現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > テスラの事故から考える日産セレナの「自動運転技術」の必要性

ここから本文です

テスラの事故から考える日産セレナの「自動運転技術」の必要性

掲載 更新
テスラの事故から考える日産セレナの「自動運転技術」の必要性

両車とも基本的なメカニズムは似ている

日産が2016年8月に発売するミニバン「セレナ」から『プロパイロット』と名付けられた自動運転技術を搭載することが発表された。一方、その少し前のタイミングで、アメリカにおいてEVメーカー「テスラ」の自動運転技術『オートパイロット』を利用中に起きたと思われる死亡事故が報道された。

【ついに解禁】カメラとモニターで後方視認する「ミラーレス車」に危険はないのか?

さらに日産とテスラは(それ以外のメーカーも含まれるが)、同様の動画アルゴリズムによって前方を認識しているといわれている。テスラで起きたような事故は日産でも起きてしまうのか。はたして「自動運転」は安心して利用できるのだろうか。

その前に「自動運転」の定義から情報を整理したい。まず大事なのは無人運転と自動運転は別物であるということだ。

たしかに究極的には似てくるかもしれないが、無人運転というのは列車や軍事利用で見られる遠隔操作や決まったルートにおける再現走行といったものを含むが、自動運転というのは車両に搭載されたセンサーや制御系、将来的にはAI(人工知能)により自律走行を行なうシステムを指している。

日産が「自動運転技術」と呼んでいるのは、もちろん後者のテクノロジーであり、部分的に自律走行を行なうというものである。

自律走行を自動運転として規定した場合にも、その段階はいくつも存在する。少々ややこしいが、ドライバーが目的地だけ指示すればすべてを機械が担うシステムだけが自動運転というわけではない。

セレナの技術は有用だが利用者の正しい認識が必須!

現実として自動運転はレベル分けされているのだ。その分け方については国や組織によって異なるが、テスラの「オートパイロット」にせよ、日産の「プロパイロット」にせよ、現時点ではレベル2に分類される限定的な自動運転に過ぎない。

ちなみにドライバーの操作が不要な自動運転は、ほとんどの分け方においてレベル4以上に分類される。セレナに搭載される「プロパイロット」は、現時点においてはドライバーの操作が不要な自動運転を実現したわけではない。

おおむね、レベル2というのは、機械が加減速と操舵を同時に担うというもので、そのカバーする速度域によって差はあるが、ほとんどの自動車メーカーが市販車に実装しているレベルの自動運転技術といえる。つまり、自動運転というバズワードを使っているものの、その中身としては、より進化した運転支援機能と捉えたほうが理解しやすい。

※出展:内閣府 SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「自動走行システム 研究開発計画 2015」より

実際にはアウディの「トラフィックジャムアシスト」やメルセデスの「ディストロニック・プラス(ステアリングアシスト付き)」といったドイツ勢の高価格車が先行していた機能をセレナというミニバンに載せたという意味の方が大きいだろう。

いずれにしてもレベル2の自動運転というのは、ドライバーの意志によって自律走行モードを選択し、ドライバーが監視をしておき、危険を感じた際にはドライバーの操作(自律走行モードのスイッチオフ、もしくはステアリング操作などのオーバーライド)によってマニュアル運転に戻すことを前提としたレベルに過ぎない。

もちろん、それでも十分に便利であるし、ドライバーの疲労を抑え、ミスを減らしてくれる支援機能としては十二分に有効である。しかしながら自動運転につながる技術ではあっても、現段階では運転支援であることをユーザーが理解していなければ、前述したようなテクノロジーを過信したゆえの事故は起きてしまうだろう。

間違った使い方による事故を防ぐために、ワーニング機能なども備えているが、ともかくユーザーが正しい利用法を守ることが、自動運転テクノロジーのメリットを享受するのに重要な条件となることは忘れてはならない。

(文:山本晋也)

