スペアタイヤが「自然バースト」?
衝撃的な光景である。
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画像のとおり、スペアタイヤがトランクの中で破裂している。
いずれも7月上旬、フェイスブックのコミュニティ「We Love Alfaromeo 916」に投稿された写真だ。
実はこちらのグループは筆者もメンバーになっている。
1998年春に初度登録した1997年製造のアルファ・ロメオ・アルファスパイダーを所有して25年目、オドメーターは26.8万kmを刻んでいる。
最初、この写真見たときあまりにも強烈なビジュアルで驚いたのだが、実はアルファスパイダー(916系)ではめずらしいことではないそうだ。
まずはこれらの破裂したスペアタイヤのオーナー2人に状況を聞いてみた。
神奈川県在住Hさん 2021年から2002年型V6 3.0GTV所有
「スパイダーのトランクを開けたらこんなことになってました」
「スペアタイヤが破裂していてワイヤーが飛び出し、カバーも引き裂かれた状態でした。タイヤの経年劣化とこの暑さが原因だと思います」
「初めてのことでびっくりしました。スペアタイヤは新車から20年間交換されていなかったと思います。さすがに今年の暑さには耐えきれなかったのでしょうね」
「まあ、トランクが広くなって良かったと思います。そして破裂したのが走行中でなくて良かったです」
鹿児島県在住Yさん 2015年から1997年型GTV 2.0TB所有
「916のタイヤ(スペアじゃないほう)がつい最近パンクしたのでスペアタイヤの出番か! と思ってトランクを開けたらバースト寸前の状態になっていて驚きました」
「スペアを新品に交換することなくこのままの状態でおろしました。JAFや損保のロードサービスも充実してきていますから、スペアタイヤは不要かなと思います。トランク広くなりましたよ~」
余談だが2人とも激レアな経験をしながらも、「トランクが広くなった」と喜んで? いるわけだが、これは筆者も同じクルマに乗っているのでよくわかる。
筆者も15年以上前にスペアタイヤをおろしてからトランクが広くなって本当に助かっている。
実はめずらしいことではない?
2人のスペアタイヤがバーストしていたことに気づいたのは今年6月末~7月上旬のこと。
観測史上最も早い梅雨明けとなった直後の、あの猛暑の日々である。
アルファ・ロメオの専門店でとくに916系(アルファスパイダー)オーナーから絶大な信頼を得ている有限会社ALFA・DEPOT代表の坂野隆之さんに事情を聞いてみたところ、なんと「真夏の916あるあるですね」とのこと。
「アルファスパイダー(916系)のスペアタイヤの自然バーストが見受けられるようになったのは10年位前からです」
「新車から15年以上経過するとスペアタイヤも劣化するのでしょう。今年も7月上旬の時点ですでに3件、同様のケースが発生しておりスペアタイヤを交換しました」
「アルファスパイダー(916系)のスペアタイヤは狭いトランクルームの中に縦向きに取りつけてありますから、トランクルーム床下に収納する一般的なクルマに比べて熱の影響を受けやすいのではないでしょうか?」
「なお、アルファスパイダー(916系)は2003年の最終型からスペアタイヤはなくなりパンク修理セットが搭載されるようになりました」
「アルファ・ロメオ159やジュリエッタはスペアタイヤ搭載していますがこのようなことは起きていません」
「スペアタイヤの空気圧は自然に下がってしまいますから当社では車検入庫時には必ずチェックします。空気圧は4キロくらい入れています」
「大概のクルマは規定値より下がってますので、定期的に確認しておかないといざ使う時に空気圧が低くて使い物にならないということも有りますので要注意ですね」
「スペアタイヤの経年劣化は予防のしようがありませんから定期的に状態のチェックをしておくのと、あまりに古くなったら交換しておく必要もありますね。おろしてしまうのであればパンク修理セットは積んでおいたほうがいいでしょう」
クロカン4×4でも起こってる?
