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アルファードの独壇場じゃん!! なぜドイツメーカーはマネしない!? 納得のワケとは

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アルファードの独壇場じゃん!! なぜドイツメーカーはマネしない!? 納得のワケとは

 ライバル車がほとんど存在せず高級ミニバン市場で一人勝ちのアルファード。日本で人気のドイツ車も競合はメルセデスベンツVクラスのみ。なぜドイツメーカーにはミニバンが少ないのか? その背景には、日本とは異なるドイツならではのクルマに対する捉え方があった!

文/渡辺陽一郎、写真/トヨタ、日産、ホンダ、メルセデスベンツ、BMW

アルファードの独壇場じゃん!! なぜドイツメーカーはマネしない!? 納得のワケとは

■圧倒的な人気を誇った現行アルファード! 次期型はいつ登場?

車両本体価格は決して安くない高級ミニバながら高い人気を誇った現行アルファード

 今は安全装備などの充実によってクルマの価格が高く、軽自動車が新車として売られるクルマの約40%を占める。コンパクトカーも約25%だから、新車の60%以上がボディの小さな車種だ。

 そのなかでアルファードは、売れ筋価格帯が400~600万円のLサイズミニバンながら販売が好調だ。

 フルモデルチェンジを控え、現行型の生産予定台数をすべて受注したから、2022年6月頃に販売を停止した。今は過去に受注した車両の納車を行っているが、2023年に入っても、1カ月平均で6000台以上を登録している。

 次期アルファードは、いつ登場するのか。販売店に尋ねると以下のように返答された。

「以前は2023年5月下旬に予約受注を開始して、6月に正式発表する予定だったが、このスケジュールは延期された。6月21日頃に、正式発表と併せて受注も開始すると思われるが、確定はしていない」。

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■ライバル車がほとんど存在せずアルファードの一人勝ちに!

国産Lサイズミニバン市場でアルファードに圧倒的な差を付けられているエルグランド

 アルファードに対する関心が高まった背景には、ライバル車がほとんど存在しない事情もある。

 全高が4800mm/全幅が1800mmを超えるLサイズミニバンとして、真っ先に思い浮かぶ車種は日産エルグランドだが、発売は2010年と古い。2022年の1カ月平均登録台数は約190台だから、アルファードの3~4%だ。実質的にほとんど売られていない。

 ホンダにはオデッセイがあったが、国内販売を一度終了した。2023年の秋には、中国製オデッセイを改めて輸入販売する予定だが、5月の時点では購入できない。

 このほかLサイズミニバンにはトヨタグランエースもあるが、売れ行きは伸び悩む。従って国産Lサイズミニバンは、アルファードの一人勝ちだ。

■人気のドイツ車もミニバンはごく少数! ライバルはベンツVクラスのみ!!

ドイツ車でアルファードのライバル車になりそうなモデルは、メルセデスベンツVクラスのみ

 輸入車はどうか。日本で注目される輸入車はドイツ車だ。2022年に輸入された海外メーカー車のうち、メルセデスベンツ/VW(フォルクスワーゲン)/BMW/BMWミニ/アウディを合計すると、正規輸入車全体の65%に達する。

 そこでドイツ製の輸入ミニバンを探すと、車種数が少ない。メルセデスベンツVクラスとVWゴルフトゥーラン程度だ。

 以前は背の高いLサイズミニバンのVWシャランがあったが、今は終了している。アルファードのライバル車になりそうなLサイズのスライドドアを備えたミニバンは、メルセデスベンツVクラスだけだ。

 ドイツ車は、セダンやワゴンから、スポーツカー、SUVまで数多く輸入しているのに、なぜミニバンだけは極端に少ないのか。

 ミニバンが急速に普及を開始した1990年代の中盤頃、輸入車を扱う法人のスタッフから「ドイツメーカーの開発者が来日すると、ミニバンが多いことに必ず驚く」という話を聞いた。

「ミニバンのファミリーカーとしての使いやすさを、いくら説明しても理解してもらえない」とのことだった。

 この根底には、ミニバンというよりも、クルマに対する日本とドイツの捉え方の違いがある。

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■ドイツ車にミニバンが少ない理由はドイツの道路環境にアリ!!

高速走行の機会が多いドイツの道路環境では、走行安定性を重視するため重心の高い車種は好まれない

 ドイツは日本に比べて、高速走行の機会が日常的に多い。そして時速100kmを大幅に超える速度域では、走行安定性やステアリング操作に対する車両の反応が悪いと、交通事故を発生させて当事者が死亡する危険性も高まる。

「スピードは控え目に」的な緩い話ではなく、ドイツの道路環境はもっと切実だ。

 この背景には、クルマに対する合理的な考え方もある。空気抵抗に基づく環境/燃費性能を除外して、クルマを使う価値を突き詰めると、速度は高いほど好ましい。

 クルマを使う一番大きな価値は移動時間の節約で、その達成率は、移動速度が高まるほど向上するからだ。

 例えば時速50kmで走ると10時間かかる距離を、時速100kmで進めば5時間に短縮される。時速200kmなら2時間半で済む。

 高速道路を整備して、高速走行が可能な車両を開発すれば、移動時間が短くなって経済効果も高まる。ドイツのアウトバーンなど、高速走行が可能な道路は、この考え方に基づいている。

