は仕立てられ、深いバケットシートが標準。ウイングやディフューザーと同じくらい、容赦ない。

ミサイル発射ボタンのように、赤いカバーを持ち上げて、センターコンソール上のエンジンスターター・ボタンを押す。少し大げさにも思えるが、ドライバーの背後で開放されるV12エンジンの750psという脅威を知れば、必要な手順に思えてくる。

電動アシストが備わり、ステアリングホイールは軽く回せる。低速域では、ワイドなフロントタイヤが路面で揉まれる様子が伝わる。優しくアクセルペダルを傾けていると、シングルクラッチのセミATがぎこちなく次のギアを選ぶ。

ひと握りの人を魅了してやまない蒸留と熟成

通常のアヴェンタドールよりシリアスであることが、共鳴するロードノイズの大きさでわかる。タイヤが蹴飛ばした小石がシャシーへ当たる音も、パラパラと良く聞こえる。

右足へ力を込めると、間髪入れずに回転数が急上昇。同時に猛烈な加速が始まる。その直後、メーターパネルのモニターが点滅し、次のギアを選ぶよう警告される。

ステアリングホイール奥のパドルを引くと、お尻を叩くような衝撃とともにシフトアップ。周囲を置き去りにする勢いで、再び速度が上昇し出す。

ブレーキペダルやステアリングホイールへ伝わるフィードバックには、それ以前のモデルのような繊細さはない。SVに備わるマグネティック・ダンパーも、しなやかとはいいにくいだろう。

それでも、高速コーナーで貪欲にパワーを展開すれば、ランボルギーニらしい喜びが待っている。まさにモンスター級のスーパーカーだ。

ランボルギーニは、アヴェンタドールのアグレッシブ度を追求するべく、780psのSVJ LP770-4を2018年に投入した。2021年には、最終モデルとしてLP780-4 アルティマエをリリース。究極形で、純粋なV12エンジンの終止符を打った。

同社を創業したフェルッチオ・ランボルギーニ氏の哲学は、間口を広げる進化を重ねつつ、熱狂的なパフォーマンスで許されたひと握りの人を魅了してやまない。シザーズドアとウェッジシェイプを守り、類まれな蒸留と熟成が重ねられてきたといえる。

カウンタックからアヴェンタドールまで 4台のスペック

ランボルギーニ・カウンタック 5000S(1974~1990年/英国仕様)

英国価格:5万4000ポンド(新車時)/60万ポンド(約1億860万円)以下(現在)
生産数:1983台(合計)
全長:4140mm
全幅:2000mm
全高:1070mm
最高速度:264km/h
0-97km/h加速:5.6秒
燃費:5.2km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1321kg
パワートレイン:V型12気筒4754cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:380ps/7000rpm
最大トルク:41.6kg-m/4500rpm
トランスミッション:5速マニュアル(後輪駆動)

ランボルギーニ・ディアブロ(1990~2001年/英国仕様)

英国価格:15万2614ポンド(新車時)/25万ポンド(約4525万円)以下(現在)
生産数:2884台(合計)
全長:4503mm
全幅:2059mm
全高:1115mm
最高速度:325km/h
0-97km/h加速:5.1秒
燃費:4.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1642kg
パワートレイン:V型12気筒5707cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:499ps/7000rpm
最大トルク:59.0kg-m/4500rpm
トランスミッション:5速マニュアル(後輪駆動)

ランボルギーニ・ムルシエラゴ(2001~2010年/英国仕様)

英国価格:16万3000ポンド(新車時)/25万ポンド(約4525万円)以下(現在)
生産数:4099台(合計)
全長:4580mm
全幅:2045mm
全高:1135mm
最高速度:331km/h
0-97km/h加速:4.0秒
燃費:4.2km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1650kg
パワートレイン:V型12気筒6192cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:579ps/7500rpm
最大トルク:66.1kg-m/5400rpm
トランスミッション:6速マニュアル(四輪駆動)

ランボルギーニ・アヴェンタドール LP750-4 SV(2011~2022年/英国仕様)

英国価格:32万1743ポンド(新車時)/30万ポンド(約5430万円)以下(現在)
生産数:1万1465台(合計)
全長:4835mm
全幅:2030mm
全高:1136mm
最高速度:349km/h
0-97km/h加速:2.9秒
燃費:5.8km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1525kg
パワートレイン:V型12気筒6498cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:750ps/8400rpm
最大トルク:70.2kg-m/5500rpm
トランスミッション:7速セミ・オートマティック(四輪駆動)

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みんなのコメント

1件
  • 菅原真実
    「車内で聞くサウンドは、鋭敏で正確なステアリングの反応と完全に一致」

    この書き出しの時点で読む気なくすわ。
    サウンドとステアリングの反応が完全に一致?
    サウンドってパワステのメカニカルノイズのこと?笑

    車好きが読む記事はちゃんと車好きに書いてもらいたいものですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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