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【ヒットの法則361】アルピナB3ビターボは直6の気持ち良さを残しながら高性能をエレガントに実現

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【ヒットの法則361】アルピナB3ビターボは直6の気持ち良さを残しながら高性能をエレガントに実現

2007年、アルピナB3ビターボクーぺが登場しているが、そのパワートレーンは直6ツインターボ+6速ATと、M3のV8自然吸気+SMGとは対照的なものだった。なぜアルピナは直6にこだわったのか、パワートレーンの近い335iクーぺとはどう違っていたのか。アルピナの故郷、ドイツ・ブッフローエでの試乗記を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年10月号より)

M3の270km/hをしのぐ最高速285km/hをマーク
BMWのM社ばかりでなく、メルセデス・ベンツのAMG社、アウディのクワトロ社のように、自動車メーカー直属の、いわゆるスペシャル工房によって開発生産されるスポーティで個性的な製品が認知されてくると、それまで同じ領域でビジネスを展開してきた外様系のスペシャリストは、なにかとやり難い時代になってくる。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

いわゆるブラバスやシュニッツァーなどのチューナーであれば、それなりに世間を騒がせるようなワンオフのカスタムモデルを作ればそれで済むが、アルピナのようにメーカーからお墨付きをもらっている特別なところではそうはいかない。たとえば旧M3に対してなら、以前は3シリーズにV8を搭載したB8があったが、今度はM社がM3にV8を積んでしまった。

しかし、アンドレアス・ボーフェンジーペンをヘッドとするアルピナの企画開発グループは、このM3登場を知った数年前から、バッティングしない間隙モデルの可能性を探したのである。そして完成したのが、このB3ビターボクーペだ。

このモデルはいくつかの点でM3にない魅力を持っている。「直6の良さを残したい」、さらに「M3よりもエレガンスに留めたい」というコンセプトに基づいて実現されたのがポイントだ。

このアルピナの最新モデルは、基本的には以前に紹介したB3ビターボセダンと同じステップアップが行われている。まずBMW製の直列6気筒3Lエンジンは排気量はそのままに、マーレー製のB3スペシャルピストンを組み込み、圧縮比を10.2から9.4へ引き下げ、ターボ最大過給圧を1.1バールに引き上げている。またインテーク、そしてエキゾースト系を見直し、マネージメントを適正化。最高出力は360ps/5500-6000rpm、最大トルクは500Nm/3800-5000rpmへと向上している。

この結果、6速ATを標準装備したB3クーペの最高速度は285km/hとなり、スタートから100km/hまでは4.9秒で到達する。ちなみにその加速はM3と同等で、最高速度はたとえM3がリミッターを外しても270km/hなので追いつかない。

スポーツ&エレガントを見事に高次元で実現した
さっそくアルピナステッチの入ったステアリングを握り、走り出すと、まずおよそ15mm低められ、ハードなダンパーが組み込まれたスポーツサスペンションが、意外とゴツゴツとダイレクトなショックのないことに驚く。おそらくランフラットタイヤを採用しなかったのはこのスポーツサスペンションとの相性を考えてのことだろうが、これは正解である。

またアクセルペダルを踏み込むと、明らかにスタンダードクーペを上回るパワーが押し寄せ、アウトバーン助走路から進入すると、すぐに速い流れに乗り、あっという間に安全にリードすることができる。200km/hを越える高速での直進性、レーンチェンジも安定し、この領域からのブレーキ性能も素晴らしい。

一方、一般道路でのドライブもスポーティな性格を見せる。切り始めはやや重いステアリングも、走り出せばしっかりと路面状況をドライバーに伝え、またコーナーではスタンダードクーペよりもニュートラルで、ロールも少なくコーナリングスピードも一枚上手である。また市街地の路面の悪い30km/h規制区域でも、直接的なショックはない。

駐車場で改めてエクステリアを観察するが、小さなスポイラーをはじめ、あくまでも控えめなアルピナ流ドレスアップは、M3の対極をなすもので好感が持てる。ちなみにこのテスト車にはオプションの19インチダイナミックホイールが装備されていた。

結論を述べるならばアルピナB3クーペは、現時点ではM3にない決定的な相違点を持っている。それはツインターボ装備の直列6気筒エンジンとオートマチックトランスミッションである。さらにスタンダードの335iクーペ(E92)とも違っている。それは54psのエクストラパワーと100Nmのエクストラトルクを持ち、ランフラット機能なしの18インチスポーツタイヤを装備していることだ。

このパワーは335iクーペとは次元の違ったスポーティな性能をB3に与えている。そしてオートマチックトランスミッションとスタンダードタイヤの組み合わせは、M3にない高い快適性をもたらしている。つまりB3クーペにはアルピナの真髄であるスポーツ&エレガンスが高次元で具体化されていたのだ。

ちなみに日本での価格はこのテスト車両とは違う18インチのクラシックホイールが標準で1038万円、もし4ドアセダンを望むならば995万円で、またカブリオレは1163万円で入手できる。(文:木村好宏/Motor Magazine 2007年10月号より)



BMWアルピナ B3ビターボ クーペ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4520×1817×1413mm
●ホイールベース:2760mm
●車両重量:1570kg (EU値)
●エンジン:直6DOHCツインターボ
●排気量:2979cc
●最高出力:360ps/5500-6000rpm
●最大トルク:500Nm/3800-5000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●最高速:285km/h
●0→100km/h加速:4.9秒
※欧州仕様

[ アルバム : BMWアルピナ B3ビターボ クーペ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • いつかはALPINA。
    ジジィになった時に優雅に乗りたい。
  • 若い時分はMが良かったけど、
    歳を重ねるとALPINAが良く思える。
    ALPINAでのんびりと旅をしたいな。
    たまには全開にして遊ぶけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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