2014年に登場した4代目デミオ(マツダ2)は登場から9年を経過しようとしているが、いまだにクルマ好きからの熱い支持を受けている。クルマ好きの琴線に触れる部分はどこなのか、元オーナーが語る!
文/永田恵一、写真/ベストカーWeb編集部、マツダ
やっぱりコンパクトカー最強!? 登場から9年も進化中!! 旧デミオが愛されるのはなぜだ
■クルマを好きな人が所有するマツダ2
小気味いい走りでクルマ好きを魅了し続けている4代目デミオ(マツダ2)。その魅力はいったいどこにあるのか?
最近、BC Web編集部のW氏が某自動車部品メーカー役員2人と会食した際、マイカーの話になったという。クルマを複数所有する役員A氏のマイカーの1台はデミオディーゼルのMT(現在の車名はマツダ2)とのことで、「とても気に入っている」と言い、役員B氏の奥さんもデミオディーゼルに乗っているという。
つまり、マツダ2&デミオはクルマをよく知った人が長年乗り替えないほど、クルマ好きにも愛されるクルマということである。それは登場から9年が経った今も月平均2000台が売れていることが証明している。
前述のような話を聞いたのもあり、ここでは「マツダ2&デミオがクルマ好きからも愛される理由」を、35歳だった登場直後に役員A氏と同じデミオディーゼルを生涯初の新車として買った筆者が、同モデルの辿った軌跡を振り返りながら考えてみた。
■マツダ2&デミオが歩んできた軌跡
2014年に35歳当時の筆者が新車で購入した4代目デミオの1.5LクリーンディーゼルXDツーリング
2014年9月に登場したマツダ2の前身となる4代目デミオのコンパクトカーとしてのポジションは、ヤリスやスイフト同様の「リアシートやラゲッジスペースは重視しない、前席優先となるド真ん中のコンパクトカー」である。
そして、クルマ自体のコンセプトは「“クルマの価値はボディサイズに比例する”という既成概念を打ち破る」だった。
具体的には、当時マツダが強く提唱していた「クルマ全体で楽しい走りと低燃費を両立する」というコンセプトで開発したSKYACTIVアーキテクチャのコンパクトカー用を採用。その目玉はディーゼルエンジンとしては世界最小クラスとなる1.5Lディーゼルターボの搭載だった。
また、後述するように4代目デミオ&マツダ2は内外装にも力が入っており、この点でも注目された。
4代目デミオ&マツダ2はマツダ車らしく改良も毎年のように行われ、大きなものとしては次のように実施されてきた。
2015年9月、当時ガソリン車の標準グレードは1.3LNAだったが、1.5LNAを搭載するモータースポーツベース車という位置づけになるスポーツモデルの15MBを追加。2018年8月には標準モデルとなるガソリン車の排気量を1.3Lから1.5Lに拡大。2019年7月、改良と同時に車名をデミオからマツダ2に変更。
マツダ2のBD。ポップなカラーが印象的でファッショナブルなエクステリアとなっている
さらに2023年1月のビッグマイナーチェンジでは、機能面はさほど変わっていないが、グリルを中心にエクステリアを変更。グレード体系も見直され、特にこの時に追加されたBDはインテリアカラー3色、ルーフカラー3色が選べるなどファッショナブルなものとなっている。
このビッグマイチェンでマツダ2は登場からの時間が経っているのもあり、登場時よりカジュアルなコンパクトカーとなった印象だ。
■4代目デミオ&マツダ2はなぜクルマ好きに愛されるのか?
