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徳大寺有恒の至言にオープンカーの真髄を知る!エレガントに乗りこなしたいBMW「M8カブリオレ・コンペティション」

掲載 更新 9
徳大寺有恒の至言にオープンカーの真髄を知る!エレガントに乗りこなしたいBMW「M8カブリオレ・コンペティション」

オープンカーにとってのスポーツとは何か

「オープンカーはルーフを開け放った瞬間からスポーツカーになる」。

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これは我が師とする徳大寺有恒さん(以下、徳さん)の言葉である。走りのパフォーマンスとは無関係に、全身で風を感じ、匂いを感じ、音を感じた時点で、すべてのオープンカーは等しくスポーツカーになるという意味だ。本来スポーツとは、体や精神になんらかのストレスを感じながら行うもの。ルーフのあるクルマにとってストレスである風や臭いや音を許容したときに、オープンカーはスポーツカーへと変わるわけで、そこにはパワーや最高速やコーナリング性能などは大きな意味を持たない、と私は理解し、今もってその評価基準は変わらない。

そんな私の目の前にBMW M8カブリオレ・コンペティションがある。正直、少々戸惑っている。M8カブリオレというだけで、すでにパフォーマンスとしては最高レベルだと思っていたし、サーキットでも通用することは確実なのである。そこにコンペティションの名前がさらに与えられているのだ。ベースのM8カブリオレと比較して、V8エンジンの最大トルクこそ同じものの、最高出力は600馬力からBMW量産モデル最強の625馬力へとアップしている。

サスペンションのスプリングやダンパーも強化され、スタビライザーの剛性もアップし、ボディ補強もさらに強化。車両価格も200万円以上アップしているのだから、それにふさわしいパフォーマンスアップが施されているはずだ。もはや公道ではなく、サーキットでのパフォーマンス向上を狙った内容ともいえる。徳さんの言からすれば、確実にオーバークオリティかもしれないが、コイツで何をしろと? 

本来、8シリーズは「カブリオレをデフォルトとして開発された」といわれ、実際にもそれだけの内容に仕上がっている。見た目のエレガントな佇まいとは裏腹に、走りの鋭さはスーパースポーツとして、トップレベルにあるのだ。実際にルーフを閉じたまま走ってみると、強烈な加速感や安定したコーナリング性能、ストッピングパワーにおいて、もはやクーペと同じほどのガッチリ感を伴いながら、スーパースポーツカーならではの表情を垣間見せるのである。それでもキャビンはエアコンディショナーによって快適に保たれ、上質なBowers & Wilkinsのダイヤモンドサラウンドサウンドシステムから流れてくるお気に入りのサウンドを楽しみながら、軽快にして上質なスポーツドライブが続いていくのである。

超高性能を極めるのはドライバーの自制心

ただでさえ目立ついでたちのM8カブリオレ・コンペティション。50km/hまでなら、走行中でも開閉は可能なソフトトップを開けてみる。俄然、注目度は上がり、若干の気恥ずかしさもあるのだが、それ以上に気分の高揚が、そうした躊躇を克服してくれる。風も匂いも音も、すべてがダイレクトに伝わってくる。これが徳さんのいうところの、スポーツの始まりである。ルーフを閉じていたときには、ある程度速度を上げながら、コーナーを鋭い切れ味を保ちながらクリアしたり、アクセルを踏み込んで加速していく刺激など、ハイスピードの状況ばかりに楽しさを求めていた。

ところがである。ルーフを開け放つと時速ゼロからのスポーツ感覚が始まり、その後はどんな速度域でも痛快さや刺激を感じながらのドライブとなる。アクセルをグッと踏み込めばシートバックが蹴飛ばされるようなトルクを感じながら加速し、そして後方からは極上の回転フィールを持つV8エンジンの咆吼が、クルマの速度に負けまいと追いかけてくる。髪は風になびき、初夏の陽光が全身に降り注ぐ。すべての快感がひとかたまりとなって一気にドライバーの全身を貫いていく。オープンボディはミシリともいわずに、アベレージの高い、そして少しばかりハードなドライビングに相対してくれる。なんという気持ちよさだろうか。

オープンにした瞬間にスポーツは始まると徳さんはいった。その一言に改めて納得したのは事実である。だが一方で、さらなる高みや快感を求めるなら、やはりハイパフォーマンスは必須だと、素直に感じた瞬間だった。もしサーキットに持ち込んだら、今度はどんな快感を与えてくれるのだろうか? そんな妄想を時折、抱きながらしばらく走った。そして見晴らしのいい郊外の駐車場にクルマを滑り込ませ、静かにソフトトップを閉じる。一瞬にして上質なレザーの香りがキャビンに漂う。すべての素材が心地よい空間のために、最高の仕立てを施されている。

エンジンを止めて外に出てみる。実は、ひとっ走りしたあとに訪れる、この独特の静寂がけっこう好きである。改めてクルマに目をやる。伸びやかなボディに黒のソフトトップを降ろしたシルエットは実に美しい。

「エレガンスにおいて、ソフトトップに適うものはない」とも徳さんはいっていた。これはスチールルーフのオープンが出てきた頃の話だったが、それは今も変わりのない真実だと思う。もしこのクルマを徳さんが見て、乗ったらなんというだろうか? 今となっては聞くことは適わない。ただ、つねに前へ前へと走りたがる車を、しっかりと制御することこそ「本当にエレガントな大人がやることだよ」と、いうことだけは確かだと思う。

ダイナミズムとエレガンスを見事に共存させた伸びやかなフォルム。

LEDテールライトや大胆なボディのフレア処理が施されたホイールアーチが印象的なリアスタイルを創り上げる。

天地の薄いソフトトップがエレガントさをより際出せている。

M専用のメーターパネルは高級感と共に、ドライバーが最高のパフォーマンスを出せるようにレイアウトされている。

ステアリングホイールのセンター付近に赤色のMDM(Mドライブモード)ボタンがふたつ装備。これはプリセットしていたドライビングモードを呼びだすスイッチ。

メリノ・レザーを手縫いで仕上げたMスポーツ・シート。ホールド性もかなり高く、座り心地もいい。

+2の使い勝手ではあるが、リアシートも上質な素材で仕上げられ、プレミアムカーとしてのエレガントさを保っている。

素早いシフトアップによって0~100km/h加速は3.3秒をマーク、0~200km/h加速は10.6秒という驚愕のスピードを実現した。

ソフトトップが格納されるトランクだが、2人分の旅行バックは入りそうだ。

2基のツインスクロール・ターボ・チャージャー、高精度ダイレクト・インジェクション・システム、そしてバルブトロニックを組み合わせ、公道ばかりかサーキットでも通用する驚異的なパフォーマンスを実現。

スペック

モデル名:M8カブリオレ・コンペティション
価格:25,840,000円(税込み)
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,870×1,905×1,355mm
車重:2,030kg
駆動方式:4WD
トランスミッション:8速AT
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ 4,394cc
最高出力:460kw(625PS)/6,000rpm
最大トルク:750 Nm(76.5 kgm)/1,800~5,860
問い合わせ先:BMWカスタマー・インタラクション・センター 0120-269-437

TEXT : 佐藤篤司(AQ編集部)
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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みんなのコメント

9件
  • 8シリーズとSクラスのカブリオレは平均的な日本人が乗ると本当に似合わない。車に対して人が小さすぎるんだよね。まあ日本人だけでなくアジア系の多くに言えることだけど。
  • そう思うよ。大型バイクも趣味で乗るが、いかなる速度でもスポーツだから。
    それにしても徳大寺氏が生きておられたら、現在のテスラロードスターをどう評価されるだろうか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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