フィアット 500X 「中身は本格派の小粋なコンパクトSUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるも 亜希子
まるも 亜希子(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
5
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
3
燃費
2
価格
3

中身は本格派の小粋なコンパクトSUV

2024.1.29

年式
2015年10月〜モデル
総評
「クルマは乗らなきゃわからない」ということを強く意識させてくれるクルマです。チンクェチェントのフレンドリーさはそのままに、ちょっとタフで上質な雰囲気をまとったクロスオーバーSUVなんですが、パッと見ただけでは「どうせ外観をちょっとSUV風にしただけなんでしょ?」と思う人もいるかもしれません。でもそれは大きな間違いで、基本骨格を共有するのはジープ・レネゲード。日本では改良後に4WDモデルがなくなってしまったのが残念ですが、このコンパクトなサイズの中にも、しっかりとした走行性能を秘めたモデルです。
満足している点
全長が4.3mを切り、全幅が1.8mを切るという日本の道路事情に絶妙にマッチするコンパクトサイズ。実は輸入車でこのサイズは貴重で、コンパクトクラスでも全幅が1.8mを超えているモデルが多いので、マンションの立体駐車場などで全幅1.8mの制限があるところでも使いやすいという利点があります。その割に、後席も大人がしっかりと座れるスペースは確保しており、ファミリーユースも可能です。
不満な点
発売当初はジープ・レネゲード譲りの本格4×4を採用したモデルがラインアップしていましたが、途中からなくなってしまったのが残念。聞けば、燃費を気にする人が多かったり、4WDを購入した人でもどちらかというと500Xのデザインが気に入って購入したという人が多かったからとのこと。FFモデルとはひと味ちがう、安定感のある乗り味が良かったので気になる人は初期モデルを探してみてください。
デザイン

5

初期と比べると後期モデルは前後のバンパーに逞しさが増し、ワイルドなSUVテイストが強まった新デザイン。でも相変わらず500の面影はしっかり残っていてフレンドリーさもあるところが魅力的です。でもこれは決して500の焼き直しなどではなく、そもそもがまったくのゼロから新開発されたモデルなのだから、500らしさを感じるのはフィアットが注いだ遊び心のおかげだと言っていいと思います。基本骨格を共にするジープ・レネゲードが持つ硬派な4×4のイメージを、ここまでサラリと覆ってキュートな500ファミリーの一員に仕立てる都会的センスに感心するばかりです。
走行性能

4

1.3Lターボエンジン+6速デュアルクラッチトランスミッションは、発進時はちょっと重さを感じさせながらユルリと加速をはじめます。低速ではアクセルを踏み続けていても、シフトアップのタイミングで一拍の余白を置いてから、再び加速を続けるデュアルクラッチATらしさは相変わらず。混雑した都心の一般道ではちょっとモタモタしがちですが、500Xと呼吸を合わせるように試みつつ、加速と減速にメリハリをつけて走らせることに、楽しささえ覚えてしまいます。高速道路に入ると、タコメーターが2500〜2800回転に差し掛かるくらいのところでバビュンと加速感が5割増しくらいになって、車体が浮かぶかと思うほどの軽やかさに包まれ、これが同じクルマかと疑ってしまうほどイキイキとしてビックリ。コーナリングもガッシリとしてものすごい安定感があり、ここぞという時のレーンチェンジや追い越しも、一発で決めてくれる頼もしさです。
乗り心地

3

前席では不快な振動も少なく、快適な部類です。後席にも座ってみると、頭上や足元のゆとりが予想より充分にあるし、それほど圧迫感は感じない居住性です。乗り心地はしなやかとは言えないまでも、低速でも硬すぎないので乗っていて疲れるようなことはないと感じました。
積載性

3

ラゲッジ容量は通常で350L。決して大容量とは言えませんが、後席使用時でもA型ベビーカーが横積みできるくらいの実用性があります。後席を前倒しすれば1000Lに拡大するので、アウトドアレジャーなどの荷物も積みやすいでしょう。
燃費

2

カタログ数値で13.4km/L(WLTCモード)という数値は、あまり良いとは言えません。ハイオク仕様ということもあり、ランニングコストが心配になる人も多いと思います。デュアルクラッチトランスミッションはエコドライブがしやすい方ではないので、運転で大きく燃費を稼ぐということもあまり期待できないでしょう。ただ、高速道路で低めの一定速度で走る場合などは燃費が伸びやすい傾向にあるので、コンパクトサイズですが市街地をちょこちょこ走るというよりは、ロングドライブを頻繁にこなす人の方が燃費には有利ではないでしょうか。
価格

3

チンクェチェントがいまだに200万円台で買える方がすごいことなのかもしれませんが、500Xは412万円台からと聞くと、ちょっと割高に感じてしまうのは致し方ないところ。でもLEDヘッドライトだし、デュアルゾーンのオートエアコンだし、ディスプレイオーディオも標準装備となるなど、装備の充実度がアップしているところもあるので、内容を見るとこの価格は納得だと思います。
まるも 亜希子
まるも 亜希子
自動車ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員。YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」、「おっさん on boad」にも出演中。
フィアット 500X 新型・現行モデル

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