こんな記事も読まれています

タイヤブランドGTラジアルよりオールシーズンタイヤ「4シーズンズ」発売
タイヤブランドGTラジアルよりオールシーズンタイヤ「4シーズンズ」発売
レスポンス
これぞ徹底的に遊べる軽!──新型ホンダN-VAN FUN STYLE+ NATURE試乗記
これぞ徹底的に遊べる軽!──新型ホンダN-VAN FUN STYLE+ NATURE試乗記
GQ JAPAN
グランツーリスモ7に新規車種3台を追加するアップデート配信。シュコダがシリーズ初登場
グランツーリスモ7に新規車種3台を追加するアップデート配信。シュコダがシリーズ初登場
AUTOSPORT web
顔が…いや全身変わった!? ホンダの売れ筋コンパクトSUV「ヴェゼル」改良 ハイブリッドはEVに近づく?
顔が…いや全身変わった!? ホンダの売れ筋コンパクトSUV「ヴェゼル」改良 ハイブリッドはEVに近づく?
乗りものニュース
ワイパー「高速運転」はゴム寿命縮める? 面倒な交換ケチって「ゆっくりモード」本当にコスパは良いのか
ワイパー「高速運転」はゴム寿命縮める? 面倒な交換ケチって「ゆっくりモード」本当にコスパは良いのか
くるまのニュース
スバルとスカイラインにフィーチャー…第4回アリオ上尾 昭和平成オールドカー展示会
スバルとスカイラインにフィーチャー…第4回アリオ上尾 昭和平成オールドカー展示会
レスポンス
MS&AD新社長の舩曵真一郎氏が会見 代理店への「週末イベントの手伝いはやめる」
MS&AD新社長の舩曵真一郎氏が会見 代理店への「週末イベントの手伝いはやめる」
日刊自動車新聞
【MotoGP】最高峰クラスデビュー以来好調のアコスタ、浮足立たずにいるための鍵は『普通の生活を見ること』
【MotoGP】最高峰クラスデビュー以来好調のアコスタ、浮足立たずにいるための鍵は『普通の生活を見ること』
motorsport.com 日本版
レクサスLBXが生まれる工場【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】
レクサスLBXが生まれる工場【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】
グーネット
日産、欧州向け「キャシュカイ」に新たな「ニッサンコネクト」を採用
日産、欧州向け「キャシュカイ」に新たな「ニッサンコネクト」を採用
日刊自動車新聞
渥美心がボルドールから遂げたル・マンでの成長、新クルーチーフの存在に「速く走らせる方法が理解できてきた」/EWC
渥美心がボルドールから遂げたル・マンでの成長、新クルーチーフの存在に「速く走らせる方法が理解できてきた」/EWC
AUTOSPORT web
ハジャーが総合最速。マルティ2番手でカンポス1-2。宮田莉朋は2日目午後にトップタイム|FIA F2バルセロナテスト
ハジャーが総合最速。マルティ2番手でカンポス1-2。宮田莉朋は2日目午後にトップタイム|FIA F2バルセロナテスト
motorsport.com 日本版
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
くるくら
<新連載>[低予算サウンドアップ術]“超基本機能”を駆使して「低音増強」を図る!
<新連載>[低予算サウンドアップ術]“超基本機能”を駆使して「低音増強」を図る!
レスポンス
GW期間中に多いクルマのトラブルは何? JAFが2023年に救援した出動理由TOP10を紹介!
GW期間中に多いクルマのトラブルは何? JAFが2023年に救援した出動理由TOP10を紹介!
くるくら
レッドブル離脱のニューウェイはどこへ行く……アロンソとホンダが待つアストンマーティン? それともハミルトン加入のフェラーリ?
レッドブル離脱のニューウェイはどこへ行く……アロンソとホンダが待つアストンマーティン? それともハミルトン加入のフェラーリ?
motorsport.com 日本版
「背の低いマツダ」ついに出た! 新「マツダ6」じゃないよ「EZ-6」中国で発表 “電動専用車”に
「背の低いマツダ」ついに出た! 新「マツダ6」じゃないよ「EZ-6」中国で発表 “電動専用車”に
乗りものニュース
マツダが新型「ロータリースポーツ」登場へ!? 美しすぎる「和製スポーツカー」のスペックは?価格は? 期待高まる「アイコニックSP」どうなるのか
マツダが新型「ロータリースポーツ」登場へ!? 美しすぎる「和製スポーツカー」のスペックは?価格は? 期待高まる「アイコニックSP」どうなるのか
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

276.9479.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

5.8499.9万円

中古車を検索
セレナの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

276.9479.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

5.8499.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村