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「bZ」第1弾のトヨタ新型SUV「bZ4X」は退屈さ皆無な「いいクルマ」!? 「トヨタらしさ」溢れる中身とは

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「bZ」第1弾のトヨタ新型SUV「bZ4X」は退屈さ皆無な「いいクルマ」!? 「トヨタらしさ」溢れる中身とは

■EVシリーズ「トヨタbZ」第一弾モデルの性能は?

 1997年、「21世紀に間に合いました」というキャッチフレーズと共に登場した世界初の量産ハイブリッドカー「プリウス」の登場からトヨタの電動化戦略はスタートしました。

【画像】スバルと共同開発! トヨタ 新型SUV「bZ4X」はどんなデザインで登場? トヨタが公開した画像を見る(30枚)

 それ以降、トヨタのハイブリッドラインナップは急速に拡大を始め、現在ではほとんどのモデルに設定されています。

 さらに2012年にはプラグインハイブリッド(PHEV)、そして2014年には燃料電池車(FCEV)を市場へ導入。その数は累計1700万台を超えています。

 しかし、電気自動車(BEV)に関しては2012年に「eQ」(「iQ」ベースのEV)を限定100台生産したのみで、次の一手が出てこなかったのも事実です。

 そんなことから、誰がいったか知りませんが新聞や一般紙を中心に「トヨタはBEVに消極的」というようなキーワードが出てきました。

 それは多くの人が「EVとハイブリッドは別物」という認識を持っているからでしょう。

 すべての電動化パワートレインには共通する重要な要素技術は「モーター/バッテリー/インバーター」の3つ。

 これにエンジンを組み合わせれば「HEV」、充電機能を追加すれば「PHEV」、フューエルセルと水素燃料タンクを組み合わせると「FCEV」、そして、そのまま使えば「BEV」になります。

 つまり、ハイブリッドの進化=トヨタ電動化の進化だったことが解ると思います。先の発言は目先の部分だけに囚われると本質を見失うの象徴です。

 そんなトヨタがついにBEVの市場に本格参入をおこないます。それがトヨタの新EVシリーズ「トヨタbZ」です。

 bZとはBeyond Zeroを意味しており、豊島浩二チーフエンジニアの言葉を借りると「ゼロエミッションだけでなく、新たな価値をプラス」という想いが込められています。

 つまり、環境にいいのは当たり前、その先にあるクルマとしての魅力を高めたシリーズということなのでしょう。

 トヨタbZはEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を用いて、ユーザーニーズに応じた大きさ、スタイルのモデルが予定(2025年までに7車種)されていますが、それぞれの得意分野を持つパートナー(BYD、ダイハツ、スバル、スズキ)と共同で開発。

 その第一弾となる「bZ4X」はスバルとの共同開発モデルです。ちなみに車名の「4」はボディサイズ、「X」は属するカテゴリーを示します。つまり、bZ4Xは「bZシリーズのセンターに位置するクロスオーバー」というわけです。

 トヨタとスバルの関係は今から16年前からスタート。最初のコラボレーションはスバル米国工場(SIA)でのトヨタ「カムリ」の受託生産(2016年5月まで)でした。

 その後、あまり知られていませんが、トヨタ「ラクティス」/スバル「トレジア」の開発でスバルのエンジニアがトヨタに出向し一緒にクルマづくりを実施。そして、その流れはトヨタ「86(GR86)」/スバル「BRZ」の共同開発に繋がります。

 その関係はbZ4Xとそのスバル版となる「ソルテラ」でより強固になったわけですが、個人的にはスポーツカーとEV、「生きる歓び」と「生きる価値」の両方が2社の協業によって生まれて来ることは、何とも感慨深いです。

 今回、bZ4Xの新たな追加情報が発表されましたので、その辺りを中心に見ていきたいと思います。

 まず、多くの人が気になる性能面についてです。2021年4月に発表された概要では、「より多くのお客様が安心して選んでいただけるよう、使用環境を考慮した航続距離」、「冬場でもお客様に不便を感じさせない航続距離」ということでしたが、今回は具体的な数値が公開されました。

