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ダイハツのフラッグシップだったのになぜ消えた? あなたは「シャルマン」を知っているか?

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ダイハツのフラッグシップだったのになぜ消えた? あなたは「シャルマン」を知っているか?

 軽自動車や小型車で知られるダイハツのフラッグシップモデルとして現在ラインナップされている「アルティス」。このモデルはトヨタ カムリのOEMモデルであり、カムリと共に2023年12月での終売がすでにアナウンスされている。

 このアルティス、ダイハツ関係者くらいしか購入しているユーザーはいないのでは? と思えるほどレアなモデルとなっているが、その歴史は意外と古く現行型でなんと5代目となっている。

ダイハツのフラッグシップだったのになぜ消えた? あなたは「シャルマン」を知っているか?

 そんなアルティスの前身のダイハツフラッグシップモデルとして存在していたセダン「シャルマン」を知っている人はどのくらいいるだろうか?

文/小鮒康一、写真/DAIHATSU、ベストカー編集部

■軽自動車やコンパクトカーから上級移行するユーザーの受け皿として登場

1974年登場のダイハツ シャルマン。4灯ヘッドライトで高級感を演出

 1974年11月に登場したシャルマンは、当時の同車の軽自動車であったフェローMAXやコンパクトカーのコンソルテからもう少し大きなクルマに乗り換えたいというユーザーに向けて生まれたモデルだ。

 当時のダイハツにはコンソルテ以上の乗用車はラインナップしておらず、上級移行を考えるユーザーは他メーカーに乗り換えざるを得なかったためにみすみすユーザーを手放すことになっており、早急に上級車種を用意する必要があった。

 そのためシャルマンはゼロから新規開発されたモデルではなく、当時提携関係にあったトヨタからプラットフォームやエンジンなどの供給を受けて作られたモデルとなっていたのだ。

 そのベースとなったのは言わずと知れた大衆車のベストセラーモデルであったカローラだったが、シャルマンが登場した1974年の4月にフルモデルチェンジを果たした3代目カローラではなく、旧型の2代目カローラがベースとなっていた。

 そのため新型車でありながら旧型ベースという不利なスタートとはなっていたが、エクステリアデザインはダイハツ独自のものとなっており、フロントマスクには当時の同クラスの車種としては唯一の4灯ヘッドライトを採用するなど高級感を打ち出していた。

 搭載エンジンはトヨタ製の1.2Lと1.4Lの2種類が用意され、グレード体系もエントリーグレードに相当するスタンダードモデルは用意されず、ハイカスタム/カスタム/デラックスの3グレードとするなど、カローラとの差別化はしっかりなされていたのだった。

 また5ドアボディを持つライトバンもラインナップし、ビジネスユースのユーザーを取り込むことができたのも、ダイハツにとってはプラスに作用したと言えるだろう。

 なお初代シャルマンは1976年11月に51年排出ガス規制に適合するとともにフェイスリフトを実施。1978年3月には1.2Lを1.3Lに、1.4Lを1.6Lに変更するとともに53年規制適合を果たし、再びマイナーチェンジを実施。その後1981年10月に2代目にバトンタッチするまで販売が続けられた。

■2代目は念願の現行型がベースに

1981年登場の2代目ダイハツ シャルマン。4代目カローラがベースだが内外装のデザインはダイハツオリジナル

 1981年10月に2代目となったシャルマンだが、新型も引き続きカローラのプラットフォームをベースとしていた。ただ2代目シャルマンは旧型カローラではなく、当時現行型となっていた4代目カローラがベースとなっていた。

 エンジンやプラットフォーム、足回りなどは引き続きトヨタから供給を受けていたが、内外装のデザインはダイハツオリジナルのものとなっており、カローラとは全く異なる6ライトのスタイルなど、引き続き上級感溢れる仕立てとなっていたのが特徴だ。

 2代目アルティスには最上級グレードとして「アルティア」なるグレードが設定されていたが、1983年8月のマイナーチェンジでは最上級グレードを「アルティアL」へと改める。

 それとともに、パワーウィンドウや電磁式ロック、オートアンテナ、ブロンズガラス、リアセンターアームレスト、ステップランプ、クールボックスなど、当時ではもっと上級な車種に備わる装備を用意してフラッグシップモデルらしさをアピールしていた。

 ベースとなったカローラは1983年にフルモデルチェンジを実施して前輪駆動レイアウトに一新されたが、シャルマンは販売を継続。しかし、4代目カローラをベースに生産・販売が続けられていたカローラワゴン/バンが1987年に終売となると、シャルマンも姿を消すことになった。

 結局シャルマンは2世代を持って姿を消すこととなったが、1989年にはその後継車種としてアプローズが登場。

 こちらは当時のバブル景気の影響もあって完全にダイハツオリジナルのモデルとなり、意欲的なスーパーリッドなどを採用していたが、デビュー直後にリコールが立て続けに起こったことやバブル崩壊もあって販売は軌道に乗せることができず、かといって終売するわけにもいかずに2000年まで販売を継続。

 その後は冒頭で紹介したように、カムリのOEMモデルであるアルティスにバトンタッチして、ダイハツオリジナルのフラッグシップモデルは姿を消すこととなっている。

*   *   *

 現在、トヨタの子会社となったダイハツは、トヨタグループの軽自動車やコンパクトカーを担うメーカーとして重要なポジションを担うようになっている。

 そのため、自社開発のフラッグシップモデルが再び登場する可能性は低そうだが、今のダイハツが作るフラッグシップモデルがどんなものになるのかは、見てみたい気もするところだ。

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みんなのコメント

23件
  • aro********
    約40年前、ダイハツの元営業マンでした。子供の頃、小川知子さんのCMで車名だけは知っていました。会社の駐車場にも得体の知れないセダン車がシャルマンで役職でいえば課長級の人たちだけが乗っていました。ミラ、シャレードが売れ筋だったので、私自身は1台も売る事は無かった車でした。会社的にも全く無視されていたように思いますし、軽自動車とコンパクトカーだけ売っていれば良かったように思います。上司のシャルマンを運転した事があるんですが、可もなく不可もなくの全く特徴のない普通の車でしたね。ミラ、シャレードが良く出来た車でしたからセダンまで手が回らなかったかもしれません。社長のシャルマンだけホワイト。以下はゴールドメタリック、シルバーなどが多かったように思います。赤のシャルマンを乗っていたKさん元気かな?あれから40年近く経ちますね。
  • よっしー
    親父が乗ってました。シルバーでしたが天井の塗装が剥がれてきて、自分が塗りました。家の前に停めて掃除していたら、たまたま通りかかったダイハツのメカニックの方が、「故障ですか?」と聞いてくださいました。ダイハツの社員は親切だと感じた出来事でした。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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