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バブル絶倒期にZ32「フェアレディZ」は生まれた! 先進的で独創的な日本が誇るスポーツカーでした【カタログは語る】

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バブル絶倒期にZ32「フェアレディZ」は生まれた! 先進的で独創的な日本が誇るスポーツカーでした【カタログは語る】

平成元年に登場した日産4代目フェアレディZ

1989年は言うまでもなく和暦が昭和から平成へと改まった年。よくある社会・経済情勢や世相の話は抜きにして、日本の自動車業界に限ると、大きな出来事のひとつとして、この年に開催された第28回東京モーターショーから、会場が幕張メッセに移されたのは大きな出来事だった。

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1989年前後は日産車のヴィンテージイヤー

ところで日産車に話を絞ると、この年とその前後1年ずつは日産車の当たり年だったことはご存知のとおり。時系列でざっと振り返ってみると、前年の1988年に登場したのは5月「シルビア」(S13)、6月「シーマ」(初代)、9月「セフィーロ」(初代)、9月「プレーリー」(2代目)、10月「マキシマ」など。一方、1990年には、1月「サニー」(B13)/「NXクーペ」、2月「プリメーラ」(初代)、5月「アベニール」、6月「プレセア」(初代)、そして10月「プレジデント」が登場している。

そして1989年というと1月のパイクカーの「パオ」、「ローレル」(C33)をはじめ、4月「180SX」、5月「スカイライン」(R32)と8月・同「GT-R」(BNR32)、10月「インフィニティQ45」が登場している。

どうだろうか? こうして挙げただけでも、目ぼしい、名だたるクルマばかりだったことがわかる。そしてもう1台、忘れるわけにいかないのが、同年7月に登場したZ32、4代目「フェアレディZ」である。

「スポーツカーに乗ろうと思う」のコピーに込められた日産の矜持

「スポーツカーに乗ろうと思う」。そんな静かな(または「熱い」)コピーとともに登場した際のTV-CMもなかなか印象深いものだった。黒い背景の中を小さく旋回するスーパーレッドのZが登場、最後はカウンターステアを少しだけ当てて1度止まり、姿勢を整えて再び走り出す……そんなシーンをスローモーションで見せた映像はまるで歌舞伎の舞いでも見ているかのようで、思わず見入ってしまった。多くは語らずとも、Z32が新しい世界観をもって現れたことが、いやが上にも伝わってくるCMだった。

写真でもご紹介しているのは1989年7月の最初のZ32のカタログだが、表紙も(この時の地色はやや冷めた赤だ)クールなデザインで、車名ロゴの上に添えられた「NISSAN SPORTS」の文字が誇らしげ。そして例の「スポーツカーに乗ろうと思う」のコピーはカタログでも表紙を開いた最初のページに載せられており、以降はしばらく見開きで扱った外観写真が続く。久しぶりに改めてこうした写真を眺めながら「そういえば最新のRZ34型のテールランプまわりは、Z32を思わすデザインが施されたのだっけ」などと思いを巡らせた。

キャビンフォワードへとプロポーションを一新

このZ32では、4代目にしてそれまでのロングノーズ&ショートデッキから、キャビンフォワードへとプロポーションを一新。2シーターを例に挙げると全長を95mm短くしたうえでホイールベースは130mm長く、相対的にオーバーハングは前で-40mm、後ろで-185mmも短縮。全幅は+65mm、全高は−45mmといった具合で、Z31までとはディメンションが大きく変わったのが注目だった。

なおボディタイプはそれまでどおり2シーターと2by2が用意されたが、両車の外観上のデザインの差異が小さいのも特徴。わかりやすい識別点は、左リアフェンダーの給油口がホイールハウスの前にあるのが2シーター、後ろにあるのが2by2。ほかに60度超スラントヘッドライトの採用も90年代をリードするスポーツカーのスタイルの実現に貢献し、このライトユニットは後にランボルギーニ「ディアブロ」にも採用された。

ヒップポイントが42mm下げられたというインテリアは、インパネ下部からセンターコンソールの側面までジャージ貼りとするなどし、これは乗員とクルマとの一体感を出す役割。ドア後部にはドアタワーが設けられ、ドアガラスの支持剛性を高めるとともに、ここにシートベルトを取り付ける構造が採られていた。そして、エンジンキーはチタン製だった。

30年過ぎてもなお根強く愛されているスポーツカー

搭載エンジンは前後長の短いV6のVG30DE型(230ps/27.8kgm)とVG30DETT型(280ps/39.6kgm)を設定。いずれも左右独立2系統の吸排気システムをはじめ、VG30DETTでは、ツインインタークーラー、ツインスロットル、ツインインテークコレクター、ツインターボ、ツインエキゾースト&マフラー方式などを採用した。サスペンションは4輪マルチリンク式とし、2段絞りバルブ構造のショックアブソーバー、SUPER HICASも採用された。

そのほか、1992年8月にはコンバーチブルが登場した。このモデルはトランクリッド、幌収納用ストレージリッドと幌のリンクをアルミ製として軽量化。シートベルトはドア側ではなくボディ側(ロールバー裏側)に備えられた。

* * *

コーンシェイプ(とうもろこしの粒のように角の取れた滑らかな形状のボディ断面のこと)の先進的かつ独創的なフォルムのZ32はいまだに根強い人気をもつ。すでに登場から30年以上が経つが、一時期、時代がかった見え方をしたようにも思えたものの、いまは「一周回った感じ」で、再びステキなスポーツカーに思えるようになった気がするのだが、いかがだろうか。

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みんなのコメント

32件
  • 近所の喫茶店のオーナーが乗っていたな。木々に囲まれた喫茶店の駐車場に佇む姿があまりにカッコ良過ぎて子供ながらに感動した。
  • Z32のモノコックは、Z専用だったので他の日産車に使う事が出来なかった為
    長い間モデルチェンジで堪え忍んだ車。(1989年~2000年)11年間
    因みにバブル末期に登場したのではない。
    バブルと共に現れた車
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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