走行距離が多いためコストが抑えられる
終電を逃してしまったときや、酒席のあとなど、クルマを愛用する人たちでも利用する機会の多いタクシー。
よく街中で見かけるセダンタイプのタクシーはガソリンではなくLPG(液化石油ガス)で動いているということをご存じの方も多いだろう。もはやタクシー専用車といっても過言ではないトヨタ・コンフォート/クラウンコンフォートなどはLPG車しか設定されていないほどだ。
では、なぜタクシーはガソリン車ではなくLPG車が多いのだろうか? 気になる点を東京地区最大手のタクシー事業者である日本交通さんに聞いてみた。
メリット1・燃料コストが安い
1リッターあたりの価格で比較すると、おおよそレギュラーガソリンの半分くらいの金額で入れることが可能とのこと。気になる燃費も同クラスのガソリン車とほぼ同等ということだ。昔のLPGはパワーがなく、燃費もよくないという時代もあったそうだが、近年のLPG車は動力性能も大差ないらしい。
メリット2・環境負荷が小さい
LPG車は排出ガス中の一酸化炭素(CO)の量が少なく、ガソリン車やディーゼル車よりも排出ガスがクリーン。一般の乗用車よりも長い時間稼働するタクシーにおいては、環境負荷の小ささも無視できない部分だ。そんなLPG車だが、もちろんデメリットがまったくないわけではない。それは……。
デメリット1・LPGタンクの使用期限が定められている
とくにタンクの使用期限などが定められていないガソリン車やディーゼル車と違い、LPG車のタンクには使用期限が定められており、期限が来たタンクは検査をパスしない限り、LPGの充てんができなくなってしまうのだ。タンクの使用期限は通常6年と車検よりもスパンは長いが、車検とは別に検査費用が掛かってしまう。
デメリット2・LPGスタンドが少ない
全国に存在するLPGスタンドはおよそ1500件。一方のガソリンスタンドは30000件以上と、圧倒的に少ない。タクシー事業者は提携のLPGスタンドがあることが多いそうだが、長距離のお客さんを降ろした後など、LPGスタンドの少なさに冷や汗をかくこともあるそうだ。
ということで、タクシー事業者の平均的な年間走行距離を鑑みると、タンクの検査交換費用などを考慮してもLPGのほうがコストが抑えられるというのが最大の理由のようだ。
(文:小鮒康一 取材協力:日本交通株式会社)
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