スポーツカーにとってパワートレインの出力やフィーリングは重要
スポーツカーというのはパワートイレンが大きなファクターを占めます。走りに直結するだけにパワーやフィーリングは、スポーツカーにとって、とても重要です。
それも高性能なスポーツカーとなれば、エンジンのキャラクターがそのままクルマの個性になったり、価値を高めたりします。強大なパワーを誇るスーパーカーになると、エンジンをボディを被せて走っているかのようです。
さて、スポーツカーとしてのバランスですが、これは難しい問題ですね。現代のクルマの車両重量はどんどん重くなっています。これはボディ剛性も衝突安全性も要求度が高まり、安全装備や環境対応などで重量が必要な部分もあります。
そもそもボディサイズも拡大傾向にあります。エネルギー回生をやろうとすればバッテリーも大型化してしまいます。つまりクルマは重くなる一方なので、その分だけエンジンの重量も影響が小さくなります。
いうまでもなく気筒数が増えるほど、エンジンは重くなります。ただし、パワーは拡大し、レスポンスは良くなり、より高回転まで使えるようになります。
おそらく、スポーツカーのバランスという今回のテーマは、そのあたりのメリット/デメリットのバランスが、現代のスポーツカーにとってどのあたりがベターなのか? ということなんだと思います。
まずは回転数ですが、市販車としてどの程度の高回転が必要か? ということになりますね。NAの高性能エンジンは、やっぱり高回転での音とパワーが魅力です。しかし闇雲に高回転化しても、トランスミッションが辛くなりますし、低回転でしっかりと燃焼させないと排出ガスも燃費も厳しくなってしまいます。
現代のひとつの基準は9000rpmでしょうか。9000rpmでいいのであれば、現代の技術であればV12は不要で、V8でも十分可能です。もっとも、直列4気筒で9000rpmも回してしまうエンジンが20年近く前に登場してましたね。
大まかにいえばMRならV8NAでFRなら直6ターボがいいだろう
ただしV8であっても、一般的な構造では9000rpmといった高回転は無理です。普通のV8エンジンでは90度クランクというのを使い、90度の等間隔燃焼としています。しかしこれだと左右間の燃焼がアンバランスになってしまうのです。例えば右-左-右-左-右-右-左-左となってしまって、それがドロドロとした排気音の原因なんです。高回転まで回すには向いていません。
高回転化するには180度クランクを使います。これは直列4気筒と同じ形で、180度の等間隔で2気筒ずつ同時に燃焼することになります。わかりやすくいえば、直列4気筒を2個並べているような形なので、集合管を使うこともできます。
それで高回転が可能になりますが、今度は振動が問題になります。4気筒を2つ乗せているような形なので、4気筒よりも振動が増えてしまうのです。おそらくフロントに積むのは、ステアリングフィールにも大きく影響するので、難しいことでしょう。
もちろん最近のトレンドであるターボ化するのであれば、そもそも高回転は無理です。ターボの使いやすさを考えるとV8は排気干渉が出るので、むしろV6のほうが都合がいいでしょう。ターボであればV8よりはV6のほうが軽量コンパクトになり、スポーツカー向きと言っていいでしょう。
ただしターボであればV6よりも、直6のほうがアドバンテージは大きくなります。とくにフロントエンジンなら、直6がいいでしょうね。
個別に考えるなら、細かいことまで検討できるのですが、スポーツカーという幅広いターゲットになっているので、じっくりとバランスを検討することはできませんでした。とりあえずの回答をするなら、ミッドシップであればV8はいいバランスですね。フロントエンジンなら直6ターボのほうがいいと思います。
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