現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ゼロ開発のシボレー・コルベット C5 ビッグブロック再来といえたC6 アメリカン・スポーツの代名詞(3)

ここから本文です

ゼロ開発のシボレー・コルベット C5 ビッグブロック再来といえたC6 アメリカン・スポーツの代名詞(3)

掲載
ゼロ開発のシボレー・コルベット C5 ビッグブロック再来といえたC6 アメリカン・スポーツの代名詞(3)

ゼロから開発されたコルベット C5(1997~2004年)

1997年にモデルチェンジされたシボレー・コルベット C5は、先代の野心やスピリットを踏襲していた。シボレーの技術者は、これまで以上の結果を得るには、全面的に再設計する必要性を理解していた。

【画像】アメリカン・スポーツの代名詞 シボレー・コルベット コークボトルラインのC3からミドシップのC8まで 全123枚

かくして、5代目のC5では、シャシーやボディだけでなく、エンジンやトランスミッションも一新されている。歴代で初めて、ゼロから開発されたといっていい。

キャビンの剛性を保持するスケルトン構造は、4代目のC4と共有していた。だが、高剛性のセンタートンネルがフレームを貫き、シャシー剛性は従来から450%も増していた。シボレーは、1500点もの部品を設計し直したという。

実際に乗ってみると、その違いは明らか。姿勢制御は引き締まり、路面の隆起部分などを通過しても、ボディはきしまない。ワダチを越えても、不自然なしなりはない。

C5の高性能仕様、Z06では、まさに岩盤のような強固さを感じる。コーナリングやブレーキングでも、極めて安定している。先代は欧州のライバルへ届いていなかったことは否定できないが、間違いなくその差を縮めている。

しかし最もファンを喜ばせた変化は、20世紀の終わりと同時に、エンジンへ馬力が戻ってきたことだろう。ベーシックなパワーユニットとなったのが、新設計のオールアルミ・スモールブロック。LS1と呼ばれるV型8気筒で、最高出力355psを実現していた。

ル・マン24時間レースでクラス優勝

メンテナンスの容易なオーバーヘッドバルブ構造を採用し、小型・軽量でシンプルだった。その評価は高く、エンジンスワップ時の定番ユニットとして、確かな人気を集めた。2001年にリリースされたZ06にも、チューニングが加えられ採用されている。

圧縮比を高め、ヘッド内部の気流を見直し、ハイリフトカムを採用。ユニット名もLS6へ改称され、最高出力390psを獲得した。2002年には410psへ強化されている。

Z06で選択できたボディスタイルは、ハードトップのみ。本気のスポーツカーとして、タルガトップやコンバーチブルは設定されていない。

サスペンションも強化され、歴代初めて、Z06は1Gを超えるコーナリング・フォースに耐えることが可能だった。その足腰は、現在でもフラットな印象を与える。

身のこなしは間違いなくタイト。英国の狭い公道では、C4のZR-1はリアアクスルが若干ルーズに感じられたのに対し、C5のZ06では限界領域が上昇している。意欲的に運転したいと思わせる。

実際、C5の能力は高い水準にあった。2001年と2002年、2004年のル・マン24時間レースで、見事にクラス優勝を勝ち取っている。誇るべき偉業だったといっていい。

これを記念し、シボレーはZ06をベースにしたル・マン・コメモラティブ・エディションを2004年に発売している。今回ご登場願ったC5も、その1台だ。

ブルーのボディにレッドとホワイトのストライプが施され、ボンネットはカーボン製。それ以外の装備は、2003年の50周年記念仕様と共通している。

ビッグブロック再来といえたコルベット C6(2005~2010年)

2005年に、6代目のC6へモデルチェンジ。だがC2からC3への進化と同様に、シャシーは先代からのキャリーオーバーだった。スタイリングを一新し、技術的な熟成度は増していたものの、C5の流れを汲んでいる。

ヘッドライトは、リトラクタブル式から固定式へ変更。標準ボディでは、全幅はC6の方が僅かに狭い。全長は105mmも縮まり、オーバーハングも短く、全体的にコンパクトに仕上がっている。実際の走りも、タイトさを増している。

