レクサス LBX 「贅沢なプレミアムコンパクト」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

贅沢なプレミアムコンパクト

2024.3.28

年式

2023年11月〜モデル

総評

国産コンパクトクラスにも上質なテイストをアピールするモデルが増えつつあるが、プレミアムブランドからリリースされるとなれば高級テイストではなく、細部にわたってぬかりのない上質さが求められる。LBXの出来映えは同価格帯の欧州プレミアムブランドを凌駕することが出来たのか、興味深いプレミアムコンパクトSUVだ。

満足している点

新デザインの「ユニファイドスピンドル」、左右をつなげたリヤコンビランプを採用するなど、一見してレクサスブランドの一族だとわかるスタイリング。インテリアの質感も高く、本革巻きステアリングの触感やトリム類の仕立てにもこだわりを見せる。もちろんマークレビンソンのオーディオシステムもちゃんと用意されている。

不満な点

全幅が1825mmあるにもかかわらず、室内空間は広くない。コンパクトだからという見方も出来るが、横方向の広さは5ナンバークラスのコンパクトカーと変わらないレベルにある。後席も膝まわりの余裕がなく、同じプラットフォームのヤリスクロスよりも狭い。スタイリング重視のパッケージングなのだ。

デザイン

4

スタイリング重視だけあってコンパクトながら迫力ある仕上がり。とくに張り出しの大きな前後フェンダーは力強く、どっしりとした安定感を印象づける。インテリアもレクサスならではのデザインや質感に好感を持つ。「Relax」に装備されるセミアニリンの本革シートの感触も上級モデルと遜色ない仕上がりだ。

走行性能

4

バランサーシャフトを組み込んだ3気筒エンジンはスムーズな回転フィールをもたらし、実用域での振動やノイズが抑えられている。速さは並みのレベルにとどまるものの、吹き上がりは軽い。操縦性はコンパクトらしからぬしっかりとした印象があり、リニアな操舵フィールにも好感が持てる。気になったのはコールドスタート時のエンジン音が意外と大きく、とくに車外ではいかにも3気筒っぽいノイズだったこと。

乗り心地

4

試乗したのはFFの2WDモデル。大径タイヤに見られがちなドタつく感触が抑えられており、ロールやピッチングの抑制された乗り味が確かめられる。荒れた路面でも直接的な振動を感じさせない。ノイズレベルも低く抑えられており、これらは高剛性化されたボディやふんだんに用いられたシーリング材などのおかげだろう。

積載性

3

ラゲッジルームは外見から想像するよりも広く、FFは330リットル、4WDが253リットルの容量を確保。FFには高さ調整の可能なデッキボードが装備される。パーソナルユースとしては十分な広さがあり、6:4の分割可倒式のリヤシートバックを倒せば、かさばる荷物の積載もオーケー。

燃費

5

WLTCモード燃費は26.2〜27.7km/Lと、GRスポーツを除くTHS-Ⅱ搭載のヤリスクロス（27.8〜30.8km/L）ほどではないものの、優秀な数値と言える。ちなみに高速7割、一般道3割の約350kmを走行した際のFFモデルの実測燃費は23.1km/Lだった。

価格

3

シリーズは「Cool」と「Relax」を設定し、両モデルにFFと4WDを設定。価格は両グレードともFFが460万円、4WDは486万円だ。アウディQ2と同価格帯にあるが、LBXは全車ハイブリッドでQ2にはない4WDを選ぶことが可能。ヤリスクロスと比べてしまうと高価な印象は拭えないが、「プレミアムカジュアル」をコンセプトとするLBXの仕立ては別モノと考えたほうがいい。専用オーダーメイドシステムを採用する「Bespoke Build（ビスポークビルド）」はさらに高価だが、デザインや質感にこだわるユーザーには魅力的な選択肢だ。