現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【疑問】なぜ新型ホンダNSXはカーボンではなくアルミフレームなのか

ここから本文です

【疑問】なぜ新型ホンダNSXはカーボンではなくアルミフレームなのか

掲載 更新
【疑問】なぜ新型ホンダNSXはカーボンではなくアルミフレームなのか

最近のアルミ技術は重量と剛性の面でRTMカーボンに劣らない

スーパーカーというのは超絶なクルマのこと。普通のクルマのモノサシでは計れない特別なクルマです。その世界に登場した新型ホンダNSXですが、3モーターのハイブリッドシステムやトルクベクタリングなど、スーパーなメカニズムが盛り込まれています。性能も当然スーパーです。

【速攻試乗】ガンさんこと黒沢元治が新型ホンダNSXを斬る!

でもボディはアルミのスペースフレーム構造で、カーボンモノコックは採用されませんでした。最新のスーパーカーなのに、カーボンを採用しなかった理由はどうしてなのでしょうか?

カーボンというのはレーシングマシンなどに使われているように、軽量で剛性が高く、ボディ骨格に使えば安全性も高くなります。

ただし最近の市販車に採用されるのはレーシングマシンのようなドライカーボンではなく、RTMという製法によるもので、剛性は高くないもののとても安価で、精度が高くなっています。MP4/12C以降のマクラーレンも、レクサスLFAも、みんなRTMのカーボンが採用されています。

対してアルミは、初代NSXが採用していたことでも知られています。スチールよりは軽量で、しかも柔らかい素材なので複雑な部品を一体化して制作することもできます。

アルミについても年々加工技術は進化していて、より効率的な設計が行えるようになっています。現在は、重量と剛性のバランスでいえば、RTMのカーボンと大差ないレベルにあるといわれています。つまりアルミはカーボンに対して、価格面で有利だということになります。

ホンダに問い合わせたところ「重量や価格などを総合的に判断して」アルミボディを採用したということです。

拡張性を重視しモノコックではなくフレームを採用

新型になったのにボディは初代と同じアルミ、とはいえ中身は全然別モノです。初代はオールアルミモノコックボディです。これは剛性と重量をもっとも高いレベルで作ることができます。

それに対して新型はアルミスペースフレーム構造で、絶対的な剛性や重量は不利ですが、剛性を高めたり、オープン化したり、ボディサイズを伸縮したり、ボディパネルを変更するのは圧倒的に楽になります。

アルミスペースフレームはアウディがA8やR8に採用しています。A8ではホイールベースが2種類あったり、またR8ではボディ後方のセクションだけを設計変更して、サイズ的に難しいとされていた7速DCTを搭載しました。

ホンダがアルミスペースフレームを採用した理由は、そうした拡張性の高さが欲しかったのかもしれません。ハイブリッドを外したシンプルなNSXを作ろうと思えば、最適な剛性と重量で作り替えることができることでしょう。

なぜ拡張性が必要なのか?  拡張性の悪さが初代NSXが抱えていた問題点であり、それが進化を難しくし、結局ライバルたちの進化を追いかけることができませんでした。対して新型では拡張性を盛り込んだことで、大幅なメカニズムやボディデザインの変更が可能になっているのです。

新型NSXなら、V8だろうが、V10だろうが、比較的簡単に搭載することができます。つまりホンダは今後NSXを継続的に進化・発展させながら、作り続けていきます! と宣言しているように見えるのです。

スペックマニア的な気分でいえば、アルミよりもカーボンのほうがエライ感じはしますが、現実的に考えればカーボンを使えるのセンターのモノコックタブだけで、前後はアルミスペースフレームになります。

音や振動といった快適性を考えるとアルミのほうがずっと楽なはずで、デートからサーキットまでオールラウンドに楽しむことを考えるなら、ベターな答えだったかもしれません。

(文:岡村神弥)

こんな記事も読まれています

国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
ベストカーWeb
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
レスポンス
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
VAGUE
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
くるまのニュース
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
レスポンス
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
日刊自動車新聞
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
月刊自家用車WEB
日産が「新型セダン」を世界初公開! 2台の「ゴツSUV」も登場! 26年度までに投入の「新型モデル」4台を北京ショーで披露
日産が「新型セダン」を世界初公開! 2台の「ゴツSUV」も登場! 26年度までに投入の「新型モデル」4台を北京ショーで披露
くるまのニュース
メルセデスF1の作戦は“ガンガン行こうぜ”! マシンバランス改善する新パーツ開発中。次戦マイアミGPでもアップデート投入へ
メルセデスF1の作戦は“ガンガン行こうぜ”! マシンバランス改善する新パーツ開発中。次戦マイアミGPでもアップデート投入へ
motorsport.com 日本版
1台……超頑張っても2台しか曲がれないって短すぎん!? 極端に点灯時間が短い「右折の矢印信号」はどうすれば改善される?
1台……超頑張っても2台しか曲がれないって短すぎん!? 極端に点灯時間が短い「右折の矢印信号」はどうすれば改善される?
WEB CARTOP
【MotoGP】ド級のライバル、ロレンソ&ペドロサが今度はリングで対決!? ボクシング勝負が実現か
【MotoGP】ド級のライバル、ロレンソ&ペドロサが今度はリングで対決!? ボクシング勝負が実現か
motorsport.com 日本版
【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
レスポンス
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「量子コンピュータ×自動車分野での活用メソッド」
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「量子コンピュータ×自動車分野での活用メソッド」
レスポンス
GW渋滞、本四高速・松山道のピークはいつ? 5月3日に神戸淡路鳴門道で最大55km級の渋滞が発生!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
GW渋滞、本四高速・松山道のピークはいつ? 5月3日に神戸淡路鳴門道で最大55km級の渋滞が発生!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
くるくら
【MotoGP】ワイルドカード参戦のダニ・ペドロサ、2年連続の母国戦参加は「予想外」KTMのスピード向上に今回も尽力へ
【MotoGP】ワイルドカード参戦のダニ・ペドロサ、2年連続の母国戦参加は「予想外」KTMのスピード向上に今回も尽力へ
motorsport.com 日本版
ホンダ、ヴェゼルを一部改良 意匠変更やHVにアウトドアテイストの新パッケージ
ホンダ、ヴェゼルを一部改良 意匠変更やHVにアウトドアテイストの新パッケージ
日刊自動車新聞
トーヨータイヤが“低電費”と耐摩耗性能を両立した小型EVトラック用リブタイヤ「ナノエナジー M151 EV」を発売
トーヨータイヤが“低電費”と耐摩耗性能を両立した小型EVトラック用リブタイヤ「ナノエナジー M151 EV」を発売
レスポンス
日産が新型「小さな高級車」発表! 全長4.3m級&上質内装を採用! 高級スニーカーから発想得た「キックス」とは
日産が新型「小さな高級車」発表! 全長4.3m級&上質内装を採用! 高級スニーカーから発想得た「キックス」とは
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2420.02794.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

600.05900.0万円

中古車を検索
NSXの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2420.02794.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

600.05900.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村