現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ヒットの法則348】シボレーHHRはレトロモダンなデザインの「楽しいクルマ」だった

ここから本文です

【ヒットの法則348】シボレーHHRはレトロモダンなデザインの「楽しいクルマ」だった

掲載 更新
【ヒットの法則348】シボレーHHRはレトロモダンなデザインの「楽しいクルマ」だった

2007年、三井物産オートモーティブがシボレーHHRの販売を開始した。当時、アメリカ車の話題が何かと多かったが、中でも三井物産オートモーティブはタホやトラバースなど魅力的なシボレー車を積極的に導入、市場を賑わせていた。ではこのユニークな「スタイリッシュ・アメリカン・コンパクト」はどんなクルマだったのか。日本上陸間もなく行われた試乗の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年8月号より)

インパクトのあるフロントマスク、レトロだが古臭くない
ハマーH2、H3、キャデラック・エスカレードなど、個性的なアメリカ車の輸入販売で実績を残す三井物産オートモーティブ(株)が、またまた楽しいクルマを導入した。それは「シボレーHHR」というSUV、いやSUVではなくて・・・、ちょっとひとことでは表現しがたい、そう「楽しいクルマ」なのだ。同社によるパンフレットなどには、「スタイリッシュ・アメリカン・コンパクト」というコピーが付けられている。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

さて、このクルマには生みの親が同じ、宿命づけられたライバルが存在する。親は同じだが兄弟ではない。何やら昼メロ風になってきたが、GMのボブ・ラッツ副会長が、クライスラーに在籍していたときに手がけたPTクルーザーのヒットを見て、そのGM版を作ろうということで、開発をスタートしたのが、この「シボレーHHR」なのだ。

しかし、結果的に出来上がったものを見ると、ずいぶんとその個性は違う。同じレトロ調でも、PTクルーザーはデザイン優先と感じられる部分が多いが、シボレーHHRは1949年式サバーバンのデザインをインスパイアしたということもあり、機能性にたいへん優れているのだ。収納スペースは至るところにあるし、ラゲッジスペースのフロアボードは、トノカバーのように上部にも、また斜めにも装着することができる。6:4分割式リアシートをワンタッチで倒せば、フラットスペースが出現、助手席のシートバックも可倒式なので、サーフボードなども簡単に収納できる。

ボディサイズは、全長4500×全幅1740×全高1620mmで、BMWのX3(4585×1855×1675mm)より、ひと回り小さいと言ったところ。プラットフォームは、GMのFFグローバルカーに使われている「デルタ」で、シボレーコバルトやサターンアイオン、オペルアストラなどと共通のものだ。搭載エンジンは、これまたグローバルな「ECOテック」で、2.2Lと2.4Lを用意している。

初めに試乗したのは、2.4Lエンジンを搭載する最上級モデルの「2LT」。100mも走ると、予想外(失礼)に走りがジェントルであることに驚いた。全般に静粛性は高く、エンジンは直4とは思えないほど滑らかに回る。4速ATのマナーもよく、シフトアップ、ダウンはスムーズだ。走りにガサツなところがなく、しっとりとした、いいフィーリングに仕立てられている。アメリカ車らしい乗り味の中にも、しっかり感がある。ステアリングには確かな手応えがあってドライビングが楽しいのだ。

この大きさにしては軽いといえる1460kgという車重、そしてその前後バランス(前840kg、後620kg)、FFにしてはあまりフロントヘビーではないことが、このドライブフィールの実現に一役買っているのだろう。もちろんサスペンションもいい。

さて、疑り深い性格のせいか。どうしても2.2Lエンジンを搭載する量販グレード、1LT(325万5000円)にも乗りたくなった。短時間だが試乗して、これまたびっくり。そのフィーリングは、2LTとほとんど変わらない。違いは排気量差そのままのパワー&トルクだけという印象だった。2LTとはエンジン以外にもサンルーフやオーディオ、本革シートなど、標準装備の違いがあるが、47万2500円という価格差を考えると、どちらがオススメかは悩むところだ。

試乗前、三井物産オートモーティブの担当者に販売目標を訊いたところ「アグレッシブですよ。年1000台です」とのことだった。そのときは「それはちょっと……」と内心思ったが、試乗後には「十分に行ける」と確信した。「アメリカ車復活」などと大仰に言う気はないが、大ざっぱな見方をしないで、これからは1台1台、じっくりとその魅力を探っていきたいと、この「楽しいクルマ」に試乗して、思った。(文:荒川雅之/Motor Magazine 2007年8月号より)



シボレーHHR 2LT 主要諸元
●全長×全幅×全高:4500×1740×1620mm
●ホイールベース:2630mm
●車両重量:1460kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:2384cc
●最高出力:177ps/6200rpm
●最大トルク:223Nm/4800rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:FF
●車両価格:372万7500円(2007年)

