現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ヒットの法則325】ジャガーXKRはブランドを象徴する「豪放にして優雅」なクルマだった

ここから本文です

【ヒットの法則325】ジャガーXKRはブランドを象徴する「豪放にして優雅」なクルマだった

掲載 更新 2
【ヒットの法則325】ジャガーXKRはブランドを象徴する「豪放にして優雅」なクルマだった

2007年、ジャガーXKシリーズのトップモデル「XKR」が、クーぺとコンバーチブルで日本に上陸している。スーパーチャージャー付きV8エンジンを搭載するジャガー・レーシングカー由来のモデルはどんな魅力を発散していたのか。今回は箱根で行われた試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年6月号より)

レーシング風味だが佇まいはエレガント
ジャガーXKRの試乗会に招かれた。日付は4月16日。なんと私の誕生日ではないか。そこでふと思い出したことがある。私が高校2年生のころだったか、三畳ほどの勉強部屋の壁にジャガーEタイプの透視図を画鋲で止め、時々眺めては楽しんでいた。クルマ好きの友人から貰ったと記憶している。当時はさほどクルマに興味があったわけではなかったが、ジャガーEタイプだけは特別に思えた。スタイルも性能も他のクルマとは別の次元でスゴイな、というくらいはわかったのだ。そう、若かった私の夢のスーパーカーはEタイプなのであった。それから40余年経った今、Eタイプと血脈が通じる新しいXKRに乗れる……ハッピーバースデイである。で、私的昔話はオシマイ。

【くるま問答】最近のクルマにテンパータイヤはない。パンク修理キットをどう使う? 最高速は?

ジャガーのスポーツカーXKシリーズはビッグサルーンXJシリーズと同様、ハイテクを駆使したオールアルミニウムボディを採用し、昨年フルモデルチェンジしたが、XKRはそのトップグレードに位置する。エンジンはスーパーチャージャー付きで出力は426ps。いまやこのハイエンドスポーツカーの世界では400ps超は常識となってしまった。

さて、試乗会当日はあいにくの雨。ご対面したXKRは標準モデル(自然吸気)のXKとエクステリアのディテールがずいぶんと異なる。まず顔つき。フロントグリル、スカート部分のデザインが戦闘的になり、メッシュ(網目)が張られている。これは従来からスーパーチャージャー搭載モデルを表す記号。そしてボンネット、フロントフェンダー後部に計四つのエアベント(通気孔)を持つ。さらにリアには左右2本出しのエキゾーストパイプが輝き、大径のブレーキディスクローターが覗く。そんなレーシング風味を散りばめていても、佇まいは実にエレガントだ。

初めに試乗したのはコンバーチブル。上等としかいいようのないレザーシートに腰を落とし、センターコンソールのスターターボタンを押すと即座にV8エンジンは図太いサウンドとともに目覚める。XKRにはアクティブエクゾーストという排気システムを使った一種の「音響装置」が設けられている。急加速時の豪快なV8サウンドをお楽しみください、というわけ。

ただ、ソフトトップはボタンひとつで18秒で格納できるのだが、大雨ではオープンエアを味わうことはできなかった。

敏感でとても賢いZF製6速AT
そろりと走り出すと、標準の19インチタイヤを履いた足まわりは意外なほどゴツゴツ感がなく、しなやかに動く。ブリーフィングではXKよりもかなり強化したと説明があったのだが、この乗り心地なら市街地の低速走行時でもストレスは感じない。

霧もたちこめる悪天候ゆえ山間部ではスローペースで走らざるを得なかったが、気に入ったのはZF製6速ATの賢さだ。

スポーツマニュアル(パドル操作)で走ると気分爽快。変速は0.6秒で終了するから、まさしくマニュアルギアボックスの達人以上のレベル。4-3-2とシフトダウンすると正確にブリッピング(回転同調)してくれるのは自動ヒール&トウ装置付きといったところ。

ペースを上げるべくアクセルを少し強く踏むと、グワーッとパワー、トルクが盛り上がってくる。426psは過激な数字だが、それは急激に到達するものではない。調教が行き届いているのでちっとも恐くはないのだ。

