現在は群雄割拠のSUV戦国時代だ。しかし20年ほど時を戻すと、5ナンバーコンパクトカーの熾烈な戦いがあった。今回は各メーカーがコンパクトカーに最も力を入れていた2004年頃を振り返り、今でも乗りたい1台を探していきたい。
文/佐々木 亘、写真/ベストカーWeb編集部
今やヤリスの独り勝ち!! でもでも20年前はコンパクトカー激アツだった!! 今こそ中古でどうよ!?
■全長4m以下!ミニマム系コンパクトが熱い!
フルモデルチェンジしたスイフト、あまりにも未来すぎる
今やアクアもノートもMAZDA2(旧デミオ)も、全長4mを越える車種となった。コンパクトカーの肥大化は、今後もますます進んでいきそうだ。
しかし、時間を20年ほど巻き戻すと、全長4m以下に収まるクルマが驚くほど多い。当時の自動車メーカーが、最も力を入れていたカテゴリーの一つに挙げられる。
ヴィッツ・マーチ・フィットを筆頭に、デミオ・スイフト・コルトが追う展開。トヨタはさらに小さなパッソを導入し、SUVの雰囲気漂うイストを登場させている。
日産はマーチの上にノートを用意。マツダはプレミアムコンパクトを意識したベリーサを展開していた。
10台もの名作コンパクトがひしめく中で、今でも乗りたくなるのはスイフト(ZC型)だ。2004年デビューの2代目スイフトは、現行型まで引き継がれる走りのコンパクトカーを体現した元祖でもある。
スイスポのMTもいいが、1.3LのMTモデルがとても楽しい。今なら支払総額40万円以下で、意のままに動くスイフトが手に入ってしまう。
販売台数ではフィットやヴィッツに劣るものの、その実力はライバルと比べても頭一つ抜けている。
■ファミリーユースもOKなBOX系コンパクトもブームに
ミニバンの人気が優勢だった当時は、コンパクトカーにもミニバンテイストを入れるのが流行した。室内スペースを大きく作り、居住性や実用性を大きく引き上げている。
現在大人気のシエンタの始祖となるファンカーゴ、さらにはフリードの原型となるモビリオなど、魅力的なクルマが並ぶ。
一方で、個性派も充実しているのが、当時のこのカテゴリー。片側に大型スライドドアを持つポルテ、ユニバーサルデザインのラウム。
四角いクルマの代名詞とも言えるキューブやbBもこの時代のクルマだ。新時代を先取りしたWiLL CYPHAもいた。
実力派ぞろいのBOX系コンパクトでは、ラウム(NCZ型)の存在が今も輝く。立体駐車場に入る全高1,545mmを保ちながら、ミニバンとステーションワゴンのいいとこ取りをしているクルマだ。
席側はBピラーの無いパノラマオープンドアを採用し、運転席側後席にもスライドドアを用意した。シフトはインパネに備えられ前後席間のウォークスルーもできる。
これだけ実現しようと思うと、今はミドルサイズミニバンを選ぶしかないのだが、コンパクトカーに力の入っていた当時は、ラウムのような選択肢があった。こちらも支払総額40万円以下で乗れる、時代を越えた良いクルマだ。
■やっぱり日本にはコンパクトカーが良くないか?
Willブランドとして発売されたWiLL CYPHA。そのあまりにも個性的な外観が受け入れられるのは後何年後になるのだろうか
道路事情は少しずつ改善されているとはいえ、まだまだ細い道の多い日本。加えて、駐車場が狭いという問題は、いつまでたっても改善されない。しかしクルマのサイズは大きくなるばかりで、コンパクトの選択肢も減ってきた。
小さなクルマを名乗っても、全幅が1,700mmを越えるものも多くなり、ショッピングモールなどでは、クルマへの乗り降りも一苦労となるだろう。
今こそ、20年前のような、活気あるコンパクトカー市場が戻ってきてほしい。やっぱり5ナンバーサイズというのは、日本で一番便利なサイズだと思う。
日本だからこそできるクルマづくりの目指す先は、コンパクトカーづくりから見えるのではないだろうか。
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