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「鼻で笑われた」プレリュードの4WSに再び脚光、なぜ? 訴求における問題点とは?

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「鼻で笑われた」プレリュードの4WSに再び脚光、なぜ? 訴求における問題点とは?

プレリュードの4WS なぜ「鼻で笑われた」?

「クルマにとって非常に重要な要素はその時々によって変わるが、常に重要なのはステアリングだ」。そんな言葉を残したのは、英国の偉大なモーター・ジャーナリスト、L.J.K.セットライトだったような。

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優雅な散文体と豊富な技術的知識、そして理路整然としながらもしばしば物議を醸した評論で知られた彼は、AUTOCARをはじめとする数多くの二輪/四輪雑誌へワールドワイドに寄稿し、クルマと航空機に関する数々の名著を遺した人物だ。

とりわけ彼が強い熱意を向けたのが、3代目ホンダ・プレリュードが量産車では初採用した四輪アクティブステアリングだった。

この背の低いクーペを、セットライトは「操舵が前輪だけでも出来のいいクルマだが、四輪操舵が加わることで、彼の豊富な経験の中でも、ほかに大差を付けるほど素晴らしいクルマだ」と評している。

このクルマを称賛したのは、セットライトだけではない。

ロード&トラック誌は、1988年式の2.0ℓ車が、スラロームで当時最新のスーパーカーを凌ぐタイムを計測している。1991年に登場した4代目では、機械式から電動式に変更され、レスポンスが向上している。

他社は当時、大ぴらにこのアイデアを鼻で笑った。たしかに販売上のプラスになったとはいえず、ホンダは2001年にプレリュードの生産を終了した。

当時は残念に思ったものだ。個人的にも4WSのプレリュードを所有していたが、あの頃の基準に照らせば、実にすばしこいハンドリングマシンだった。

4WS、再び脚光を浴びる理由

四輪操舵の考え方そのものは1920年代から存在している。量産車へは1980年代にマツダや三菱、日産、そしてホンダがそれぞれ独自のシステムを採用するまで普及しなかったが、決して斬新なものではない。

アクティブ制御のそれは、ステアリング入力へ四輪が即座に反応する。低速では前後逆位相に転舵してステアリングのレスポンス向上と回転半径の縮小を図り、高速域では同位相転舵でスタビリティを高めるのだ。

これにより、重く大きなサルーンでさえ、コンパクトなマツダ・ロードスターのように小気味よく素早い身のこなしが可能になる。

プレリュードに話を戻すと、ステアリングはロックトゥロックが3回転を超える。回転半径は大きくなりがちで、アシストなしではもう少し軽ければと恨めしく思うことになる。

パワーステアリングならばもちろんそれを改善できるし、アルファ・ロメオやフォードのスポーティモデルは2回転近くに設定して、小気味よいハンドリングを生むが、回転半径の問題は妥協しがちだ。

4WSはクイックなステアリングの利点を全て残しつつ、回転半径をかなり縮小する。

近年、この技術が再び脚光を浴びているのは、なにも驚くようなことではない。

昨年のベスト・ドライバーズカー選手権を制した911Rは「リアアクスルステア」と呼ばれるシステムを備えるが、これも要は4WSだ。

911の他バリエーションや918にも装備されるが、どれもうれしくなるようなステアリングで、いかなる速度域でどのような入力をしても素早く確実に作動してくれる。

同様のシステムは、フェラーリGTC4ルッソやBMWの5シリーズと7シリーズ、アウディQ7などが採用。ランボルギーニやインフィニティ、それらより安価なルノー・メガーヌにさえ装備例がある。

それら全てが、ホンダの先例ほどシンプルなシステムだというわけではない。

伝えづらい4WSの商品力

プレリュードの機械式4WSは、速度などは検知せず、単純に舵角に反応して後輪の位相を決定していたのだ。また、過去のものほど迅速に、大きな舵角がつくものでもない。

しかしながら、プレリュードの頃とは状況が全く変わった。

各メーカーが、4WSを子供だましだと一蹴することはなくなり、むしろこのアイデアを重視するようになってきている。

彼らは、周囲に見せびらかすことのできないアイテムに出費しようとはしない顧客に、それを売り込まなければならないだろう。

われわれのように、ステアリングフィールなどという感覚的なものをなによりありがたがる自動車メディアに対しても、その有効性をアピールしなくてはいけないかもしれない。

とはいうものの、飛ばし屋は適切な手応えとともに、クイックで一貫したステアリングレスポンスと、非の打ちどころのないアキュラシーを求めるものだが、その両者を4WSは高めてくれる。

そして、冒頭で引用したL.J.K.の言葉通り、クルマを自分で動かしているかぎりは、ずっと、それらが重要になってくるのだ。

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