そしてラフな、オーバースピードで突っ込むようなヘタクソ運転操作をすると、すかさずDSCが働き、コースアウトを防いでくれる。これこそが電子制御のご利益だ。そして気付くのは「ああ、ドイツ系スポーツカーとは違うな」ということ。ボディ、サスペンションが(シートも)「適度に」ユルい感じなのだ。

これはもちろんいい意味のユルさで、ドライバーに過度の緊張を強いない。各部がガチンコではなく、ほどよく撓る気がする。それがジャガー伝統の「猫足チューニング」なのではないかと思う。

次に主力モデルのクーペに乗る。コンバーチブルより車重は40kg軽い1740kg。当然のことながら遮音性、ボディのしっかり感が高いことが伝わってくる。

コンバーチブルで従来型比40%、クーペで30%剛性がアップされたというが、数字的なことよりも、そのフットワークに好感が持てた。XKRは大パワーエンジンを搭載した単なるマッチョなスポーツカーではない。ジャガーの積み上げた伝統技術を巧みに取り入れた新しいスポーツカーだ。

1950年代、一世を風靡したスポーツカー、XK120、60年代のEタイプ、そして現代のXK、XKR。乗って似合うような男になりたいものである。(文:御田昌輝/Motor Magazine 2007年6月号より)



ジャガー XKR コンバーチブル 主要諸元
●全長×全幅×全高:4790×1895×1330mm
●ホイールベース:2750mm
●車両重量:1780kg
●エンジン:V8DOHC+SC
●排気量:4196cc
●最高出力:426ps/6250rpm
●最大トルク:560Nm/4000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●車両価格:1430万円(2007年)

ジャガー XKRクーペ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4790×1895×1320mm
●ホイールベース:2750mm
●車両重量:1740kg
●エンジン:V8DOHC+SC
●排気量:4196cc
●最高出力:426ps/6250rpm
●最大トルク:560Nm/4000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●車両価格:1330万円(2007年)

[ アルバム : ジャガー XKR コンバーチブル ジャガー XKR クーペ はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

