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「500+100」の理由を満たす余裕! フィアット600eへ試乗 カワイイだけじゃない優等生

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「500+100」の理由を満たす余裕! フィアット600eへ試乗 カワイイだけじゃない優等生

40年ぶりの600 航続距離は最長405km

600「セイチェント」という、伝統の名前が40年ぶりに復活した。ステランティス・グループ設立後のフィアットで初となる、新しいクロスオーバーが英国にもやって来た。

【画像】カワイイだけじゃない優等生 フィアット600eへ試乗 サイズの近い電動モデルはコレ 全160枚

このフィアット600eは、イタリアン・ブランドにとって非常に重要なモデルだ。欧州で最も売れているコンパクト・バッテリーEV、フィアット500eが切り拓いた成功をしっかり受け継ぐという、大切な使命を負っている。

基礎骨格とするのは、同グループに属するシトロエンE-C4やジープ・アベンジャー、プジョーE-2008などと同じ、e-CMPプラットフォーム。容量51kWhの駆動用バッテリーも、それらと共有する。

1度の充電で走れる距離は、カタログ値で最長405km。電費は6.4km/kWhがうたわれる。駆動用モーターは、フロントアクスル側に積まれ、最高出力153psと最大トルク26.3kg-mを発揮。0-100km/h加速は9.0秒と、悪くない動力性能を備える。

バッテリーEVらしく、加速は滑らか。普段使いでは、不満のない活発さを持つ。ただし1520kgの車重が影響してか、長く続く登り坂では、アクセルペダルを深く踏み込む必要もある。モアパワーを求めるドライバーもいるだろう。

エコ・モードを選択すると、明らかにパワー感が落ちる。緩やかな勾配でも、速度に影響が現れてしまう。それでも、冬場にも関わらず、今回の電費は平均で6.1km/kWhと悪くなかった。エネルギー効率を考えれば、我慢はできるだろう。

ちなみに、この電費で想定できる航続距離は約310km。夏場のイタリアでの試乗より、42kmほど短い数字だ。

魅力的なインテリア 500より広い車内

乗り心地は、英国の傷んだアスファルトを滑らかにいなし、快適と呼べる。穏やかな動力性能と調和している。

ステアリングレシオはクイックと呼べないが、キビキビと反応し市街地では扱いやすい。高速コーナーで一体感を味わえる特性ではないものの、安定したグリップ力で、安心感は高い。このクラスのクロスオーバーとしては、運転が楽しいといっていい。

インテリアの雰囲気は、現在のステランティス・グループの同クラスでは、魅力的に映る。アベンジャーと共有する部分も散見されるが、否定的に捉える必要はないだろう。

フィアットらしいシンプルなダッシュボードに、丸いメーターパネルが配され、実際に押せるハードボタンがコンパクトに集約されている。タッチモニターも丸みを帯び、シートにはフィアットのロゴが大胆にエンボスであしらわれる。

同社は、600eの「500+100」の理由をしっかり満たしたと主張する。特徴的な見た目をまとい、適度にコンパクトで扱いやすい機能性を備えつつ、より広い車内空間を得たことを意味する。

確かに、前後ともシート周りには充分な広さがある。頭上方向にも余裕がある。リアシートには、大人3名で座れなくもないが、多少の我慢は必要だろう。荷室容量は360L。使い勝手の良さそうな形状をしている。

500eの影響を隠さない、丸みを帯びた見た目

丸みを帯びたスタイリングは、500eの影響を隠さず、従来の500 Xより均整が取れていると思う。600のロゴが要所を引き締め、イタリアン・トリコロールがリアバンパーに彩りを添える。

ヘッドライトの上には、眠そうなまぶたにも見える、アイラインのようなトリム。女性的な雰囲気を漂わせる。車内の広さを意識しただけあって、プロポーションは縦に高い。それでも、オフローダーのような無骨さはない。

ボディサイズは、アベンジャーと同様にハッとするほど小さく、全長は4171mm。狭い駐車場でも、少ない緊張感で止めることができるはず。

選べるボディカラーは、いずれも鮮やか。グレーの設定はなく、レッド、オレンジ、スカイブルー、シーブルー、サンドベージュというラインナップだ。

装備は充実。エネルギー効率に優れるヒートポンプ式エアコンに、10インチのインフォテインメント・システム、シートヒーター、バックカメラ、ワイヤレス・スマートフォン充電パッドなどが備わる。

全方向に優れた電動ファミリー・クロスオーバー

現在のフィアットは、英国ではバッテリーEVに対して一律3000ポンド(約57万円)の割引キャンペーンを実施中。エントリーグレードの600eは、実質2万9995ポンド(約567万円)ということになる。

ステランティス・グループの中だけでなく、同等クラスのクロスオーバー全体で見ても、英国では訴求力の高いプライスタグといえる。この価格帯では、600eより安価に買えるバッテリーEVは6車種しかなく、その多くはさらにボディサイズが小さい。

今回試乗した、トップグレードのラ・プリマの場合、3万3995ポンド(約625万円)。新しいボルボEX30とほぼ同じで、ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリックより明確に安い。

フィアットの期待がかかる600e。可愛らしいスタイリングだけではない、コストパフォーマンスに長けた、全方向に優れた電動ファミリー・クロスオーバーだといっていい。トップクラスの魅力を放っていると思う。

◯:個性的なスタイリング 一律3000ポンド(約57万円)の割引キャンペーン 充実した標準装備
△:際立つようなセールスポイントがない 運転する魅力はもう少し欲しい 実用性で勝るライバルもある

フィアット600e ラ・プリマ(英国仕様)のスペック

英国価格:3万3995ポンド(約625万円)
全長:4171mm
全幅:1781mm
全高:1523mm
最高速度:149km/h
0-100km/h加速:9.0秒
航続距離:405km
電費:6.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1520kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:51kWh(実容量)
急速充電能力:100kW(DC)
最高出力:153ps
最大トルク:26.3kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

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