[ アルバム : シボレーHHR はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

1本になったりしたけど…21世紀の技術をもってしてもダメ!? ワイパーは未来永劫今のままなの!?!?
1本になったりしたけど…21世紀の技術をもってしてもダメ!? ワイパーは未来永劫今のままなの!?!?
ベストカーWeb
バニャイア、一歩先を見据えて別セッティングに集中「低グリップのトラックに焦点を当てた」/MotoGPヘレステスト
バニャイア、一歩先を見据えて別セッティングに集中「低グリップのトラックに焦点を当てた」/MotoGPヘレステスト
AUTOSPORT web
悲願のF1初優勝。レースマネジメントに長け「成熟した」ノリスをマクラーレン代表が手放しで称賛
悲願のF1初優勝。レースマネジメントに長け「成熟した」ノリスをマクラーレン代表が手放しで称賛
AUTOSPORT web
海外からも注目のファンイベント「ルノーカングージャンボリー2024」10月27日開催
海外からも注目のファンイベント「ルノーカングージャンボリー2024」10月27日開催
グーネット
激変の空力パーツにも「変わらないと感じた」と中上。ホンダ勢4人に不評のバイクの次の一手は/MotoGPへレステスト
激変の空力パーツにも「変わらないと感じた」と中上。ホンダ勢4人に不評のバイクの次の一手は/MotoGPへレステスト
AUTOSPORT web
マセラティ 新型「グランカブリオ トロフェオ」国内オーダー開始!価格は3120万円から
マセラティ 新型「グランカブリオ トロフェオ」国内オーダー開始!価格は3120万円から
グーネット
トヨタから登場の[3輪車]!? しかも100万円って安すぎ!!!! 2025年登場濃厚のリーン3
トヨタから登場の[3輪車]!? しかも100万円って安すぎ!!!! 2025年登場濃厚のリーン3
ベストカーWeb
三菱「ギャラン」に「ランエボ」「パジェロ」のラリーカーが勢揃い! 篠塚建次郎氏の追悼展示は三菱モータースポーツの歩みでもありました
三菱「ギャラン」に「ランエボ」「パジェロ」のラリーカーが勢揃い! 篠塚建次郎氏の追悼展示は三菱モータースポーツの歩みでもありました
Auto Messe Web
ルクレールがバスール代表の采配を称賛「僕たちは上昇のスパイラルに入っている」。ニューウェイへの興味にも言及
ルクレールがバスール代表の采配を称賛「僕たちは上昇のスパイラルに入っている」。ニューウェイへの興味にも言及
AUTOSPORT web
GTWCヨーロッパのスプリントカップが開幕。WRT BMWとウインワードのメルセデスAMGが勝利を分け合う
GTWCヨーロッパのスプリントカップが開幕。WRT BMWとウインワードのメルセデスAMGが勝利を分け合う
AUTOSPORT web
世界一美しいクーペ=147+156 アルファ・ロメオGT V6ブッソ・ユニットも搭載 UK中古車ガイド
世界一美しいクーペ=147+156 アルファ・ロメオGT V6ブッソ・ユニットも搭載 UK中古車ガイド
AUTOCAR JAPAN
BMWは全ての電気自動車向けに目的地で充電ができるプロジェクト「BMW Destination Charging」を日本で開始
BMWは全ての電気自動車向けに目的地で充電ができるプロジェクト「BMW Destination Charging」を日本で開始
Auto Prove
ミキティ、スマホでポチ買いした1000万超の「超高級車」をついに納車! 斬新“ド派手ドア”搭載の実車に 「かっこいい!」「すごいクルマ」の声集まる
ミキティ、スマホでポチ買いした1000万超の「超高級車」をついに納車! 斬新“ド派手ドア”搭載の実車に 「かっこいい!」「すごいクルマ」の声集まる
くるまのニュース
今年は晴れるか? 「ルノーカングージャンボリー2024」は10月27日に開催…仏本社も注目、世界最大級のファンイベント
今年は晴れるか? 「ルノーカングージャンボリー2024」は10月27日に開催…仏本社も注目、世界最大級のファンイベント
レスポンス
マセラティが推す「フォーリセリエ」で仕立てた「グレカーレ」と別注カラーの「クアトロポルテ」の新旧トライデントが揃い踏み…で、「フォーリセリエ」とは
マセラティが推す「フォーリセリエ」で仕立てた「グレカーレ」と別注カラーの「クアトロポルテ」の新旧トライデントが揃い踏み…で、「フォーリセリエ」とは
Auto Messe Web
トレンドはこれからも「SUV一辺倒」なのか? 欧州市場に見る "風向き" の変化
トレンドはこれからも「SUV一辺倒」なのか? 欧州市場に見る "風向き" の変化
AUTOCAR JAPAN
『レンジローバー・イヴォーク』と『ディスカバリースポーツ』の姉妹が2025年モデルに刷新
『レンジローバー・イヴォーク』と『ディスカバリースポーツ』の姉妹が2025年モデルに刷新
AUTOSPORT web
ニッサン/ニスモ、CNF使用の『ニッサンZニスモ・レーシング・コンセプト』で富士24時間に参戦
ニッサン/ニスモ、CNF使用の『ニッサンZニスモ・レーシング・コンセプト』で富士24時間に参戦
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

248.0298.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

75.0129.8万円

中古車を検索
HHRの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

248.0298.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

75.0129.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村