期待通りの大ヒットに! V12に5.3Lってロマンの塊だな!! 英国スポーツカーの象徴[ジャガー Eタイプ]
期待通りの大ヒットに! V12に5.3Lってロマンの塊だな!! 英国スポーツカーの象徴[ジャガー Eタイプ]
ベストカーWeb
生誕60周年! ホンダ「S600」はなぜ生まれた? ニュルでクラス優勝して世界に名を知らしめたブラバム ホンダのコンビとは?【クルマ昔噺】
生誕60周年! ホンダ「S600」はなぜ生まれた? ニュルでクラス優勝して世界に名を知らしめたブラバム ホンダのコンビとは?【クルマ昔噺】
Auto Messe Web
ポルシェ、ベッテルをル・マンで起用しない理由を説明「この物語は終わったわけではない」
ポルシェ、ベッテルをル・マンで起用しない理由を説明「この物語は終わったわけではない」
AUTOSPORT web
ホンダが新型「フリード」初公開! 最大のライバル「シエンタ」との“大きな違い”とは!? 最新「小型3列ミニバン」徹底比較!
ホンダが新型「フリード」初公開! 最大のライバル「シエンタ」との“大きな違い”とは!? 最新「小型3列ミニバン」徹底比較!
くるまのニュース
【MotoGP】“マーケティング・ビースト”のマルケス相手なら負けても仕方ない……マルティン、ドゥカティ昇格バトルに白旗?
【MotoGP】“マーケティング・ビースト”のマルケス相手なら負けても仕方ない……マルティン、ドゥカティ昇格バトルに白旗?
motorsport.com 日本版
静岡ホビーショー開幕 会場では「ハコスカ」の実車も公開! 作りやすいプラモデルにした理由とは?
静岡ホビーショー開幕 会場では「ハコスカ」の実車も公開! 作りやすいプラモデルにした理由とは?
乗りものニュース
佐々木美乃里+友野ゆみ=最強ペア爆誕! 2年ぶり復活の「KeePer Angels」が舞い降りる!!!
佐々木美乃里+友野ゆみ=最強ペア爆誕! 2年ぶり復活の「KeePer Angels」が舞い降りる!!!
ベストカーWeb
車の「ガソリン」高すぎる! なぜこんなに高いの? 不適切な「二重課税」が原因? 価格に占める「税金」の割合とは
車の「ガソリン」高すぎる! なぜこんなに高いの? 不適切な「二重課税」が原因? 価格に占める「税金」の割合とは
くるまのニュース
「タイヤ摩耗は予想以上。パフォーマンス面でも、やや劣っているように見える」とトヨタ小林可夢偉/WECスパ初日
「タイヤ摩耗は予想以上。パフォーマンス面でも、やや劣っているように見える」とトヨタ小林可夢偉/WECスパ初日
AUTOSPORT web
ラリー・ポルトガルがいよいよ開幕。オープニングステージはヌービルが最速に。勝田は3番手タイ/WRC第5戦
ラリー・ポルトガルがいよいよ開幕。オープニングステージはヌービルが最速に。勝田は3番手タイ/WRC第5戦
AUTOSPORT web
脅威の営業利益5兆円突破!!! トヨタ佐藤恒治社長 1年目の通信簿
脅威の営業利益5兆円突破!!! トヨタ佐藤恒治社長 1年目の通信簿
ベストカーWeb
SAのほうが豪華でPAは簡素……ってワケじゃない! 高速のサービスエリアとパーキングエリアの違いとは?
SAのほうが豪華でPAは簡素……ってワケじゃない! 高速のサービスエリアとパーキングエリアの違いとは?
WEB CARTOP
自動車メーカー各社がカーボンニュートラルに向けた技術を実証する場としてもフル活用! スーパー耐久の2024シーズンが菅生で開幕
自動車メーカー各社がカーボンニュートラルに向けた技術を実証する場としてもフル活用! スーパー耐久の2024シーズンが菅生で開幕
LE VOLANT CARSMEET WEB
ルクレール、エミリア・ロマーニャGPからレースエンジニアが変更に。長年のサポートに感謝の言葉
ルクレール、エミリア・ロマーニャGPからレースエンジニアが変更に。長年のサポートに感謝の言葉
AUTOSPORT web
「偽パトカー」のドライバー“逮捕” どこまで似せていいのか? かなり悪質「交差点に進入します」
「偽パトカー」のドライバー“逮捕” どこまで似せていいのか? かなり悪質「交差点に進入します」
乗りものニュース
【ホンダ フリード 新型】「ちょうどいい」使い勝手と見た目をさらにアゲる、純正アクセサリー公開
【ホンダ フリード 新型】「ちょうどいい」使い勝手と見た目をさらにアゲる、純正アクセサリー公開
レスポンス
日産「新型スポーティ“セダン”」世界初公開! “4連テール”が超カッコイイ! 美ボディすぎる「エポック」中国での発表に反響集まる
日産「新型スポーティ“セダン”」世界初公開! “4連テール”が超カッコイイ! 美ボディすぎる「エポック」中国での発表に反響集まる
くるまのニュース
あんなトラック、こんなトラック、はたらくくるまやデコトラも…ジャパントラックショー2024 開催中!
あんなトラック、こんなトラック、はたらくくるまやデコトラも…ジャパントラックショー2024 開催中!
レスポンス

みんなのコメント

2件
  • 90年代、小室哲哉さんが乗っていた
    ジャガーのクーペだったかオープン
    だったか、徳大寺さんも乗っていた型。
    あれは、カッコいいなと思いました。
    この記事のジャガーは、あくまで見た目
    ありきのハナシですが、韓国車とか
    フォードぽくてあまり好みではないなぁ
  • 今のジャガーの質感はマツダより下だね。残念過ぎるわ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1471.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

168.0495.0万円

中古車を検索
XKシリーズ コンバーチブルの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1471.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

168.0495.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村