2016年12月1日、フォルクスワーゲン・グループ(アウディ、ポルシェ含む)、BMWグループ、ダイムラー、フォードが欧州の主要幹線道路に超高出力の急速充電設備を設置するための合弁事業を行なうことが発表された。
これは大容量のバッテリーを搭載する電気自動車、電動トラックなどに対応した350kWという高出力の直流充電装置を主要幹線道路に設置するための合弁事業で、ヨーロッパで約400ヶ所の充電ステーションを構築する。これは自動車メーカーの枠を超え、次世代の電動車に対応するコンバインド・チャージング・システム(CCS:コンボ方式)による充電設備ネットワーク構築なのだ。
この合弁事業を展開するため、フォルクスワーゲン・グループ、BMWグループ、ダイムラー、フォードの各社は、覚書に署名した。
計画されている出力350kWの超高速・高出力充電のネットワークは、現在展開されている充電システムの速度を大幅に上回る。このネットワークの構築は、2017年に開始される予定で、欧州で約400ヶ所の設置が初期目標として計画されてる。
この事業によりユーザーは2020年までに数1000ヶ所の高出力充電ステーションの利用が可能になる。幹線道路や主要道路沿いのオープンネットワークの充電ステーションによって、これまで大半の電気自動車のドライバーが実現できなかった長距離走行を可能にすることが目標で、充電が従来のガソリンスタンドの給油と同じくらい簡単で早くなることが目標だ。
ヨーロッパの電気自動車向けの充電システムは、交流、直流のいずれにも対応する200kW(1000V/200A)のコンバインド・チャージング・システム(CCS:コンボ方式)が展開されていたが、新たな超高速充電は出力を350kWにして、充電速度を大幅に高めるというシステムだ。これにより、充電時間は10分以下になると予想される。
日本で規格化したCHAdeMO(チャデモ)方式の場合、急速充電の出力は50kW(500V/125A)で、80%充電に要する時間は30分とされている。CHAdeMO協議会は充電設備の高出力化については2020年までに150kW化することを目標としている。
グローバルで電気自動車用の充電装置の規格を見ると、アメリカ/オーストラリアが200kWのコンボ1方式(1000V/200A)、ヨーロッパの200kWコンボ2方式(1000V/200A)、中国がGB規格、テスラが独自の120kWのスーパーチャージャー(400V/300A)、そして最も先行した日本はCHAdeMO規格となっている。
2010年に規格化された日本のCHAdeMO方式と、2012年5に提案された米欧のコンボ規格、中国のGB規格はいずれも国際電気標準規格とされている。
今後、電気自動車のバッテリー容量が増大することを考えると、充電装置はより高出力化が求められるが、今回の合弁事業の意味が理解できる。
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