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【求める以上にアグレッシブ】ヒュンダイi30 Nへ英国試乗 高めた日常性

掲載 更新 8
【求める以上にアグレッシブ】ヒュンダイi30 Nへ英国試乗 高めた日常性

登場から3年目のマイナーチェンジ

text:Simon Davis(サイモン・デイビス)

【画像】i30 Nと欧州で競うタイプR 全105枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ヒュンダイは、i30 Nの熟成を重ねている。2017年の発表時は、欧州のホットハッチに波紋を投げかけるだけの実力が評価されたモデルだ。

ハッチバックの登場から時を待たずして、i30 Nファストバックも登場した。硬すぎたサスペンションは柔らかく設定を見直し、滑らかなクーペ風のボディを組み合わせている。

AUTOCAR英国編集部では、長期テスト車両として導入していたヒュンダイi30 N。登場から3年も経たないうちに、改良を受けることになった。ライバルと比較して不足ないパワーを備えていても、充分だとは考えていないのだろう。

i30 Nは、運転する楽しさや価値、個性といったホットハッチとしての訴求力を持つ。内容を考えればお買い得価格だ。しかし、競争の激しいホットハッチのなかで、リードできるほどの強みは備えていなかった。

特にアグレッシブでレーシーなサスペンションは、英国の荒れた路面との相性が良くなかった。ヒュンダイR&Dを率いる、 アルベルト・ビアマンに喜んでもらえるような評価を与えることができないほど。

マイナーチェンジを受けた2020年仕様のi30 Nは、サスペンション周りの改良を中心に手が加えられているという。ヒュンダイから明確な説明はないものの、ハッチバックを日常的に乗りやすくしようと考えても、不思議はない。

それでも硬すぎるサスペンション

フロント・サスペンションのスプリングレートは5%ソフトになり、大きなバンプストップを追加。加えてフロントのアンチロールバーも、やや細身のものに改められている。

ダンパーは前後ともに改良を受け、ESPのソフトウエアも書き直された。電子制御のLSDは変わらず、274psの最高出力を叩き出す4気筒エンジンと、6速MTにも変更はない。

柔らかさを増したハッチバックのi30 Nだが、乱れたアスファルトからの影響を受けやすいことに変わりはないようだった。今もクラスの中で、最もハードコアなモデルの1台と呼べそうだ。

カップシャシーを装備したルノー・メガーヌRSほど、小さな起伏や隆起部分で落ち着きがなくなったり、鋭い衝撃を感じるわけでもない。一方でメガーヌRSほど、スピードの上昇とともに、路面と呼吸を合わせるようにダンパーの動きが活発になる、というわけでもない。

以前のi30 Nにはなかった、柔軟性は獲得している。それでも、比較的手入れの良い郊外の道を走っていても、もっと穏やかな乗り心地であれば、と感じてしまう。

舗装したての路面を走っていない限り、スポーツ・モードへ切り替えたいと思わないほどに、硬い。穏やかなNモードでも、サーキット以外で走りを追求しにくいことは、従来どおりだ。

重いステアリングに印象の薄いエンジン

コーナリングに焦点が受けられたセットアップだとはいえる。濡れた路面でもフロントタイヤのグリップ力は高く、旋回中のボディーロールは小さい。LSDは効果的にクルマを進めてくれる。

漸進的に制動力が強まるブレーキペダルの感触も、ドライバーへ自信を与えてくれる。ブレーキングで前方へ荷重を移し、ノーズの向きを変えるスタイルが楽しめる。

ステアリングは、ノーマルモードのままでも人工的に重すぎる印象。正確性は高いものの、ヒュンダイをハイペースで走らせるのは、楽ではない。

スポーツモードではさらに重さが増す。コーナーの続く道でステアリングホイールを勢いよく回し続けるには、ハードなワークアウトのように体力がいる。

回答性自体は機敏で好印象。しかし繊細なメガーヌRSや、運動神経の良いフォード・フォーカスSTと並ぶと、i30 Nの荒々しさが強調されてしまう。

2.0L 4気筒ターボエンジンは、最高出力274ps、最大トルク35.8kg-mもあるが、記憶に残るような特徴はない。鋭い加速力を引き出せるのは、充分にブースト圧が高まったときだけ。運転席で聞くサウンドも、個性的なものではない。

ただし、フルスロットルでレッドライン付近まで回して変速をすると、エグゾーストからはアフターファイヤーが発生。元気な破裂音は楽しめる。

6速マニュアルは操るのが楽しい。ホンダ・シビック・タイプRほど機械的な満足感は得られないが、正確なゲートと、カシリと決まるフィーリングは好感触だ。

ライバルへ並ぶにはもう少しの時間が必要

インテリアの雰囲気は、さほど心に残るものではない。全体的に凡調で、グレーのプラスティック製部品が目立ってしまう。少なくとも、ある程度の時間を過ごすのに不足ない広さはある。モノトーンの車内とは裏腹に、走り出せばi30 Nはカラフルな性格ではあるのだが。

マイナーチェンジを受けたヒュンダイi30 N。サスペンションへの手直しで、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIや、フォード・フォーカスST並みの日常性を手に入れたわけではないといえる。

運転を楽しめる領域は備えている。荒々しく山道を走り回りたいドライバーを、惹きつけてはくれるだろう。

熱々のホットハッチながら、多くのドライバーが求める以上の、アグレッシブな性格付けであることにも変わりはない。ヒュンダイi30 Nがクラス・ベストのホットハッチと並ぶ強みを得るには、もう少しの時間が必要なようだ。

ヒュンダイi30 N(英国仕様)のスペック

価格:2万9810ポンド(399万円)
全長:4335mm
全幅:1795mm
全高:1451mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:6.1秒
燃費:12.0km/L
CO2排出量:188g/km
乾燥重量:1429kg
パワートレイン:直列4気筒1998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:274ps/6000rpm
最大トルク:35.8kg-m/1450-4700rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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みんなのコメント

8件
  • まあ一つだけ確かな事は、イギリスの道路はクソだってことだね。
  • 周回遅れのガラクタが
    ニュルブルクリンクのNとは笑止千万
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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