タイヤのグリップ限界を教えてくれる大事な情報のひとつ
スキール音とは、急激なコーナリングや急ブレーキを行った際に発生する、「キーッ」「ギャーッ」といった甲高い音のこと。映画やドラマのカーチェイスシーンでは、おなじみの効果音だ。(交差点を曲がるシーンなどでは、だいたいアンダーステアから、過度なオーバーステアになる傾向がある!)
【噂の真相】ハイグリップタイヤを履くと遅くなることがあるって本当?
スキール(squeal)とは、英語で甲高いキーキー声のこと。タイヤのトレッドゴムと路面との間に、摩擦力変動のスティックスリップ現象(物体と物体がすべり運動をするときに、摩擦によって止まったり、すべったりを繰り返す現象。ワイパーのビビり音も同じ)が起こることで発生する。
つまり、トレッドゴムの振動音で、タイヤのゴムのコンパウンドやトレッドパターンの形によって、音の出やすさが左右される。
簡単に言えば、グリップの低い安物タイヤほど、スキール音が出やすい。また、立体駐車場の床などはアスファルトの路面よりきれいな平面で、高硬度なウレタン(セラミック)塗装を塗布しているところもあり、ハイグリップタイヤで低速で走っても、スキール音が出ることがある(路面が滑りやすいだけで、タイヤへのストレスはごくわずか)。
一方、雨や雪、アイスバーンでは、スリップしても、スキール音はほとんど出ない。タイヤのグリップでいえば、わずかにスキール音が出るぐらいのスリップ率がグリップのピークとなる。
スキール音が出ているのに、それ以上ハンドルを切っても曲がらないし(速度を落とすしかない)、アクセルオンで駆動輪がスリップしていれば、それ以上踏んでも加速しない。ブレーキであればABSが働くか、ロックするだけ。
そういう意味では、スキール音はタイヤのグリップ限界を教えてくれる大事なインフォメーションのひとつ。急速な摩耗の原因にもあるので、緊急時以外はできるだけ、スキール音を出さない運転を心がけるとともに、頻繁に出るようなら、もう少し高性能なタイヤに履き替えよう。
(文:藤田竜太)
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