・駆動方式はFFと4WDを設定
・モーター出力はFF:150kW、4WD:160kW(フロント80kW/リア80kW)
・0-100km/h加速はFFが8.4秒、4WDは7.7秒
・バッテリー(リチウムイオン)総電力は71.4kWh
・航続距離はFFが500km前後、4WDが460km前後(共にWLTCモード)
・世界各地域の高出力充電(急速充電では150kW)に対応

 個人的にはバッテリー総電力に対する航続距離の関係は高いレベルだと感じました。

 これはBEVにしては軽量設計(FF:1920kg~、4WD:2005kg~)であることに加えて、空力性能の追求や消費電力を減らすデバイス(ヒートポンプ式エアコン、ステアリング&シートヒーター、トヨタ初採用となる前席乗員足元の輻射(ふくしゃ)ヒーター)の採用など、車両全体で積み重ねた結果になります。

 この辺りは長年ハイブリッドの開発で培った技術が水平展開されているようです。

 さらにプリウスPHVで展開されたソーラーパネルも設定。1年間で走行距離1800km(車内試験値)に相当する発電量が生成可能だといいます。この機能は駐車場に充電施設を持たないユーザーにとってはありがたいアイテムといえるでしょう。

■スバルとのコラボでどんな技術が盛り込まれた?

「トヨタらしいな」と思うのは、単純に「性能がいい」だけでなく、冬場の航続距離の確保や10年後に90%という電池容量維持率などをはじめとする“リアル”な実用性の追求や、バッテリーの安心・安全を担保する設計・多重監視システムの採用、衝突安全性能追求など、BEVの心配事に対する対策が徹底している所にあります。

 この辺りは非常に地味でなかなか表に出てこない部分ですが、「多くの人に選んでもらう」、「普及してこそ」という意味では、非常に頼もしい性能といえるでしょう。つまり、トヨタの安心・安全に対する思想はBEVでも何ら変わらないことの証明です。

 このようにBEVでも実用上の心配はなさそうですが、肝心なクルマとしての魅力はどうなのでしょうか。

 一般的には「電動車は退屈」という意見を持つ人が多いようですが、bZ4Xは「クルマをコモディティ化させない」という豊田章男社長の強い想いが反映されたBEVといえるでしょう。

 そのひとつがBEV専用プラットフォーム「e-TNGA」の採用です。

 低重心化はもちろん、パワーユニットのコンパクト化による前後オーバーハングの低減による慣性モーメントの低減、軽量・高剛性化なボディ構造採用などによる基本素性の良さに加えて、モーター駆動の特性を活かしたリニアでレスポンシブなフィーリングや前後モーター駆動力の独立制御を活かした回頭性/操縦安定性の向上などがおこなわれています。

 さらにトヨタ初採用となるステアバイワイヤシステム(一部車種に採用)も注目のアイテムのひとつでしょう。

 4WDにはスバルの技術が盛り込まれ、4輪の駆動力やブレーキをコントロールする独自技術「X-MODE(新機能のGrip-Contorol付)」も採用。日常ユースからライトオフロード以上の走行にも対応しているそうです。

 トヨタの電動化技術とスバルのAWD技術が融合した走りがどのような仕上がりなのか非常に気になりますが、開発はGR86/BRZ以上に密接だったということなので期待大です。個人的にはスバル版の「ソルテラ」との「味」の違いも興味深いです。

 今回、価格についての発表はありませんでしたが、その前におこなわれた「トヨタ 電池・カーボンニュートラルに関する説明会」でCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)の前田昌彦氏は「BEV普及のためにはコストを低減し、リーズナブルな車両価格でお届けしたいと考えています」と語っています。

 この言葉を信じると、筆者(山本シンヤ)は実質的な購入金額(補助金を考慮)は450万円前後からだと予想しています。

 実は今回の発表に先駆けてメディア向けに説明会がおこなわれましたが、その印象は「満を持してBEVを投入!」と声高らかに叫ぶわけではなく、普段のニューモデルと変わらない温度感だったのが印象的でした。

 それに関して筆者はこのように解釈しています。「トヨタにとってBEVが特別な物ではなく、パワートレインの選択肢が増えたに過ぎない」と。

 つまりbZ4Xのクルマづくりは「BEVだから買う」のではなく、「いいクルマを選んだらBEVだった」という考えなのでしょう。

 そんな控えめな姿勢が逆にトヨタの「自信の表れ」に感じたのは、決して気のせいではないと思っています。

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