4代目デミオの搭載する1.5LクリーンディーゼルのSKYACTIV-Dエンジン。最高出力は105psながら1.5Lディーゼルで25.5kgmの最大トルクを発揮した
その理由を主にモデルが新しかった頃に強く感じたこと≒筆者が4代目デミオを買った理由(つまり登場からの9年間で変わったところもある)と重ねながら考えてみると、次のような理由があると思う。
まずは1.5Lディーゼルターボの存在。筆者は4代目デミオが登場する前からあったマツダの2.2リッターディーゼルターボの動力性能と燃費のバランスに加え、特に3代目アテンザ(現マツダ6)と3代目アクセラ(現マツダ3)に設定されていたMTの、表情豊かなエンジンを自分の手でより楽しめる点に惚れ込んでいた。
しかし、アテンザとアクセラの2.2Lディーゼルターボ+MTは300万円オーバーと当時の筆者には買えないクルマだった。そこに登場したデミオディーゼルはMTもあるうえに、価格は筆者にも手が届く200万円程度ということで、飛びついた。
デミオディーゼルは2.2Lディーゼルターボのような迫力こそないが、特に実用域では充分パワフルで、いい意味でのディーゼルらしいエンジンのフィーリングも楽しめた。さらに燃費は20~25km/Lと素晴らしいうえに、軽油のため燃料代は高速道路がそれまで以上に高く感じるほど激安と、大満足していた。
つまり、デミオディーゼルはいまだハイブリッドのコンパクトカーに対抗できる面もあるほどで、ディーゼルターボの4代目デミオ&マツダ2オーナーは小排気量ディーゼルターボへの応援も含め、満足度は高いのではないだろう。
ただ、逆に考えれば4代目デミオ&マツダ2のガソリン車はパワートレーンという面ではそれほど目立たないのも事実だ。また、同時にマツダ2になった頃からディーゼルターボの存在感が薄れてきているのも元オーナーとしては寂しいところだ。
■コンパクトクラスのなかでは高い内外装の質感と安全装備の充実度
マツダ2のインパネ。その質感は現在のコンパクトモデルのなかでもいまだに一線級といえる上質感をキープしている
2番目に挙げたいのが内外装の質感。4代目デミオ&マツダ2のエクステリアは、特にボディが登場時のイメージカラーだった赤だと、いまだにコンパクトカーとしては強い存在感を覚える。
さらにインテリアは筆者のデミオディーゼルはXDツーリングという上から2番目のグレードだったが、素のグレードでもダッシュボードやシートをはじめとしたインテリアの質感は全体的にコンパクトカーのなかでは上位で、この点は4代目デミオ&マツダ2が持つ大きな魅力だろう。
最後に安全装備が充実していること。4代目デミオ&マツダ2は初期モデルから、自動ブレーキは当時のコンパクトカーとしては標準的な30km/h以下でクルマなどの物体にだけ対応するレーザータイプを設定。
また、個人的には事故防止に頻度という意味では最も役立つものだと思っている、斜め後方を検知するブラインドスポットモニタリングを設定しており、筆者もオプションで装着した。
さらに改良により4代目デミオ&マツダ2の自動ブレーキは現在でも十二分な性能を持つものとなっているほか、先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールの採用もコンパクトカーとしては早かった。
このあたりから筆者は自分のデミオにコンパクトカーながらオーラのようなものを感じており、4代目デミオ&マツダ2のユーザーには筆者に近い満足感を得ているのではないだろうか。
それだけに競合車のコンパクトカーの進歩もあるにせよ、色褪せない魅力も多い。マツダ2はモデルそのものに興味があり、価格が納得できれば現在でも買っていいクルマと言え、それが今も月平均2000台が売れている理由なのだろう。
■次期型モデルが存在しない?
貴重なマツダのコンパクトモデルであるマツダ2。次期型は開発されていないという説が濃厚だが……
登場から9年が経っても頑張っているマツダ2だが、心配なのが現行モデルで最後になるという噂だ。
現在、マツダにあるプラットホームなどを見ると、それもわからなくはないが、デミオ&マツダ2は新車販売の大きな母体となる保有台数が多い。それに加え、コンパクトカーはいろいろな意味でエントリーカーとしても大事な存在だけに、何とか継続してほしいところである。
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