C6最大のニュースといえたのが、V8エンジン。スモールブロックのLS3ユニットが6.0Lへ拡大され、ベーシックなモデルでもパワーアップを果たし、C5世代のZ06へ並ぶ速さを獲得した。

高性能モデルが投入されたのは、2006年。それがZ06で、スチール製のフレーム構造を軽量なアルミ製へ置換。幅の広いタイヤを収めるべくボディはワイド化され、カーボンファイバーで成形された。これらにより、88kg軽く仕上がった。

エンジンは、ボアとストロークが増やされたLS7ユニットを採用。排気量は427cu.in、7.0Lへ拡大され、1960年代のビッグブロックの再来といえた。

もちろん単に排気量が大きいだけでなく、モータースポーツの技術を流用し、ヘッド周りにはチタン製部品を使用。プッシュロッドのV8エンジンでありながら、7100rpmという高い回転域まで許容した。

最高出力は512ps、最大トルクは64.8kg-mとたくましく、アメリカン・スーパーカーといえる能力を獲得。これに合わせ、ブレーキディスクも大径となり、6ポッドキャリパーがフロントに与えられている。

快適性でも先代から明らかな進化

コルベット Z06を運転してみると、パワフルさもさることながら、運転のしやすさへ驚く。グレートブリテン島の狭い道でも、印象的なほど親しみやすい。油断するとリアタイヤのトラクションが抜けてしまいそうな、過剰さと背中合わせだが。

発進させて数秒も経てば、扱いやすさで緊張はほぐれる。絶え間なく響くV8エンジンの鼓動で、思わず笑顔になる。乗り心地も柔軟で、快適といっていい。

内装はレザーで仕立てられ、オートエアコンが快適な温度を保ってくれる。車内空間にもゆとりがある。長時間の心地良さでも、Z06は先代から明らかな進化を遂げている。

さらに2009年には、Z06の頂点を飾るモデルとして、ZR1もリリースされている。カーボンファイバー製ボディに、初となるスーパーチャージド6.2L V8エンジンが組み合わされ、時速200マイル(約321km/h)の壁をコルベットとして初めて突破してみせた。

シボレー・コルベット C5とC6 Z06のスペック

シボレー・コルベット C5 Z06(2001~2004年/北米仕様)

北米価格:5万6720ドル(新車時)/4万ポンド(約724万円)以下(現在)
生産数:2万8338台(Z06のみ)
全長:4565mm
全幅:1869mm
全高:1211mm
最高速度:275km/h
0-97km/h加速:4.7秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1414kg
パワートレイン:V型8気筒5665cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:410ps/6000rpm
最大トルク:55.0kg-m/6000rpm
トランスミッション:6速マニュアル(後輪駆動)

シボレー・コルベット C6 Z06(2006~2013年/北米仕様)

北米価格:6万5800ドル(新車時)/4万ポンド(約724万円)以下(現在)
生産数:2万7995台(Z06のみ)
全長:4460mm
全幅:1929mm
全高:1245mm
最高速度:318km/h
0-97km/h加速:3.9秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1420kg
パワートレイン:V型8気筒7008cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:512ps/6300rpm
最大トルク:64.8kg-m/4800rpm
トランスミッション:6速マニュアル(後輪駆動)

