■タイ仕様の「ジャパンタクシー」!?
2023年3月18日、トヨタのタイ法人は、いすゞやスズキ、ダイハツ、日野と共同で、カーボンニュートラルの推進を加速する自動車の性能試験活動を実施していると発表しました。
実験車両の中には、国内では「JPN TAXI(以下、ジャパンタクシー)」として展開されているタクシー専用車のタイ仕様とも呼ぶべき「LPG-HEVタクシーコンセプト」があります。
【画像】鮮烈イエロー&グリーン! タイで試験中の「ジャパンタクシー」や新型「ハイラックス」を画像で見る(108枚)
日本国内のタクシー車両と言えば、1995年からタクシー向けセダンとして販売されていた「クラウンセダン/クラウンコンフォート/コンフォート」が定番でした。
しかし、これらのタクシー向けセダンシリーズが2017年に販売終了。後継車として「次の日本に、いらっしゃいませ。」というキャッチコピーで、次世代タクシーとして開発された「ジャパンタクシー」が登場しました。
トヨタのタクシー向け乗用車としては、実に約20年ぶりの新型車両となったジャパンタクシーは、トヨタのコンパクトミニバン2代目「シエンタ」のプラットフォームをベースに、全く新しい発想で設計されました。
ボディサイズは、全長4400mm×全幅1695mm×全高1750mmで、従来のセダンタイプに比べ大幅に背を高くし、広大な車室空間や積載性を実現。後席左側のドアは開口部の広いスライド式とし乗降性も大幅に向上させるなど、様々なユーザーに優しいユニバーサルデザインを取り入れています。
従来の後輪駆動から前輪駆動に変更されたほか、パワートレインも新開発のLPGハイブリッドシステムを採用し、燃費も19.4km/L(JC08モード)と、従来のセダンタイプに比べ環境性能を大幅に向上させたのも大きな特徴です。
またタクシーならではの使い勝手を考慮して、専用設計のサスペンションによる耐久性向上や交換可能な3分割バンパーやランプ類、メンテナンス性の高いエンジンパーツの採用など維持費を軽減しています。
そんなジャパンタクシーですが、今回鮮烈なグリーンとイエローに塗られた“タイのタクシー仕様”の画像が公開されています。
これは、トヨタ自動車、日野自動車、いすゞ自動車の3社による共同出資会社として2021年4月に設立されたCJPT(Commercial Japan Partnership Technologies Corporation)の活動の一つです。
CJPTは、CASE (Connected, Autonomous, Shared, Electric)技術の普及を加速し、交通システムで発生する問題の削減、カーボンニュートラル社会の実現を目指しています。
カーボンニュートラルへの道のりにおいて、各国・地域の電源や使用環境によって、各事業者はさまざまなパワートレインを備えた車両を探す場合があります。そのため、電気自動車(BEV)や燃料電池自動車(FCV)だけでなくハイブリッド車(HEV)など、さまざま選択肢を用意する必要があるため、CJPTでは、現地でさまざまなクルマの性能試験を行っています。
この性能試験が行われている車両として今回紹介されたのが、トヨタのFCVバス「SORA」、日野「FCEV 大型トラック」、いすゞ「FCEV 小型トラック」、トヨタ「グランエース FCEV」、トヨタ新型「ハイラックス REVO BEV コンセプト」など、計10台。この中に、ジャパンタクシーのタイ仕様とも言える「LPG-HEVタクシーコンセプト」が含まれています。
CJPT代表の中島浩樹氏は、今回の発表について以下のように述べています。
「低燃費車、電気自動車、燃料電池車などの導入に際し、関係者の率直なご意見をお待ちしております。カーボンニュートラルを達成し続けるために、これらの車両の試乗体験をしていただき、具体的な協業を調整するために適切な方法を検討します」
※ ※ ※
タイではタクシー車両として、トヨタ「カローラ」など多くのトヨタ車が活躍しています。今後そんなタクシーたちが、より環境性能が高く、ユーザーにも優しい “ジャパン”タクシーに置き換わっていくかもしれません。
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