レクサスの2ドア・クーペの「RC300h」に小川フミオが試乗した。一部改良による進化とは?
細かい改良の成果
“優雅”と“過激”が織り成すアストンらしさとは? ヴァンテージ・ロードスター試乗記
ボディ剛性があがり、かつ軽量化したレクサス「RC300h」に試乗した。マイナーチェンジがおこなわれたのは2020年9月。操縦性、安定性、そして快適性が向上した、と謳われるスポーティクーペの印象は、かなりよかった。
アグレッシブなスタイルのレクサスRCは、見た目からの期待を裏切らない動力性能で評価できるモデルだ。今回のマイナーチェンジでは、スポット溶接打点の追加によりボディ剛性が向上し、スタビライザーバーが高強度鋼材を採用したことや、リアサスペンションの一部に高強度アルミ材を使ってバネ下質量を低減したことなどが眼目である。
Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui目的は「レクサス独自の乗り味“Lexus Driving Signature”をより高い次元へと昇華させること」という。2014年登場のRCにはこれまで、2017年、18年、19年と連続してマイナーチェンジが施されてきた。
2017年は、予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」を標準設定し、3.5リッターV型6気筒ガソリンエンジン搭載の「RC350」を設定した。2018年は、空力性能やサスペンションの改良、徹底的な走りこみに基づくパワートレーンのチューニング、そして2019年はマルチメディアシステムを刷新し、スマートフォンと連携可能にしている。
Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui2019年に乗ったときは、とりわけRC350とRC300hの走りが目にみえてよくなって驚いたのを、いまもよくおぼえている。
「レクサス車は毎年改良していきます」と、当時、同ブランドの技術統括の佐藤恒治氏(現・LEXUS INTERNATIONALプレジデント)が語っていた。そのとおりの出来だと感心したものだ。
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasui想像以上にスポーティ
2020年のRC300hは、2493ccの直列4気筒ガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせて、後輪を駆動するというレイアウトは不変。131kWの最高出力に221Nmの最大トルクを発生するエンジンに、105kWと300Nmのモーターの組み合わせだ。
ドライビングシートにからだを落ち着けたときに、すぐにヤル気が掻き立てられる。グリップが太い小径ステアリング・ホイールを握り、脚をやや前方に投げ出して座るポジションをとり、ガングリップのような形状のシフトレバーに手をやるだけで、気分が盛り上がってくる。うまい造形感覚だ。
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasui走りは、よりスポーティになったと感じられた。ひとつは、モーターの制御がこれまで以上に緻密になり、エンジン走行中にシフトアップしていく際も、モーターがカバーするためトルクの落ち込みはいっさい感じられない。
もうひとつは、エンジンそのもののチューニングにある。技術者への取材をしていないものの、エンジンの回転マナー(とトルクの出方)を決めるフライホイール(はずみグルマ)が小さくなっているように思えた。
アクセラレーターをあおって回転をあげると、おかげで、即座にエンジン回転が、はずみがついたようにスムーズに上がる。モーターのサポート制御も見直されているそうだ。
ドライブモードセレクターで「スポーツS」あるいは「スポーツSプラス」を選んで、3000rpmから上の回転域を使ってドライブを楽しむときは、この軽快なフィールがよりよく感じられるのだ。
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiいっぽうで回転がスムーズすぎるため、エンジンを上の回転域までひっぱってからアクセラレーターにのせた足の力をゆるめると、予想以上に回転おちが速い。この感覚はむかしのスポーツカーのようだ。スポーツモードでワインディングロードを……というときは、シフトをマニュアルモードで操作するのがいいだろう。
マニュアルモードで走ると、すばらしくスポーティなドライビングが味わえるはずだ。こんなふうにちょっとドライブのテクニックが必要なのも、RCを好むひとには向いていると思う。
Hiromitsu Yasuiとはいえ「ノーマル」を選択すれば、市街地で安逸なドライブが楽しめる。ドライブモードで二面的なキャラクターを楽しめるクルマなのだ。
ハンドリングは、これまでのモデルのよさを引き継いでいる。1740kgの車重をもつボディは、高速などでは重厚感を感じさせるいっぽう、カーブでの身のこなしは、ステアリング・ホイールと車体ががっちりつながっているような、高い応答性を感じさせる。足まわりの追従性は(レクサスの常として)すばらしく、どんな道でも安心してスピードを楽しめるクルマだ。
Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui国産ラグジュアリークーペの未来とは
2ドアクーペの市場が、かつてと比べ大幅に縮小した今、未来はどうなってしまうのだろうか?
レクサスはとりあえず、「LC」については次の世代でよりスポーティ(ウルトラスポーティ)に進化させると謳っている。RCについては、とくに発表がない。はたして今後はいかに……。
RCのボディは全長×全幅×全高:4700mm×1840mm×1395mmと適度なサイズで、かつてのソアラ(2代目:4675mm×1725mm×1335mm)を彷彿とさせる。大ヒットした2代目「ソアラ」のボディサイズはだから現行RCに近い。トヨタのフラグシップクーペという点では、ソアラの後継は現行LCかもしれないが、取りまわしを考慮した適度なボディサイズに大人4人が座れるパーッケージングを考えると、かつてのソアラは現行RCのような気がしなくもない。
Hiromitsu Yasui価格も、2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載する「RC300」なら576万9000円~だから、1000万円オーバーのLCと異なり、より幅広い層にアピールする。サラリーマンでも背伸びすれば購入できたかつてのソアラに近いのは、やはりLCではなくRCのような気がする。
とはいえ、かつて毎月5000台以上販売されていた2代目ソアラと比べ、RCのセールスはそこまで好調とは言い難い。日本では月に100台も売れていないのだ。それでも、販売し続けているレクサスはスゴい。
もはや希少な国産の2ドア・ラグジュアリークーペを楽しむなら、今のうちかもしれない、と、思うのだった。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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