需要が想定より少なかったため2列シートモデルは消滅した
トヨタのMクラスボックス型ミニバンのベストセラーモデル、ノア&ヴォクシーの2代目モデル(2007-2014年)の大きな特長といえるのが、同クラスのライバルにない2列シート、5人乗りのノアyy、ヴォクシートランス-Xのラインアップだった。
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ミニバンは3列シートの多人数乗用車として意味と価値があるのだが、多くのミニバンユーザーが3列目席を使う頻度は極めて少ないのも事実。ならば、3列目席を取り払い、大容量ワゴンとして、アウトドアや車中泊に使ってほしい……というのがyyとトランス-Xの狙いだったようだ。
とはいえ、3代目となる2014年デビューの3代目ノア&ヴォクシーに2列シート仕様はない。筆者など、ボックス型ならではの大空間が生きる大容量ワゴンに魅力を感じていたワゴン派にとっては残念無念でしかない。
3代目ノア&ヴォクシーで2列シート仕様がなくなったのは、もちろん、需要が想定より少なかったことにほかならない。現在のアウトドアブーム、車中泊ブーム以前の登場だったこともあるし、一般的なミニバンユーザーは、多人数が乗れるところに魅力を感じて(3列目席を頻繁に使うかどうは別にして)ノア&ヴォクシーのようなクルマをあえて選ぶわけで、ボックス型ミニバンなのに3列目席がないのは何事かっ!! と思うのも無理はない。
3列目席をワンタッチ、力いらずで跳ね上げ格納でき、ラゲッジスペースを拡大できる仕様になったのも、そう思わせる要因ではないか(左右跳ね上げ格納によって、ラゲッジスペースの上部の横幅が多少、狭まるにせよ)。
思い起こせば、日本のミニバンブームのパイオニアとなったホンダ・ステップワゴンやオデッセイには2列目キャプテンシートの7人乗りと2列目ベンチシートの8人乗りがあったわけだが、以前は2列目ベンチシート仕様が売れ筋だった。日本人のミニバンに対する考え方は今ほどの割り切りはなく、いっぱい乗れるほうがよい、便利そう、お得……と考えていたフシがある。
そんな時代に5人しか乗れないボックス型ミニバンがあっても、初めからキャンピング仕様に改造する、車中泊アクセサリーを装備して車中泊につかう……といったごく一部のユーザー以外に大量に売れるはずもない。結果、2代目のノアyy、ヴォクシートランス-Xの販売台数を見極め、3代目で消滅したと考えるのが自然だろう。
モデリスタには2列5人乗りシートモデルが存在している
が、ノア&ヴォクシーの2列シート仕様が完全になくなったわけではない。標準車でそれほどの需要が見込めないなら、トヨタ車向けのカスタマイズパーツやカスタムカーを企画、製造するモデリスタにまかせるのがベター、ということになっているようだ。
事実、オートサロンでも大人気のモデリスタには、2列5人乗り+自由空間のノアMULTI UTILTY、略してMUが、ノアとヴォクシーに今も用意されているのだ。
その3列目席を取り払った部分は、奥行1200~1780mm、室内幅980~1200mm、室内高1230mmと広大。フロアは耐摩耗性に優れた木目調のロンリューム(硬質塩ビ素材)が採用され、日常ではSURF&SNOWにも大活躍してくれる大容量ワゴンとして、カスタマイズすればキャンピングカー、車中泊対応車に簡単に変身させることができるベース車となっている。
販売店装着オプションも充実していて、下段が収納になるベッドスペースのベースになるマルチユースボード、MU専用シートカバー、エアスリープマット、自転車を2台積載できるサイクルホルダー、釣り竿をルーフに収めることができるロッドホルダーなどが用意されているという具合だ。ノアyy、ヴォクシートランス-Xの持っていた潜在能力を、カスタマイズを得意とするモデリスタがさらに高めたモデルと言っていいだろう。繰り返すけれど、トヨタとしても、餅は餅屋におまかせ、ということだと思う。
ちなみに、モデリスタのMUは、5ナンバーまたはグレードによって3ナンバーのままで、ガソリン車のみの設定になる。ホントは、AC100V/1500Wコンセントが付けられるHVモデルがあればより使いやすそうなんですけどね(yy、トランス-Xがあった2代目はガソリン車のみ)。
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