もくじ
ー 日産300ZX 日本製高性能車の草わけ
ー ATとMTどっち? 憂慮すべき点も
ー 日産300ZXの中古車 購入時の注意点
ー 専門家の意見を聞いてみる
ー 知っておくべきこと
ー いくら払うべき?
ー 掘り出し物を発見
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日産300ZX 日本製高性能車の草わけ
日産300ZXは2+2シーターの、ツインターボエンジンと後輪操舵システムである4WSを装備した、1990年代の日本製パフォーマンスカーを代表する1台である。しかし、ジョン・エバンスによれば、現在ではわずか£1,500(23万円)から手に入れることができる。
300ZXは、前任の280ZXと300Zで地に落ちた日産の誇る伝説的なZシリーズの評価を回復させたモデルだ。2+2シーターでありながら、均整のとれた力強いスタイリングを持ち、4WSとターボ・ラグの小さいツイン・インタークーラー付きギャレット製ターボ2基で強化された可変バルブ機構付き3.0ℓV6ガソリンエンジンを積む。
前任のモデルとは一線を画すだけでなく、このクルマは三菱3000 GT、マツダRX-7やトヨタ・スープラといった他の日本製高性能クーペをも凌ぐでき栄えだった。更にはポルシェ944 S2のようなクルマにさえ、衝撃を与えたのだ。
1990年に英国で発売された300ZXは、当時の日本の最高出力規制値である280psを遵守したモデルではあったが、0-100km/hは5秒台とその加速は十分なものであり、ギアボックスは4段ATと5速MTから選択できた。
英国では2+2バージョンが標準だったが、日本ではよりスポーツ性に特化した2シーター・ショート・ホイール・ベース版(このモデルは現在でも貴重なモデルである)が存在し、この2シーター・モデルは2002年の日産350Zへと受け継がれることとなった。
英国モデルではエアコン、ABS、クルーズ・コントロールと電動格納式ミラーが標準装備であり、電動式レザーシートはオプション扱いだった。
残念ながら、その素晴らしい品質にも関わらず、発売開始から£35,000(528万円)と強気の価格設定が災いすることとなった。それまでのマイクラ(日本名:マーチ)とブルーバードを主力とした大衆車市場からの上級移行を市場が認識する程度の販売量は確保したものの、当初の興奮が冷めると売上は勢いを失っていった。
そして4年後には、日本やその他市場での販売は継続する一方で、英国からは撤退し、1998年に行われた大掛かりなアップデートを経て、2000年にモデル・ライフを終えた。
ATとMTどっち? 憂慮すべき点も
現在、中古車市場にあふれる300ZXはあまり魅力的な存在には見えないかもしれない。しかし、錆に侵されていなければ、このパフォーマンスカー(406psへのパワー・アップグレードはそれほど珍しいものではない)には、相変わらずの魅力がある。もし、300ZXを探す気になったら、「購入時の注意点」を見て欲しい。
NAエンジン搭載のモデルしか見つけられなかったとしても(ただし、常にエンジン・タイプが明記されている訳ではない)、恐らく何とお買い得なクルマだと興奮するに違いない。
オートマティック車両が多く流通しているが、初期モデルはオーバーヒートの問題を抱えている可能性があるので注意をした方が良い。更にギアボックス・オイルの状態も確認したい。
ただしオートマティック車両の場合、マニュアル車両よりも丁寧に扱われていた可能性が高いという利点がある。
一方で、300ZXには憂慮すべき点がふたつある。エンジンの高温に対して冷却システムの容量が不足しているため、全てのホース類と冷却水の状態は必ず確認を行うべきであり、更にTバー・ルーフは深刻な問題を引き起こす水漏れの原因となる。
しかし、だからと言ってこれらの問題で怖気づかないで欲しい。程度の良い車両は依然として素晴らしく、気品すら感じられる。もちろん、そんな車両を探し出すのは難しいが、だからこそ特別なのだ。
日産300ZXの中古車 購入時の注意点
エンジン
タイミング・ベルト、テンショナーとウォーター・ポンプが約10万kmのタイミングで交換されていること。
カム・エンド・シールとクランク・エンド・シールからのオイル漏れは要確認。
