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【舘内 端 連載コラム】第33回 新聞記事斜め読み  環境とエネルギーをめぐる自動車の旅 その3 

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【舘内 端 連載コラム】第33回 新聞記事斜め読み  環境とエネルギーをめぐる自動車の旅 その3 

前回につづき、新聞とWeb記事を拾い、私なりの解説を加え、その記事の背景や持っている意味について考えてみたい。もちろん、連載テーマ「環境とエネルギーをめぐる記事が中心である。

日本車 アフリカ攻略(日経)9月6日日本の自動車各社がアフリカで生産・販売を拡大すると日経は伝えている。2016年8月27日の毎日新聞が「安倍首相 アフリカに3兆円投資 官民・3年で」と伝えた記事をフォローしたような記事である。

安倍首相は、8月27日にナイロビで開催された第6回アフリカ開発会議で「官民挙げてアフリカを開発する」と3兆円の投資を約束したのだが、この記事はその言葉がウソではないことを示したことになる。

トヨタは南アのダーバン工場で新興国用戦略車IMVの生産を増強する。11年ぶりに新型車に切り替えるために440億円を投じる。年間生産台数を12万台から14万台に増やし、南ア国内だけではなく、アフリカ各国や欧州にも輸出する。

日産は新興国ブランドのダットサンの販売を増やす。販売店を2014年比3倍の90店舗まで拡大する。そのほか日野自動車はトラックを、三菱ふそうトラック・バスはトラクターを販売する。

このように伝えているが、ここにホンダ、マツダ、スバルも加わるに違いないと加えておこう。こうして日本の自動車メーカーは最後のフロンティアに向かうので、各メーカーの技術者はアフリカ対策車の開発に専念することになり、当然ながら日本国内専用車の開発は二の次となる。工場はもちろんのこと、やがて開発も現地で行なわれる。生産技術者だけではなく、南ア在住の開発技術者が増えるに違いない。

つけ加えれば、南アを拠点にアフリカ大陸で成功を収めた社員は、次期社長候補である。 ただし、アフリカの2015年の自動車販売台数は155万台で、対前年比マイナス8%である。最後のフロンティアは厳しそうだ。ガンバレ! 未来の社長さん。

研究拠点 国内重視に(日経)8月13日小学生の頃は、「日本は資源がないのだから、(途上国から安い)資源を輸入して、高い技術を加えて輸出し、外貨を稼いで国を豊かにするのだ」と教えられた。そのとおりに日本は技術を磨き、発展させ、安い資源をさらに買い叩いて輸入し、産業を、経済を発展させてきた。しかし、日本の技術の大半は、かつての途上国でも開発が進み、新たな技術を開発するしかない。もちろん自動車も同様だ。

しかし、円高で輸出が儲からなくなると、日本を捨ててでも現地生産が必須となり、やがて技術も現地で開発することになった。事実、2012年は国内企業の研究開発投資は、海外が国内を9%上回っていた。国内企業の開発拠点は、まずは米国に移り、やがて中国に、アジアに移り、今やアフリカに向かっている。

ところが、2016年度では、国内企業の4社に1社が、2016年度以降に国内拠点を新設、拡充するという。海外の拠点を充実するという企業を5%上回った。では、どのような技術が研究開発されるのか。

トヨタは自動運転技術と新しい設計手法による新車開発。ホンダは電動化技術とモータースポーツ技術。日産はEVと自動運転。パナソニック、ソニー、日立、キャノンは、IoT、ロボット、人工知能技術に集中している。最近、注目されている技術のオンパレードだ。

閑話休題しかし、人口知能やら、それを使った自動運転は可能なのだろうか。人類は大いなる錯誤をしているような気がしてならない。生命や自然に対して不遜ではないのか。たしかに科学とそれをベースにした技術は、産業を興し、発展させ、私たちの生活を豊かにしてきた。しかし、それは先進国と呼ばれる一部の国と、そこに住まう人々だけであり、大きな格差が地球を覆っている。そして、地球に大きな負荷をかけたままだ。

このことは、科学・技術が未発達だからである。あるいはもともと科学・技術は、自然や生命のもつシステムに反するからである。科学は、世界の見方の一つの方法に過ぎない。だが、その見方は技術を発展させるのに好都合であった。そういうことだ。

では、自然や人間や命は、科学でできているのだろうか。もし、そうなら人類はとっくの昔に生命を発明していてもおかしくない。だが、そうはならなかった。自然や人間や命は、科学とは違うシステムでできているからだ。科学とは異なる考え方を発明しないと、人類は生命を作れない。

科学とは違うシステムで自然や人間や命を考えるシステムが、哲学であり、宗教であり、芸術である。科学ではこれらを判定できないのだ。それが悔しいのか、科学者や技術者は、それらが「科学的ではない」といって退ける。しかし、それはすべてが科学で解明できると思うからである。それは自然や人間や命に対して不遜である。

人間というよりも生命の一部であり、重要な臓器である「脳」は、したがって科学では解明不能であり、ましてや人工の「脳」は作れないのである。人工知能とは、形容矛盾である。

こうしたことは、とっくの昔から明らかだったのだが、なぜ、現在になって、人間は「脳」を作るなどと、不遜なことを言い始めたのか。それは、科学にもフロンティアがなくなったからだ。次へ行こう。

