ホンダ ヴェゼル 「総合力ではe:HEVが勝る」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

総合力ではe:HEVが勝る

2024.1.29

年式

2021年4月〜モデル

総評

デビューから2年以上が経過しているにもかかわらず、ヴェゼルの商品性は相変わらずクラストップレベルにある。デビュー当初は写真映えのしなかったフロントデザインも実車を見るとさほど違和感もなく、クーペ風のフォルムに新たな個性を見出すことが出来た。内装の質感、パッケージングにもすぐれ、実用性の高さにおいてもライバルをリードする出来映えだ。

満足している点

2モーターハイブリッドシステムのe:HEVのモーターフィール、しなやかな乗り味を得られる足まわりが心地よい。コンパクトでありながら大人4人が乗車できる居住空間、運転支援＆先進安全装備においてもライバルを一歩リードする内容をそろえている。

不満な点

全高が1580〜1590mmとSUVとしてはやや低め。マツダCX-30はさらに低いが、こちらは立体駐車場の制限（1550mm）を踏まえた設定だ。ヴェゼルもシャークフィンアンテナを低めるなどの工夫で立体駐車場の利用も可能になるのでは？かつてN-ONEがルーフを低めたように、ヴェゼルも立駐の利用可能なモデルを設定してもいいのでは。

デザイン

4

ボディサイズを先代から大きく変えずにスタイリングを一新。直線的で伸びやかさが感じられるフォルムとなり、デビュー当初は懸念されたフロントマスクも実車を目の当たりにすると違和感を覚えることもない。この顔はどうも……という向きには純正アクセサリーに別タイプのフロントグリルが用意されている。インテリアの造形、質感もこのクラスとしては納得出来るレベルにある。

走行性能

4

2モーターハイブリッドシステム（e:HEV）はスムーズで滑らか。実用域での静粛性は高いものの、上り勾配などで負荷が増すと状況に合わせてエンジンが目覚める。その際のエンジン透過音はやや大きめに感じられるが、モーター走行時の高い静粛性を踏まえると、そのギャップの違いから耳障りと思うのかもしれない。サスペンションはしっかりとした印象があり、乗り心地も向上している。ガソリン車は加速時のエンジンノイズがやや大きめ。洗練されたe:HEVと比べると物足りなさを感じてしまう。

乗り心地

4

サスペンションはしなやかで、18インチタイヤを装着するグレードでもフラットな乗り心地が得られる。街中ではモーターによる走行が主体となるおかげで静粛性にもすぐれる。加速時のエンジン音はそれなりに聞こえるが、耳障りとなるような音質ではない。フロアからのノイズも低く抑えられている。

積載性

5

センタータンクレイアウトが踏襲されたおかげで低くフラットなフロアが得られ、多彩なシートアレンジも可能。後席使用時も高さ550mmのスーツケースを4つ積み込むことが可能で、後席を倒せば座面が沈み込むダイブダウン機構によって完全フラットなフロアが出現する。また、後席座面を跳ね上げるチップアップ機構も備わり、高さのある荷物の積み込みにも重宝する。

燃費

4

e:HEVの経済性は高く、走り方によっては高速クルーズや一般道において20km/L以上の経済性が期待できる。ちなみにガソリン車はWLTCモード15.6〜17.0km/Lとハイブリッド（22.0〜25.0km/L）とは少なからぬ差がある。

価格

4

FFのメイングレード「e:HEV Z」はほぼ300万円。購入時はホンダコネクトディスプレイなどのオプションを考慮する必要もあるが、装備内容を踏まえるとリーズナブルと言えるだろう。最上級グレードの「e:HEV PLaY」は高価だが、ナビゲーションシステム、ガラスルーフも標準の“全部入り”。グレージュの専用インテリアもいい雰囲気に仕立てられている。