調べてみたところ、アルファスパイダー(916系)以外にもスペアタイヤが知らないうちにバーストしていた(=自然バースト)例がいくつか見つかった。
それらに共通することは
・発生が暑い時期に集中している
・後部ドアに背負うタイプのスペアタイヤで発生している
・10年以上交換していない劣化したスペアタイヤである場合が多い
などなど。
劣化したスペアタイヤを背負う、三菱パジェロに代表されるSUVでも自然バーストが発生している例があるようだ。
アルファスパイダー(916系)の場合は運転席のすぐ後ろにスペアタイヤが位置しているため、走行中に破裂すると凄まじい破裂音で気づくことになるだろうが、SUVでは気づかない場合もありそうだ。
周囲の交通に影響を与える危険もあるので、後部ドアに古いスペアタイヤを積んでいる場合は要注意である。
自然バースト なぜ発生?
ところで通常のタイヤバーストは、走行中、路上の障害物にタイヤをぶつけることや、空気圧不足で高速道路を走っている場合に起こりやすいが、暑さと劣化を理由とした「自然バースト」はどのような経緯で発生するのか?
熱とタイヤの劣化がどのように関わってバーストするのか?
株式会社ブリヂストン技術スポークスパーソン川本伸司氏に話を聞いた。
「熱によって(タイヤ内の空気が)膨張し破裂するという現象ではないと考えます」
「タイヤはゴムとコードによって1気圧以上の空気をタイヤの中で保持し機能を発揮する工業製品です。経年での環境負荷(今回の場合はとくに熱だと推測します)によりゴムやコードが劣化し、タイヤ内の空気を保持できなくなり故障した事例だと推測します」
「タイヤの長期使用可否に関しては、お客さまの日常点検に加え、たとえ走行していなくても、使用開始後5年以上経過したタイヤについては、継続使用に適しているかどうかタイヤ販売店などでの点検を受けられることをおすすめしています」
「溝が残っていて外観上使用可能なように見えたとしても、製造後10年経過したタイヤ(含むスペアタイヤ)は新しいタイヤに交換されることをおすすめしています。JATMAのウェブサイトにも記載があります」
「ノーマルタイを車両に装着した状態でこのような熱と劣化による自然バーストがあるか? については、日常の使用条件では、適切な点検と空気圧管理がおこなわれたタイヤの場合、走行入力が小さいこと、走行することでタイヤに風が当たることなどからバーストするほど熱が蓄積することは考えづらいこともあり、熱によってバーストする故障はお聞きしたことがございません」
「とはいえ故障は個別事案ですので、まったく発生が無いとはいいかねます。空気圧が低いまま走行したタイヤでは、発熱を伴うので、その結果、熱でのバーストに至るケースはございます」
「SUVなどで車両の背面にカバーもせず、装着されているタイヤがありますが、直射日光を受け背面にあるため風があたりにくく熱などの経年劣化で故障したケースはお聞きしたことがございます」
結論としては、アルファ・ロメオ・アルファスパイダー(916系)は狭いトランク内に「タテ置き」して搭載してあり熱がこもりやすく熱による劣化が大きい。
一方、タイヤむき出しで背面に搭載してあるスペアタイヤは紫外線の影響を受けやすく劣化が進みやすい。
そして背面にあるため走行風による冷却もあまり期待できない。
タイヤを構成している内部のパーツが熱によって劣化し、空気圧が高めのスペアタイヤを支えきれずにバーストするという経緯になる。
通常では考えられない「自然バースト」がおこる危険性が高まるというわけだ。
対象のクルマに乗っている人はどうかお気を付けて。
とくにアルファスパイダー(916系)の場合、走行中にバーストするとトンデモなく大きな音がするとのこと。
スペアタイヤはおろしてパンク修理剤を積んでおく方が賢明といえそうだ。
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みんなのコメント
年一点検と10年周期で交換する方が良いと思う。