必ずしもいいクルマではないが素性がわかりやすいという利点はある
ワンオーナー車とは、文字通り前オーナーが1人しかいなかった中古車のこと。その車を新車で買った人が手放すまでずっと所有し続けていたクルマということになる。
今も昔も中古車の物件情報では必ず強くアピールするポイントで、長年にわたりユーザー側がワンオーナー車をありがたがる傾向が続いているからだ。
しかし、筆者の中古車取材経験からすると、ワンオーナー車は必ずしも複数オーナー車より程度が良いわけではない。ワンオーナー車の唯一にして最大のメリットは安心感。
多くの人に所有されたモノより、一人に所有され続けたモノのほうが何となく安心できるとの心理的な部分だ。比較的クルマの素性がわかりやすいことも大きい。
しかし、たとえワンオーナー車でも、油脂類の交換もろくにされず、ノーメンテナンスで放置され続けたかも知れないことを疑うべきだ。
複数オーナー車でも、歴代オーナーから愛情を注がれたクルマは下手なワンオーナー車よりもはるかに程度が良かったりするので、中古車を選ぶ際にワンオーナー車にこだわりすぎるのは良くない。複数オーナー車に対する偏見も禁物である。
ワンオーナー車の前オーナーは新車を買った人だから経済力があり、愛車の扱いやメンテナンスか適切で安心だとする理由は納得しやすいが、なかには高額な新車の支払いで経済的に一杯いっぱいとなり、メンテナンス費用がケチられたかも知れないなど、一概に決めつけることはできない。
大切なのはワンオーナーか複数オーナーかよりも履歴が明確なこと
ワンオーナーだろうと複数オーナーだろうと、油脂類の交換も含めたメンテナンス履歴が明確かどうかを判断材料にしたほうが失敗するリスクは低いといえる。
ただし、新車登録から短期間で何人ものオーナーの間を渡り歩いたクルマは不安があるので、その理由や事情がわからない場合は警戒すべきだ。
ワンオーナー車でも、マニアックなオーナーに深く愛され続けた個体だとわかる場合は最高レベルに安心感が高い。
一方、スポーツカーや限定車は、複数オーナー車でも比較的クルマに愛情を注ぐタイプのオーナーが所有することが多く、低年式車でも歴代オーナーによってメンテナンスにお金がかけられ、オーナーが変わるごとに程度が良くなることもあるので、やはりオーナーの数より過去の履歴がハッキリしているかどうかのほうが重要だ。
とくに、道具や足グルマとして使われる実用車はオーナーの数に関係なく、古くなるごとにメンテナンスの充実度が下がる傾向にあるので注意したい。
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