トヨタ ライズ 「ダイハツとトヨタの協業がキラリと光る一台」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

ダイハツとトヨタの協業がキラリと光る一台

2021.1.23

年式

2019年11月〜モデル

総評

取り回しの良い5ナンバーサイズのコンパクトSUVで、さらに走りや使い勝手も抜群となれば、今の人気も頷ける。「売れているクルマと良いクルマは違う」と言われがちだが、正直、ライズは「売れているうえに良いクルマ」（ただ評価の4点中3点はダイハツにあげたい）！ロッキーとライズは、ダイハツとトヨタの協業によって、お互いの良い部分を上手く抽出できたモデルだと思う。5ナンバーサイズのSUVといえば、強豪のスズキ・ジムニーシエラもあるが、ジムニーシエラは2ドア。人を頻繁に乗せたり、荷室をたっぷり使いたいなら、ライズもしくはロッキーをおすすめしたい。

満足している点

走行性能が良く、室内も広く、荷物もたっぷり載せられる。クルマ全体のバランスと見事なパッケージングが◎。「コンパクトSUVとしての完成形」とすら感じる。

不満な点

他のトヨタ車にも言えることだが、個人的には、インパクトが強すぎるフロントデザインが苦手。ロッキーは可愛いデザインにまとまっているので、「同じ中身ならライズももっと素敵なデザインにできるのでは…」と思ってしまった。

デザイン

3

ライズは、ダイハツが主導で開発したロッキーのOEMモデルだ。中身は共通だが、デザインについてはロッキーとライズ共に違う。ライズは、近年のトヨタ車のデザインコンセプトを色濃く反映していて、大きく開いたグリルとヘッドライトからヘッドライトまで一直線に結ばれたデザインが特徴的だ。個人的にこの大きなグリルが苦手でどうも好きになれない…。どちらかと言えば、ロッキーの方がコンパクトSUVとして塊感があって、まとまったデザインに感じる。ブランドとしてデザインに統一性を持たせるのは重要だが、「トヨタ車のデザインはもう一度考えてもいいのでは…」と思ってしまう。

走行性能

3

コンパクトSUVとして満たさなければいけない要件が多々ある中、ライズは走行性能もしっかりと作り込まれている。「俊敏！」とまでは言わないが、気持ちよく取り回せるハンドリングは◯。特に素晴らしいのは、1L3気筒ターボエンジンだ。3気筒とは思えないパワフルでスムーズな加速は、「The best of 3気筒」と感じるほど。1KR型のエンジンは、ダイハツが開発生産しているが、トヨタの技術も組み込まれている。長年熟成してきたエンジンと、DNGAプラットフォームとの相性は抜群。

乗り心地

3

ダイハツが開発するモデルは、足回りがガッチリと締まっていて、キビキビと走る代わりに、乗り心地は硬めのものが多い。ところが、ライズは、それが丁度よく緩んでいて、しっかりとコシがありつつ、同乗者もほとんど不快感を覚えずに座っていられると感じた。逆にトヨタ車は、フワフワとした柔らかい乗り心地にしているせいか、運転している“手応え”を感じにくいものもある。ライズは、上手くお互いの中庸を得たモデルになっていると思う。

積載性

5

SUVとして外せない積載性も抜群！特に荷室の使い勝手はよく考えられていて、用途に合わせてデッキボードを2段階に調節できたり、ボードをめくればアンダーラゲッジもある。アンダーラゲッジを使うことで、高さのある荷物も載せられるし、靴などの汚れ物を入れておくのもいいかも？室内空間も外から見るよりもずっと広く、後席もゆったりと座れてしまう。コンパクトサイズなのに、ここまで工夫されているのは感動もの。

燃費

4

SUVは、重量やボディ形状などによって燃費が悪化しがち。しかし、ライズは、4WDモデルでも17.4km/L（WLTCモード）という好燃費！　ハイブリッドモデルはないが、この燃費なら十分だろう。

価格

4

グレードや駆動方式にもよるが、170〜200万円前後という比較的購入しやすい価格帯なのが嬉しい。このクオリティのコンパクトSUVでこの価格は抜群のコスパ！アウトドアや遠出することが多い人たちは、金額以上の体験ができそうだ。