この続きは、シボレー・コルベット アメリカン・スポーツの代名詞(4)にて。

こんな記事も読まれています

カッコいい三菱顔に大変身! 欧州で売るコンパクトSUV「ASX」がググっとマイナーチェンジ!
カッコいい三菱顔に大変身! 欧州で売るコンパクトSUV「ASX」がググっとマイナーチェンジ!
ベストカーWeb
ポルシェ964型「911」のレストモッドはおよそ8000万円!「テオン・デザイン」のセンスで実現した「タルガ」とは
ポルシェ964型「911」のレストモッドはおよそ8000万円!「テオン・デザイン」のセンスで実現した「タルガ」とは
Auto Messe Web
「瞬殺でした」トヨタの“超本格・最大級”「新型SUV」すでに完売!? 大変貌「角張りシェイプ」で原点回帰の新型「ランクル250」が人気すぎた
「瞬殺でした」トヨタの“超本格・最大級”「新型SUV」すでに完売!? 大変貌「角張りシェイプ」で原点回帰の新型「ランクル250」が人気すぎた
くるまのニュース
進化するスバルの「アイサイト」、一味違う技術…有料会員記事ランキング
進化するスバルの「アイサイト」、一味違う技術…有料会員記事ランキング
レスポンス
「最も多い」&「最も反則金が高い」交通違反って何? “スピード違反”抑えて「めちゃ捕まってる違反」は!? 反則金3万円超えの違反にも注目
「最も多い」&「最も反則金が高い」交通違反って何? “スピード違反”抑えて「めちゃ捕まってる違反」は!? 反則金3万円超えの違反にも注目
くるまのニュース
ホンダの新型SUV『WR-V』、EveryGoでカーシェア開始
ホンダの新型SUV『WR-V』、EveryGoでカーシェア開始
レスポンス
ピンクに玉虫色! キウイにマンゴーってマジか! 自由過ぎて衝撃のクルマの純正ボディカラーたち
ピンクに玉虫色! キウイにマンゴーってマジか! 自由過ぎて衝撃のクルマの純正ボディカラーたち
WEB CARTOP
新しいマツダのセダン、EZ-6登場!──GQ新着カー
新しいマツダのセダン、EZ-6登場!──GQ新着カー
GQ JAPAN
【スタッフ通信】アメリカンラグジュラリーを求めて
【スタッフ通信】アメリカンラグジュラリーを求めて
Auto Prove
【MotoGP】マルケス、ドゥカティへの適応を”完了”「あとは細かい部分に取り組んでいくだけ」
【MotoGP】マルケス、ドゥカティへの適応を”完了”「あとは細かい部分に取り組んでいくだけ」
motorsport.com 日本版
ホンダ新型「“クーペ風“SUV」初公開! 未来的&光り輝く「新生ホンダマーク」採用!? 流麗ボディの「Ye P7」北京に登場
ホンダ新型「“クーペ風“SUV」初公開! 未来的&光り輝く「新生ホンダマーク」採用!? 流麗ボディの「Ye P7」北京に登場
くるまのニュース
不動車のホンダ「ベンリイC92」をエンジンのプロがレストア!いよいよ外装のモディファイを開始します【vol.11】
不動車のホンダ「ベンリイC92」をエンジンのプロがレストア!いよいよ外装のモディファイを開始します【vol.11】
バイクのニュース
【MotoGP】バニャイヤ、スペインGP初日にラップレコード更新も”テスト”な1日「色々試せて、とてもハッピー」
【MotoGP】バニャイヤ、スペインGP初日にラップレコード更新も”テスト”な1日「色々試せて、とてもハッピー」
motorsport.com 日本版
ディフェンダー 最強モデル「OCTA」、V8ツインターボ搭載…7月発表へ
ディフェンダー 最強モデル「OCTA」、V8ツインターボ搭載…7月発表へ
レスポンス
今年のレクサスSUVに注目!!  ランクル250ベースの[レクサスGX]登場!! 今年買えるレクサスSUV7選
今年のレクサスSUVに注目!!  ランクル250ベースの[レクサスGX]登場!! 今年買えるレクサスSUV7選
ベストカーWeb
6速MTあり! 全長5.4m超のトヨタ新型「タフすぎ車」発表! パワフルなハイブリッド搭載した「新型タコマ」約610万円から米で発売
6速MTあり! 全長5.4m超のトヨタ新型「タフすぎ車」発表! パワフルなハイブリッド搭載した「新型タコマ」約610万円から米で発売
くるまのニュース
JR中央本線の上空 一夜にして橋が出現! 名古屋‐中津川の国道19号バイパス「瑞浪恵那道路」
JR中央本線の上空 一夜にして橋が出現! 名古屋‐中津川の国道19号バイパス「瑞浪恵那道路」
乗りものニュース
ニューウェイがレッドブルを離れても、ライバルの獲得は2027年までお預け? 契約に不履行条項が存在か
ニューウェイがレッドブルを離れても、ライバルの獲得は2027年までお預け? 契約に不履行条項が存在か
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

364.0463.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

258.0258.0万円

中古車を検索
C5の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

364.0463.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

258.0258.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村