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V8を得た世界最高峰セダン──新型メルセデス・ベンツS580 4マティック ロング試乗記

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V8を得た世界最高峰セダン──新型メルセデス・ベンツS580 4マティック ロング試乗記

新型メルセデス・ベンツ「Sクラス」に追加されたV8モデルの「S580 4マティック ロング」に小川フミオが試乗した。

セダンの最高峰

“遊び心”と“走破性”を追加しました──新型マツダCX-5フィールドジャーニー試乗記

セダンはオトナの乗りものかもしれない……と、毎回乗るたびに思うのはメルセデス・ベンツが手がけるセダンの最高峰であるSクラスだ。そのSクラスのラインナップに、2021年9月に追加発売されたのがS580 4マティック ロングだ。

Sクラスの魅力は多い。悪目立ちしないし、スタイルはエレガントだし、ハイテク満載のインテリアは快適だし、それに、走らせて楽しいのだ。

S580 4マティック ロングは全長5289mmのボディに、3982ccのV型8気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載。これまで直列6気筒モデルしかなかったので、「太いトルクであまりエンジン回転をあげずに走るのもいいよね~」なんていうひとにとって、お待ちかねモデルだ。

試乗したモデルは、オプションの「E-アクティブボディコントロール」もそなえていた。フル・アクティブ・サスペンションともいい、エア・サスペンションに、4輪別個に48ボルト対応のアクチェーターをもち、スプリングレートとダンパーの減衰力をリアルタイムで最適制御するものだ。

たとえば、ステレオカメラで前方の路面のうねりをチェック。30km/hから130km/hのあいだで、ボディがロールする前に、スプリングとダンパーの縮みと伸びを制御して、ボディの水平を保つという仕組みだ。これについては後述する。

メルセデスAMGやアストンマーティンにもベースユニットとして供給されている4.0リッターV8は、370kW(503ps)の最高出力と、700Nmの最大トルクを発揮。さらに、発進時やシフトアップのときに208Nmの電気モーターがトルクを補うマイルド・ハイブリッド・システム「ISG」をそなえる。

“曲がり”に執念

おかげで、まさに魔法のじゅうたんに乗ったらかくや……と、思わせる気分でドライブできる。ごく低速から高速領域まで、走行ストレスがいっさいない。かつ、クルマの動きは、さきに触れたとおりで、終始フラット。

あまり存在を主張しない大トルクのV8には、ドライブモードの「コンフォート」が、よく合っている。個人的にはこのパワフルなエンジンを堪能したくて、私は「スポーツ」、あるいは「スポーツプラス」を好んで選んでしまった。それにもしっかり応えてくれる。

ユニークなモードが「カーブ」。このモードは、カーブを曲がっていくとき、ボディに傾きをかけて、旋回するときに発生するG(重力)が橫方向でなく、乗員に対して縦方向に働くようにする。2輪でのコーナリングにたとえられるモードだ。あいにく、ワインディングロードに行く機会がなく、じっくり体験できるのは次回におあずけ。

試乗車はフルタイム4WDのため、「後輪駆動と比較して小まわりが効きづらくなるというデメリットを伴いました」とするメルセデス・ベンツでは、「リア・アクスルステアリング」を採用。これで「そのデメリットを解消」とする。

時速がパラメターのひとつ。約60km/h以下では、後輪を前輪とは逆方向に最大4.5度傾ける。駐車するときには回転半径が小さくなるため、クルマが扱いやすくなるのがメリットにあげられており、私も体験。慣れると、たしかにとりまわしが楽に思えた。

メルセデス・ベンツでは、いろいろな面で、“曲がる”ことに対して、執念を燃やしているようで、それが最新のかたちで、いってみれば結晶化したのが、新型Sクラスの足まわりなのだ。

最後のクルマにふさわしい1台

インテリアがもうひとつの魅力だ。センターコンソール上部に位置する12.8インチの有機ELメディアディスプレイの多機能ぶりにも驚かされるし、「MBUXインテリア・アシスタント」もさらにもうひとつの驚きの機能である。

「MBUXインテリア・アシスタント」は、2020年にEクラスがマイナーチェンジを受けたときに実用化された技術で、なかなか使い勝手がいいと私は思っていた。指のサインを車載カメラが読み取る、各種操作のショートカット機能ゆえだ。

Vサインによって、モニターに機能が表示されることをはじめ、スライディングルーフとサンシェードの開閉や、ナビゲーション・システムに登録した目的地へのルート案内開始など、さっと指を動かすだけで起動。こういうところも、ある種のもてなし感覚だし、それがSクラスにはよく合っていると思う。

かりにクルマ人生を“すごろく”にたとえて、そこに“あがり”があるとしたら私にとって、それはSクラスなのだ。若いときに乗ってしまうと、その後の人生はどうなるんだろう……それはそれで別の人生がありそうだが。

BMWやアウディやアルファロメオもいいセダンを作っている。そういうクルマを少しかじってから、Sクラスに乗ってもいいだろう。

最後の最後までとっておかないと、ほかのクルマに乗り換えられなくなるのでは……そんなことが、老婆心ながら心配になる。そういうクルマなのだ。

「S580 4マティック ロング」の価格は1690万円。

ホイールベースが110mm短くなって3105mmで、全長がやはり110mm短くなって5180mmの「S580 4マティック(標準ボディ)」は1611万円だ。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

1件
  • 中古の型落ちでも古くても一度でいいからSクラスに乗ってみれば何か得るものはあるし車に対する価値観も変わる。ただ修理でドツボにはまることもある。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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