 その代わり、ドライバー、車両、道路のすべてが高い安全意識や安全性を備えていないと、重大な交通事故が発生するわけだ。

 ドイツ車にミニバンが少ない理由も、この安全性にある。乗用車は高速走行の機会が生じるため、全高が1800mmを超える重心の高い車種は、伝統的に好まれない。

 同じ理由により、ドイツなどの欧州メーカーでは、SUVの開発も遅れた。アメリカ車や日本車には、1980年代から悪路向けを中心にSUVが数多く用意されたが、ドイツ製のSUVが本格的に増え始めたのは2000年以降だ。

 ドイツブランドの日本法人のスタッフは「近年は北米市場におけるSUVの人気が急速に高まった。

 同時に車両の開発能力も進歩したから、高重心でも走行安定性に不満のないクルマ造りが可能になり、2000年頃からSUVのラインナップが急増した」と述べている。

 今では、メルセデスベンツ、BMW、アウディがSUVを数多くそろえる。この中には3列シート装着車も含まれるから、ミニバンの代わりになっている。そうなればミニバンは、やはり増えない。

■ベンツVクラスはなぜ誕生!? 商用バンベースならではの特徴とは?

商用バンがベースのためミニバンでありながら後輪駆動を採用するVクラス。プロペラシャフトを避けて床を平らに仕上げたので床の位置が高くなっている

 アルファードのライバル車になりそうな例外的な唯一のLサイズミニバンは、メルセデスベンツVクラスだ。

 全長は標準タイプが4905mm、ロングは5150mm、エクストラロングは5380mmに達する。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も、標準タイプとロングは3200mm、エクストラロングは3430mmと長い。

 全幅と全高は両方ともに1930mmで共通化され、スライドドアも装着している。

 Vクラスを開発できた理由は、ベース車両として、商用バンのメルセデスベンツ・ヴィトーがあるためだ。商用車だから、用途に応じて選べる複数のボディが用意され、いわばヴィトーのラグジュアリー乗用モデルとしてVクラスが造られた。

 商用バンがベースだから、Vクラスも、背の高いミニバンでありながら後輪駆動を採用する。

 しかも商用バンやミニバンでは、積載性や2/3列目シートの居住性を考えて、床を平らに仕上げねばならない。

 Vクラスの場合、後輪を駆動するプロペラシャフトを避けて平らにしたから、床の位置がヴィトーと同じく大幅に高い。前輪駆動の採用で床を低く抑えた国産ミニバンに比べると、乗降性が悪い。

 つまり商用バンのヴィトーをベースに造られたVクラスは、海外版ハイエースと基本部分を共通化したグランエースに近い。

 グランエースも後輪駆動だから、床を平らに仕上げた結果、その位置が持ち上がった。このようにVクラスやグランエースは、ベースの商用バンが存在したから開発できた乗用車で、ミニバンだけでは成り立たない。

 そしてメルセデスベンツの走行安定性に対するこだわりは、Vクラスの寸法からも分かる。全幅と全高が両方とも1930mmで等しいことだ。

■縦長ボディのミニバンは特殊!? 日欧で異なるクルマに対する考え方

全高が全幅の1.2倍に達する縦長ボディのN-BOXなどは、欧州メーカーから見ると特殊なクルマ

 国産ミニバンの多くは、全幅よりも全高の数値が大きく、縦長のボディ形状になる。

 エルグランドとオデッセイは、全高の数値が全幅よりも小さいが、前述の通りアルファードとの販売合戦に負けて、フルモデルチェンジが見送られたり廃止されている。

 欧州メーカーから見ると、全幅よりも全高の数値が大きい「縦長ボディ」のミニバンは、高重心で走行安定性のセオリーに反する特殊なクルマだろう。

 さらに日本国内の新車市場を見ると、冒頭で述べた通り約40%が軽自動車で、軽乗用車の約50%は、全高が1750mmを超えるスーパーハイトワゴンだ。

 全高が全幅の1.2倍に達する車種が日本の売れ筋カテゴリーになり、特にホンダN-BOX、ダイハツタント、スズキスペーシアなどは、使い勝手が抜群に良いために販売ランキングの上位に入る。

 以上のようにドイツを始めとする欧州と日本では、クルマの移動速度や日常の使われ方、車種選びの考え方が根本的に異なる。

■日本とは異なる価値観がドイツ車ならではの魅力に!

日本では衰退するセダンも走行安定性を重視するドイツでは根強く残る

 そのためにドイツ製の輸入車には、今でも低重心のセダン、ワゴン、ハッチバックが根強く残る。

 日本ではセダンとワゴンが大幅に減り、背の高いN-BOXやタントのような軽自動車、同じく背の高いトヨタルーミーなどのコンパクトカー、アルファードやノア&ヴォクシーといったミニバンが売れ筋だ。

 こういった明確な違いがあるからこそ、日本車と欧州車は共存が可能になり、ドイツ車が正規輸入車全体の65%を占める。

 ドイツ車を運転すると、日本車とは異なる価値観が新鮮に感じられ、海外のいろいろなクルマをさらに知りたくなるのだ。

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みんなのコメント

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  • ミニバンみたいな不細工な形が気にいってるのは日本人くらいじゃね
  • なぜドイツは日本を真似しないって、日本の流行りなんて眼中にないんでしょ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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