最高速度420km/h、ブガッティ シロンの量産モデル開発テストに同行
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office
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世界初のハイパーパワー=最高出力1500psを絞り出す究極のスポーツカー「ブガッティ シロン」の開発チームは、アメリカのネバダ州に広がるデスバレーにいた。量産モデルの生産立ち上げを前に最終テストを行っていたのだ。ここは国立公園ではあるが、この時期でもまだ日中の最高気温が40度を超える日も多く、雨がほとんど降らない。この環境ではよほど物好きな観光客でないかぎりやって来ないだろう。だが、自動車メーカーにとって過酷な条件は「ホットサマー・テスト」に最適なのだ。
同行記に入る前にブガッティと、最新モデルのシロンについて復習をしてみよう。ブガッティは現在フォルクスワーゲン・グループの中にあるが、このブランドを獲得したのは元フォルクスワーゲンの社長で、ポルシェの孫としても知られているDr.フェルディナンド・ピエヒである。ウワサでは息子と一緒に南仏で休暇中にオモチャ屋でブガッティのミニカーを見て「グループの中に入れても悪くない!」と思いついたと言う。何とも豪快な話だが、筆者が直接彼から聞いたコメントは「ブガッティ・プロジェクトはフォルクスワーゲンにとってF1参加に匹敵する投資と開発能力が問われる」「ただしF1はレギュレーションが頻繁に変わるが、ブガッティの“性能、価格、全てが世界ナンバーワン”というコンセプトは不変だ」というものだった。
先代「ブガッティ ヴェイロン」は歴史に従ってフランス、アルザスにあるモールスハイムの工場で限定300台が生産され、完売となったことで一応の成功を収めた。そして4ドア・バージョンなど、いくつかのコンセプトモデルの後に、今回、開発同行記をお届けする「シロン」が発表されたのである。
シロンのネーミングは、ヴェイロンと同様に1930年代に活躍したフランス人GPレーシング・ドライバー、ルイ・アレキサンドレ・シロンに因んでいる。
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