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ランクルと起源は同じなのに……日産オフロード車の傑作サファリはなんで姿を消したのか?

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ランクルと起源は同じなのに……日産オフロード車の傑作サファリはなんで姿を消したのか?

 トヨタ ランドクルーザーが人気爆発中だが、ライバル日産にもかつてオフロードの王者がいた。それが日産サファリ。実はこのサファリ、誕生のきっかけはランクルと同じなのだ。そのサファリが今どうしているのかを調べてみた!

文/ベストカーWeb編集部、写真/日産自動車

ランクルと起源は同じなのに……日産オフロード車の傑作サファリはなんで姿を消したのか?

■4W60型からのパトロールからのサファリ!

サファリの前身である「パトロール」こちらは1972年の60型

 まずはサファリの起源をたどろう。太平洋戦争終結から6年後の1951年、当時の警察予備隊(いまの陸上自衛隊)が国内の自動車メーカーに4WDトラックの入札を呼び掛けた。この呼びかけに答えたのがトヨタと三菱、そして日産である。

 この入札は結局、米ウィリス社のノックダウン生産車である三菱ジープが勝ち取るのだが、残るトヨタ、日産が開発したクルマもあなどれぬ性能を示し、結局は国家地方警察が採用することになる。

 そのときのトヨタ車こそ、のちのランドクルーザーへと発展するBJ型ジープなのだが、いっぽうの日産車は4W60型という車両。これこそがのちのサファリへと至るクルマで、日産オフロード車の原点ともいえる1台である。

 ただし4W60型は直接サファリになったわけじゃない。実は日産は4W60型を民間向けに市販するにあたり、「パトロール」と命名した。さらに1960年、パトロールはフルチェンジを果たし、2代目の60型へと進化する。

 この60型パトロールはラダーフレームに4Lの直6OHVエンジンを積み、前後リーフリジッドとパートタイム4WDを組み合わせたモデル。その堅牢な作りが支持され、なんと20年に渡って生産されるロングセラー4WDとなった。

 いっぽうで時代の変化も起きた。1970年代になるとオフロード車の多様化が進み、レジャー用途に使うユーザーも増えてきたのだ。

 そこで日産は、60型パトロールをフルチェンジさせ、オンロード用途にも使える快適さを備えたクルマを送り出す。これこそが1980年に登場した3代目パトロール、日本で「サファリ」として発売されたクルマである。

■クロカンブームの乗って2代目サファリがヒット!

サファリといえばこれ。2代目のY60型だ

 初代サファリは160型と呼ばれ、4ドアバンを中心にさまざまなボディタイプが作られた。エンジンは3Lディーゼルでデビューしたが、1983年の排ガス規制対応に合わせてディーゼルターボが追加された。ちなみに1986年には、弟分ともいえるテラノがデビューしている。

 初代サファリは1987年まで生産され、2代目(Y60型)へとバトンタッチする。昭和世代の読者にとってサファリといえば、クロカンブームに沸いた当時のこのY60 型が思い出されるに違いない。

 2代目サファリは多くのパーツを旧160型と共有しつつも、豪華さと力強さをより強調したモデル。日本向けエンジンは4.2L直6ディーゼルが標準で、全車1ナンバーの普通貨物車登録となった。

 足回りは伝統の4輪リーフリジッドからリンク+スプリングの車軸懸架型へと変更され、オフロードの走破性はもちろん、オンロードの快適性が格段に向上した。

 そして1997年、Y60型サファリは3代目のY61型へと進化する。ボディは先代からさらに大きくなり、エンジンも4.2Lディーゼルに加え4.5Lガソリンをラインナップした。

 とはいえ、この頃の日本ではクロカンブームが下火になりつつあり、サファリもメインマーケットを海外へと移さざるを得なかった。日本以外では歴代サファリは「パトロール」の名を継承しており、特にオーストラリアや中東では高い人気を誇っていたからだ。

 2002年夏、サファリは日本向けの発売をいったん休止する。秋にはマイナーチェンジして復活したものの往時の人気を取り戻すまでには至らず、結局サファリは2007年をもって国内販売に終止符を打つこととなった。

[articlelink]

■サファリの後継が今も世界で生きている!

中東で発売されている日産パトロールのNISMO仕様

 サファリのお話はこれで終わりではない。前項の説明でも分かる通り、サファリは日本でこそ失速したものの、海外ではパトロールという「昔の名前」で人気を維持していたためだ。

 サファリなきあとのパトロールだが、まずY61型(最後のサファリ)が2010年にY62型へバトンタッチした。

 このクルマは海外専用モデルで、特に中東富裕層が使う高速ツアラーとしてのテイストが強かった。全長5.1m、ホイール3mという巨艦である。2018年には中東専用モデルとしてNISMO仕様まで登場している。

 このY62型パトロールは、マイナーチェンジを繰り返して現代でもオーストラリアや中東で市販されているのだが、北米だけは事情が異なる。

 北米にはもともと、パトロールより一回り小さなパスファインダー(日本名テラノ)の上位グレードとして、パスファインダーアルマーダというモデルが存在した。

 このクルマが2005年にパスファインダーを捨ててアルマーダと名乗るのだが、2016年にフルモデルチェンジを行い、Y61型パトロールをそっくり新型アルマーダとして発売したのだ。

 さらに日産のプレミアムブランドであるインフィニティにもパトロールの兄弟車が作られた。旧称QX56、現在ではQX80と呼ばれるフルサイズSUVがそれである。このクルマは2019年、インパルの手で日本発売もされたから、ご記憶の読者もおられよう。

 こうしてみてくると日産サファリは、パトロールというロングセラーモデルの一時の姿ということもできる。車名はどうであれ、サファリが培った4WD技術などは、電動化が進む自動車の将来にもぜひとも生かしてほしいものだ。

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みんなのコメント

26件
  • beat1993
    西部警察のイメージが強い。
  • new********
    個人的にはサファリ・ショートは好みだったなー。ただ、税金やら燃費で「これ、金持ちじゃないと持てないんだろなー」なんて考え、単なる憧れの車で終わりましたねw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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