■11台だけ製作されたレースモデルの「348」
ストーリーの始まりは、1993年のイタリアスーパーカー選手権で、フェラーリ「348GT」をドライブしたオスカー・ララウリが、クラス2のチャンピオンに輝いたことにあった。
これトヨタ製!? 「MR2フェラーリ」爆誕! 二度見するほどの再現度を誇る1台だ!
その栄光に満ち溢れたリザルトと、それに刺激されたカスタマー・ドライバーのために、フェラーリは翌1994年のBPR GT選手権やル・マン24時間レースに、この348GTを参戦させることを決断。レギュレーションに適合させるために、あらかじめある程度の仕様を変更したホモロゲーションモデルであるロードカーを製作したのだ。
このロードカーこそが、「348GTコンペティツィオーネ」である。生産台数は、わずか50台のレアモデルだ。
●1994 フェラーリ「348GTミケロット・コンペティツィオーネ」
この50台の348GTコンペティツィオーネをベースに、さらに実際にレースに使用するための車両を製作したのは、フェラーリがF1以外のワークス活動から撤退して以降、それらのレース活動を受け継いだミケロットである。
まずはベース車である348GTコンペティツィオーネの仕様を簡単に紹介しよう。あくまでもコンペティションモデルを製作するためのベース車であるため、変更点はさほど多くはない。
ホイールサイズはフロントが8J、リアが10Jに拡大され、スピードライン製のツーピース・タイプが選択されている。タイヤも各々225/40ZR18、リアが265/40ZR18と拡大された。
軽量化への取り組みも積極的だった。左右のドアパネルと前後のバンパーはカーボン製を採用した。エンジンもノーマルと共通の3.4リッターV型8気筒の320ps仕様が搭載されていた。
インテリアではステアリングのセンター部が別体式となり、その下部にはシリアルナンバーが、そしてスクーデリア・フェラーリのエンブレムが入る。シートはカーボン製フレームのレーシングバケットだ。
■レース未使用の貴重なフェラーリとは?
この348GTコンペティツィオーネのレーシングモデルが、2021年2月のパリ・オークションに出品されることが決まった。主催のRMオークションによれば、ミケロットはさらに50台の348GTンペティツィオーネとは別に、11台のレース参戦用のモデルを製作しているという(諸説あり)。
エントリー名はあくまでも348GTコンペティツィオーネとなるが、実際には「348コルサ・コンペティツィオーネ」とも、「348GTミケロット・コンペティツィオーネ」とも呼ばれた。
●1994 フェラーリ「348GTミケロット・コンペティツィオーネ」
348GTミケロット・コンペティツィオーネは、ホモロゲーションモデルの仕様に加え、リアウインドウとスライド式のサイドウインドをプラクシ製とするなど、さらに軽量化が進められ、乾燥重量は1180kgにまでダイエットされた。
ちなみにこの車重は、ロード仕様の「348GTB」と比較して270kgほど軽い数字だ。
前後のサスペンションはコニ製のダンパーを使用したもので、ブレーキもブレンボ製のクロスドリルタイプへと改められている。ホイールもこのモデルのためのスペシャルとなり、マグネシウム製が採用された。
エンジンは348GTBのF119H型がベースとなるが、コンロッドをチタン製とするなど、各パーツの材質や形状変更がおこなわれたほか、8連バタフライスロットルなどを装備。最高出力は無鉛ガソリン仕様でも350psを得たと当時の記録にはある。
出品車のS/N:99107は、アメリカに輸出されたミケロット・コンペティツィオーネのうちの1台だ。走行距離はわずかに3503km。
サーキット・ドライブに稀に使用されたようだが、レースへの参戦記録は残っていない。現在では、ル・マン・クラッシックなどへの参加資格を得た348ミケロット・コンペティツィオーネ。そのコンディションを考えれば、サーキット・ドライブを楽しみたいカスタマーにとって、間違いなく「買い」の1台といえそうだ。いったいいくらで落札されるのか楽しみである。
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みんなのコメント
さすがピニンファリーナ コレ、30年前のデザインだぜ
F8とか内製化デザインは、この様な何十年のデザインの耐久性があるとは思えないな
どこぞのショップが作ったものではない、フェラーリ本体が手掛けた特注車に価値が無いわけないから、将来買い値を上回ることはほぼ決まり。
だから、いくらになるかは分からない値段さえも関係なく、購入後もこの状態を維持できる資金があれば、買っておいて損することは無いだろう。
非常にいい投資と言える。