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実燃費に近い? 導入1ヶ月の「WLTCモード燃費」、従来表記も併用でわかりづらさも 表記変更のユーザーメリットとは

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実燃費に近い? 導入1ヶ月の「WLTCモード燃費」、従来表記も併用でわかりづらさも 表記変更のユーザーメリットとは

■どう見る? 日本も導入した国際的な燃費基準「WLTCモード燃費」

 2018年10月以降に発売された新型車では、カタログやウェブサイトに記載される燃費数値に「WLTCモード燃費」が使われます。これは国際的な燃費基準です。一部の車種は2017年からWLTCモード燃費の記載があり、また2018年10月以降に発売された車種も、従来のJC08モード燃費を併記していますが、正式にはWLTCモード燃費になります。WLTCモード燃費表記になることで購入検討ユーザーにどんなメリットがあるのでしょうか。

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 WLTCモード燃費では、走行モードの内訳が示されることも特徴で、WLTCモード燃費のほかに、市街地モード/郊外モード/高速道路モードがあります。

 最近の新型車(マイナーチェンジや追加グレードを含む)のWLTCモード燃費は以下の通りです。

■トヨタパッソ(2WD):マイナーチェンジ・WLTCモード燃費:21km/L・WLTC市街地モード燃費:17.4km/L・WLTC郊外モード燃費:22.6km/L・WLTC高速道路モード燃費:22.6km/L※JC08モード燃費:28km/L

■スバルXVアドバンス(4WD):追加グレード・WLTCモード燃費:15.0km/L・WLTC市街地モード燃費:11.5km/L・WLTC郊外モード燃費:15.5km/L・WLTC高速道路モード燃費:16.8km/L※JC08モード燃費:19.2km/L

■レクサスES(2WD):新型車・WLTCモード燃費:20.6km/L・WLTC市街地モード燃費:16.6km/L・WLTC郊外モード燃費:22.7km/L・WLTC高速道路モード燃費:21.4km/L※JC08モード燃費:23.4km/L

 上記の数値からわかるように、WLTCモード燃費は、JC08モードよりも低く75~90%になります。そのためにWLTCモード燃費は、実際の走行燃費に近いとされています。

 WLTCモード燃費では、等価慣性重量(燃費数値を実走行に近づけるため、計測時にシャシーダイナモメーターに与える負荷)の設定方法も変わりました。以前は等価慣性重量に区分を設けて段階的に与えていたので、車両重量よる有利と不利が生じました。

 そこをWLTCモード燃費では、新しいシャシーダイナモメーターの使用を前提に、段階のない等価慣性重量を設けています。

 具体的にいうとJC08モード燃費の段階的な等価慣性重量では、たとえば車両重量が1080kg以下の場合、1081kgに比べて等価慣性重量が軽くなります。そうなると燃費数値も好転します。したがってホンダ フィットハイブリッドの標準タイプは車両重量を1080kgに抑えて、JC08モード燃費を37.2km/Lとしています(ほかのグレードは34km/L以下)。

 マツダ デミオもXDの6速MTは車両重量が1080kgに収まり、JC08モード燃費は30km/Lです(ほかのグレードは26.6km/L以下)。このような等価慣性重量区分が生み出す矛盾は、WLTCモード燃費になれば改善されるでしょう。

 ユーザーの使い方としては、WLTCモード燃費には走行モードの区分があるため、自分の走行条件に合った数値を参考にできます。市街地走行が中心であれば、市街地モード燃費を重視して車種を選べばよいわけです。

 上の例を見ると、トヨタ パッソは郊外モードと高速道路モードが同じ22.6km/Lで、市街地モードは17.4km/Lです。市街地モードは高速道路に比べて数値の落ち込みが小さく(比率にすると77%)、市街地で優れた燃費を発揮できるクルマだとわかります。

 このようにWLTCモード燃費は、従来の10・15モード燃費やJC08モード燃費に比べると、正確性が高まって実燃費に近いといえます。

 実際に新車を販売店で購入検討している人に話を聞いてみると、「これまでのカタログの燃費数値はあまり参考にしてませんでしたが、自分の使用用途が一番多い市街地燃費がわかるので、参考にはなる」と語ってくれました。

■WLTCモード燃費の導入でもエコカー減税の本質は変わらず

 しかしWLTCモード燃費の導入で、エコカー減税の矛盾が是正されたり、燃費競争が終わるわけではありません。エコカー減税は、燃費基準の達成度合いに応じて減税率を決めるので、燃費基準の仕組みを根本的に変えない限り、エコカー減税の本質も変わらないのです。

 今の燃費基準は、車両重量の区分を設け、JC08モード燃費を対応させたものです。したがってこの制度では、ボディの重さに対して燃費の良いクルマが基準を達成しやすくなります。ボディサイズは考慮されないため、たとえば車両重量が1500kgのLサイズカーが仮にボディをオールアルミ製に変更して1300kgに抑えたとしても、軽量化の努力は報われません。ほかのひとまわり小さな1300kgのミドルサイズカーと同じ基準で比べられるだけです。

 従来と同じく、わずかな燃費数値の違いでエコカー減税率が変わることもありますから、燃費競争はなくなりません。最近はユーザーが燃費競争に飽きて(呆れて?)、以前ほど燃費数値が重視されませんが、これは別の話です。

 今後の展開として、2019年10月1日に消費税が10%に増税され、この時には自動車取得税が廃止されます。

 しかしこれにも問題があり、自動車取得税を廃止する代わりに、新しい税金が登場します。自動車税を従来と同様の「種別割」と、新しい「環境性能割」に分けるのです。「環境性能割」はエコカー減税を実施している自動車取得税に似た税金なので、ユーザーの負担する税額は、消費増税分だけ増えることになります。

 今のところWLTCモード燃費は、2018年10月以降に発売された新型車で義務化されていますが、販売されているすべての車種に適用されるわけではありません。JC08モード燃費のみの記載車種も残ります。

 そうなると2019年10月1日に自動車取得税が廃止され、自動車税が「種別割」と「環境性能割」に二分されても、後者の基準をWLTCモード燃費にすることは困難です。しばらくはJC08モード燃費を使う(あるいはWLTCモード燃費と併用する)ことになります。

 これについて前出の購入検討ユーザーも、「表記の併用は、自分のようなクルマに詳しくない人からすると非常に混乱します。複数の検討車種ごとに表記が違えば、比較もできないです。なぜわかりづらくするのですかね?」これは誰もが同じように疑問に思うことでしょう。

 燃費表記の問題だけでなく、現在の自動車税制やエコカー減税もとても複雑でわかりづらいです。もっと単純でわかりやすく、燃費の優れた価格の安い車種ほど、購入時の自動車取得税や購入後の税額も安く、燃費が悪く価格の高いクルマは、税金が高まる単純な方法なら、購入ユーザーとしてもわかりやすく理屈にも合うでしょう。

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