プジョー リフター 「自由に使える大空間と欧州車らしい走りが魅力」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるも 亜希子
まるも 亜希子(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
3
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
5
燃費
4
価格
5

自由に使える大空間と欧州車らしい走りが魅力

2024.1.29

年式
2019年10月〜モデル
総評
2列シート5人乗りと3列シート7人乗りが選べる、両側スライドドアのミニバンの中でもスタイリッシュなイメージが特徴的なリフター。1.5Lのディーゼルターボエンジンを搭載しており、ハイオク仕様がほとんどの輸入車の中、軽油で走れるモデルであることも長所といえるでしょう。ガッシリとした、剛性感のある走りは欧州らしいところで、ロングドライブが好きな人にもオススメできるミニバンです。
満足している点
インテリアに生活感が出るのを隠そうともしないドブロ、ちょっとポップでカジュアルな雰囲気にしているベルランゴ。それらと兄弟車とは思えないほど、リフターのインパネは上質感がアップしています。収納スペースが多いのに、リッドで隠すなどして生活感が出にくくなっているところが良いと思います。
不満な点
スライドドアは手動で、開け閉めにちょっと力が必要。とくに、2列目シートに座ったままスライドドアを閉めようとすると、なかなかうまく閉まらなくて焦ることがあります。挙句の果てに勢いよく動いてバタンッと大きな音で閉まることがあり、静かに閉めるには慣れるかコツをつかむか、少し時間が必要なようです。
デザイン

3

どこが悪いということはないのですが、新世代のプジョーモデルに共通しているデザインモチーフが何ひとつなく、これといった特徴的なところがないのが気になります。兄弟車であるシトロエン・ベルランゴやフィアット・ドブロのようなフレンドリーさではなく、スタイリッシュさが強調されているのは伝わってきます。
走行性能

4

試乗したのは3列シート7人乗りのリフターロング。1.5Lのディーゼルターボ+8速ATは変わらず、標準車より50kg重くなった影響は発進直後がやや穏やかなことくらいです。その後は力強い加速がしっかりと続き、どっしり感があって落ち着いた挙動と乗り心地を手に入れたような印象です。兄弟車と比べると、走りにも少し上質感がプラスされているような感覚。高速道路での剛性感も高く、ドイツ車に近いフィーリングがリフターロングの持ち味だと感じました。
乗り心地

4

3座独立の2列目シートは頭上スペースのゆとりがしっかりあります。3列目シートは左右独立式で、頭上が拳2.5個分の余裕、足もとは前後スライド機構で拳1個から3.5個まで調整できました。乗り心地は路面からの振動はそれなりに伝わってきますが、とくに硬いこともなく、十分に耐えられるレベル。ただノイズは大きめです。左右にドリンクホルダーもあり、これなら日常的に便利に使えますが、2列目にチャイルドシートを装着すると3列目へのアクセスが大変なので、子どもが小学生以上のファミリーにオススメです。
積載性

5

5人乗りモデルの荷室の奥行きは1000mmで、容量は597L。後席が3座別々に倒せて、最大2126Lに拡大します。容量ではライバルのカングーより小さいものの、バックドアが日産セレナのように上半分だけ開閉できる便利さは、駐車場が狭い日本では重宝します。7人モデルは通常の容量が209Lと小さめです。3列目は取り外し式ですが、重いし置き場所にも困る、という場合には前に倒すこともできます。でも2列目がせっかくフラットになり、最大2693Lにまで拡大するので、やはり大荷物を積みたい時には取り外す方がスッキリするでしょう。1脚の重さは17kg程度なので、1人で持てないほど重くはないです。
燃費

4

カタログ数値では5人乗りも7人乗りも、18.1km/L(WLTCモード)となっています。試乗時はほとんど1人で乗っていたので、それに近い実用燃費が出ました。ただ、人と荷物が増えていくと10km/Lくらい出ればよい方ではないかと予想します。エコドライブを心がけて走る際に、8速ATなので細かなシフト操作をしてくれますが、ディーゼルターボというところでなかなか繊細なアクセルワークがしにくいと感じる場面もありました。
価格

5

5人乗りが430万円台から、7人乗りが450万円台からと、輸入車としてはお買い得な価格だと感じます。国産ミニバンではハイブリッドが買える価格で、パワースライドドアなど快適装備も少なめではありますが、自分らしく自由に使えるところや、剛性のある走行性能など、欧州車だからこその魅力を優先する人にオススメです。
まるも 亜希子
まるも 亜希子
自動車ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員。YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」、「おっさん on boad」にも出演中。
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