オートマティック車両の場合、トルクコンバーターからの発熱によってダメージを受けている可能性あり。
イグニッションの固着は、ミス・ファイアの原因となるが、イグニッション・コイル自体の信頼性は高い。
試運転の最後にアイドリング状態が確認できるようであれば、ターボチャージャーへの潤滑についても要確認。
電装類
評判とは異なりオルタネーターの信頼性は高いが、上部に設置されているパワステ・ポンプからの液漏れにより、ダメージを受けやすい。
エンジン・ルーム内の配線系統が熱により損傷しているケースがしばしば見られる。ルーフからの排水ルートがAピラーを経由して通るフロント・フットウェルに湿気が無いか確認が必要。
オートマECUとフューズ・ボックスへの水漏れの原因となる。
ボディ
リア・フェンダー前サイドシル部の錆は深刻な問題となる。この錆はTバー・ルーフからの排水ルートが塞がれることで発生する。
強度確保のため3層構造となっているサイドシルは内部から錆が始まるが、下手な修理では外側サイドシルだけを交換している。
冷却システム
エンジンからの発熱が多い割に、ラジエーターの容量が小さいため、定期的な洗浄と冷却水の交換が重要。吸気マニホールド下に設置されているスロットル・ボディへと繋がる冷却ホースの状態は要確認。
サスペンションとブレーキ
ノーマルのブレーキは強力だが、特にフロントに関してはキャリパーの固着に注意が必要。サスペンション・ブッシュが摩耗している場合、ニスモ製ラバー・ブッシュへの交換がおすすめ。
フロント・スプリングのヘタリは、タイヤ摩耗を早めると共に、リア・ショックのガス抜けを誘発する。
専門家の意見を聞いてみる
ジェームス・トマス
自動車愛好家でオーナー
「2005年に輸入モデルのZXを購入しました。これまで約13万kmを走っていますが、適切な管理をしてきたので、故障の経験はありません。燃費は7.8km/ℓ、高速だと10.6km/ℓといったところです」
「ボディ・キットや後付けのパーツは好きじゃないので付けていません。ノーマルで十分に素晴らしいデザインですから。品質の良いアフター・マーケット・パーツは、1990年代に300ZXでレースに参戦していたアメリカ人レーサー、スティーブ・ミランがはじめたStillen(stillen.com)から購入することができます」
「わたしにとっての300ZXの魅力は、そのパフォーマンス、ロードホールディング性能とスタイリングです。それに、長距離ドライブの後でも、全く疲れを感じさせないところもですね。ブリストルからロンドンまで、ビジネスで定期的に300ZXで移動する年配のお客さんがいますが、彼も全く同意見ですよ」
知っておくべきこと
エンジンが十分温まっていない状態での確認も行うこと。アイドリングでは、ブースト計の針は最も左を指しているのが正しい。この状態で針が真ん中にある場合、圧縮の問題が発生している。
一旦エンジンが温まったら、ブースト計は最大ブースト圧である9psiを示すのが正常。運転終了後にはエンジンをアイドリングさせた状態で、オイルが混じった青い排気が出ていないか確認しよう。
いくら払うべき?
£1,500(23万円)以上
コンディションによりけりなので、正確な価格を予想するのは難しい。
最も安い車両は£1,500(23万円)から£2,000(30万円)がスタート・ラインで、最も多いのは£5,000(75万円)くらいの価格帯である。£1,000(15万円)以下の車両は避けたほうが無難だろう。
中古車市場で売りに出されているのは大抵オートマティック車両だが、300ZXのオーナーズ・クラブの売買情報などではマニュアル車両も数多く見つけることができる。
ショート・ホイール・ベースモデルは、よりシュアなハンドリングを楽しむことができるが、程度の良い車両にはプレミアムが付いている。
掘り出し物を発見
日産300ZX 登録 2000年、走行8万2000km、価格£7,995(121万円)
この車両はフェイスリフトを受けた最終ZXモデルの1台である。残念ながらオートマティック・トランスミッションとなるが、珍しい最終型であり状態も良い。
点検記録と、全てのMOT(英国運輸省)テストの記録が残っているため、走行距離の確認が可能である。
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