2代目は片バンクがトラブルでも動くV12エンジンを搭載
日本だけでなく、世界がどんなにプレミアムカーに力を入れようとも、デザインも含めてあるゆる部分が唯一無二。日本だけにしかできないプレミアムサルーンが、トヨタのセンチュリーだろう。まさにクールジャパン全開のクルマである。現在では御料車としても使われ、日産のプリンスロイヤルからスイッチしたときは大きなニュースになったものだ。
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現行モデルで2代目となるのだが、初代が登場したのは1967年のこと。創業者の豊田佐吉の生誕100周年を記念しつつ、明治100年にもあたることからセンチュリーと名付けられた。流れとしてはクラウンにV8を積んだものとなるが、もちろんまったくの新設計であり、あらゆる点において最上級を目指して作られた。トヨタとしては、ほかのクルマがどんなに進化しようとも作り続けるとしていたし、実際に初代はエンジン&ミッションも含めて、時代に合わせて進化しつつも30年も作り続けられた。まさに我が道を行くクルマだった。
ただし、さすがに取り巻く環境が激変したことから、2代目が登場する。トピックスはなんといっても、日本車初のV12気筒を採用したことだろう。もちろんトヨタとしてはあとにも先にも作ったことがないものだが、構造的には6気筒をふたつ合わせたもの。280馬力を発生するが、もしも片バンクにトラブルがあっても、もう一方のバンクで走ることができるなど、まさVIP向けの配慮がなされている。
もちろん内装はレザーをふんだんに使い、ウッドパネルももちろん本物の木を使用。そのウッドパネルは、イギリス車などに見られる伝統に基づいていて、左右割りの対称木目となっていたりする。ちなみにミラーは未だにフェンダーミラーだ(三角窓は残念ながら廃止)。
そもそも生産工程自体が別物だ。溶接は熟練工が行ない、塗装も5層の焼き付けとするなど、欧州などで見られる手作業を中心とした少量生産体制で作られている。価格は約1200万円と、内容を考えると激安。一見すると無駄なことをしているように思えるが、技術の成熟と伝承という意味では大いに価値があるもの。最近はレクサスが「匠」を打ち出しているが、センチュリーの技術があるからこその「匠」といっていい。それほど、センチュリーというのはトヨタにとって、あらゆる点において別格の存在なのだ。
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