米ベンチャー 宇宙探査着々 月や小惑星で資源開発 当局が承認(日経)8月13日米ベンチャーのムーンエクスプレスがこのほど民間企業として初めて米当局から月探査の承認を得た。また米国を中心とする約20社の宇宙ベンチャーの資金調達額は2015年に前年の14倍超に膨らんだ。宇宙の商業化を競う動きが広がると伝えている。アフリカの後は宇宙だ。

ムーンエクスプレスは、グーグルが後援する月面ロボット探査レースに参加している。このレースには、日本からも宇宙の資源開発をめざすベンチャーが名を連ねている。米国は2015年に国内法で企業による宇宙資源探査を認めている。世界的な宇宙資源開発競争をリードしようという目論見である。

こうした米国の動きに負けまいと欧州ではルクセンブルクが同様の法整備を済ませている。後を追う日本にも抜かりはない。宇宙産業ビジョンの策定に着手している。登場する国、地域は、米国、欧州、日本。登場する企業はグーグル、アマゾン・ドット・コムやら、小さなベンチャー企業。登場する人物は、ラリー・ペイジ(グーグルの創業者)等の大金持ちだ。

絵に描いたような相関図だ。ここに当然ながら、IoT、人工知能、自動運転、ロボットが深く関係する。なんだ。これは!

途中下車月や火星にまで行って、あるいは5000メートルもの深海を掘って資源を探査しようという話を聞くが、なぜそこまでする必要があるのか。いつも、疑問である。そうした私の疑問に2人が答えてくれた。友人の一人は、「宇宙だ。深海だ。資源だ。人工知能だというと、国から予算が付くからだ」と教えてくれた。

それは企業においてもそうに違いない。社長が「(投資先が喜ぶ)何か新しいことはないか」と役員に問うと、上記のような答えが返ってくる。そして、グーグルもアマゾンも、喜んで投資し、資金が集まる。もちろん一番喜ぶのは株主である。金で金を作るという金融関係の新商品しか新しい投資先はないのだが、それはリーマンショックのようにバブって泡と消えるしかない。もっと大きく儲かる夢のある投資先を探している。宇宙も深海も無限である。こんなにワクワクする投資先はないのだ。

国家予算と株。この2つが宇宙と深海の資源開発を推進しているのである。もう一人は、かの有名な宇宙人ならぬ宇宙パイロットである。私の開発したEVミラに試乗してもらったときの話だ。

2009年に、私は東京・日本橋から大阪・日本橋までの555.6kmを、自作のEVであるミラを途中無充電で走らせ、ギネス記録を樹立した。いまだこの記録は破られず、私は世界記録保持者である。

それはともかく、栄光のEVであるEVミラに乗っていただこうと、科学未来館にでかけた。かの宇宙パイロット氏とは、雑誌NAVIの対談でお会いしたことがあり、面識はあった。試乗の折、話は宇宙に向かった。そこで、「なぜ米国は宇宙に関心が強いのですかね」と、訪ねた。すると氏は、

「米国の歴史って、東部から西へ、西へと開拓を進めたでしょう。でね、とうとう西の果てのカリフォルニア州に着いた訳ですよ。そこから先は太平洋。海だから幌馬車では進めない。しかし、西へ、西へと進む開拓魂はなかなか鎮まらない。そこで空を見上げると、無限の空間が広がっていた。ヨーシというわけですよ」と、とてもわりやすく私の疑問に答えてくれたのだった。次へ行こう。

CO2地中貯留を研究 国際石開帝石など 30年実用化めざす(日経)3月23日国際石油開発帝石と石油資源開発、大成建設、応用地質などは、発電所や工場から出る二酸化炭素(CO2)を地中に封じ込めるCCS(回収・貯留)の共同研究に乗り出す。2030年までに年100万トンのCO2をためられる大規模なCCSの実用化をめざす。事業費は2016年度からの5年間で50億円規模となる。

また、日本CCS調査は4月から北海道苫小牧市でCCSの実証試験を始めた。地下1200mと2800mの2つの地層に年10万トン以上のCO2を埋める計画である。背景には、世界全体で地球温暖化・気候変動を止めようというパリ協定がある。この記事の後、9月4日には中国と米国というCO2排出量世界1位と2位の2国がパリ協定を同時に批准するという記事が出た。いよいよ本格的な地球温暖化・気候変動防止運動が始まるのだ。

どうしても排出してしまったら、そのCO2はなんとしても吸収して大気に放出しないようにしなければならない。石油、天然ガス、石炭の化石燃料の利用は、しばらくは止められないのだから、そこから排出されるCO2を地中に貯留するCCSは必須なのだ。

しかし、多くの解決しなければならない課題もあり、うまくいくかどうか不透明な部分もあり、とりあえず研究と実証試験をしようというわけなのだが、経産省は2020年には実用化したいという。これもパリ協定のプレッシャーである。

ところで、自動車ユーザーは1年にどれほどのCO2を出してしまうのだろうか。たとえば月に1000km、年間1万2000km 走るとして、燃費がリッター10.5km(自家用車の平均燃費)とすると、年間のガソリン消費量は1143リットルだ。

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