連載/石川真禧照のラグジュアリーカーワールド
英国のロータスは、1952年にコーリン・チャップマンという優れた技術者であり、優秀なビジネスマンであった人物が創業したブランドだ。当初は、大衆車をベースにしたレーシングカーを造っていたが、同時に組み立てキットでも造れる「セブン(7)」を発売し、会社を軌道に乗せた。以来、フォーミュラ1のマシンを次々開発し、世界チャンピオンに何度も輝き、名声を手に入れた。市販車の世界でもフォードと手を組んだり、独自のスポーツカーを生産し、存在感を示してきた。
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近年のロータスは「エリーゼ」を1995年に発売し、ブリティッシュ・ライトウエイト・スポーツを復活させた。この「エリーゼ」の成功から「エキシージ」「エヴォーラ」など、次々とライトウエイトのバリエーションを拡大していった。しかし、次世代を見据えたスポーツカー造りに専念することを決意し、2021年1月にこの3台の生産中止を発表した。今回、名車と言われるこの3台の最終試乗の機会を得ることができたので紹介したい。
ロータス「エヴォーラ 410スポーツ」
ブリティッシュ・ライトウエイト・スポーツカーメーカーとして有名なロータスは、組み立てキットもあったロータス「7」でロードカーの分野に進出し、やがて「エラン」や「ヨーロッパ」という名車を次々に世の中に送り出して、その地位を築いた。一方で、ロータスの生みの親で、エンジニアだったコーリン・チャップマンは、ファミリーも大切にしていた。
ファミリーも乗れるロータス車の開発にも熱心だった。それが、リアシートを備えたロータス「スポーツ」だ。最初のモデルは60年代に登場した「エラン」をベースにした「エラン+2(プラスツー)」。その後も「エクセル」「エスプリ」と+2モデルは、バリエーションに加えられてきた。
「エヴォーラ」は2009年に登場した+2モデルだが、パワーユニットはミッドシップ。V6、3.5Lスーパーチャージャーエンジンは、車体のほぼ中央に搭載されている。その前方に前後席をレイアウトするという構造だ。
最新の、最終モデルは「GT410スポーツ」「GT410」でどちらもAT/MTが選べる。一時期、リアシートを取り去った2シーターモデルも、最新モデルでは消滅した。車両価格は最新モデルでは60万円ダウンし、「スポーツ410」で1358万5000円~となっている。
試乗車はプライスダウン前のモデルなので、ルーフやシートはカーボン製で、オプションの防音仕様が採用されている。ボディーはカーボンファイバーコンポーネントを採用、空力的にすぐれたデザインのおかげで、ダウンフォースは最高速到達時で96kgとカタログスペックには記載されている。ちなみに、最高速はMTで305km/h、ATは275km/hと発表されている。
ミッドシップのV6、3.5Lスーパーチャージャーエンジンは416PS、420Nmを発生する。6速MT車の運転席に座ってスターターボタンを押す前に、クラッチとブレーキペダルの両方を踏み込む。こうしないとエンジンが掛からない。
フルバケットシートは背もたれが立ち気味。やや細身のハンドルを抱え込むようなポジションはレーシングカー的だ。前席は頭上の空間も確保されている。フロントフェンダーが見えるので車幅はつかみやすい。ただし、斜め後方はボディーで見えない。後席は一応シートがあるという感じ。頭上は身長140cmまでなら座れる。膝も前席にぶつかる。
走り出してわかったのは、V6エンジン+6速ミッションの熱が、後方のガラス越しに伝わってくるということ。とても長時間は座っていられない。とくに夏場は地獄だろう。
楽しいのは運転席のドライバーだけ(笑)。反発力の強いクラッチペダルを踏み、カチッカチッと短いストロークで入る6速MTを操る。アクセルオンでのエンジンからのうなり音は若干あるが、車体後方からなので、耳障りではない。その音は4000回転を超えると、一段とカン高い音色になる。
0→100km/h加速を試してみる。レッドゾーン入口の7000回転まで引っぱりシフトすると、5秒台前半をたたき出した。カタログ値の4.2秒には及ぼないが十分速い。おそらく「SPORT」「RACE」モードを選択すれば、さらにタイムは向上するはずだ。
「エヴォーラ」のもうひとつの魅力はコーナリング。低い車高、幅広いトレッド、クイックなハンドルは、すべてコーナリングのためにセッティングされているといっても過言でない。重めのハンドルを少しでも動かすと、車体は即座に向きを変える。
本当は4000回転あたりを保ってのコーナリングが大迫力なのだが、V6、3.5Lスーパーチャージャーは、なんと1000回転あたりからでもアクセルレスポンスがある。なので、2000回転も保っていれば十分コーナリングが楽しめるのだ。
このフレキシブルなところは6速ATも同じ。+2シーターのロータスは、日常の足としても使えそうな実用域を備えているファミリースポーツカーでもある。たたし、乗り心地とハンドルの重さは、あくまでもピュアレーシングであることも付け加えておきたい。
■関連情報
http://www.lotus-cars.jp/our-cars/current-range/lotus-evora-range.html
文/石川真禧照 撮影/萩原文博 動画/吉田海夕
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どこか、製造権を買収して生産続行するという奇特なお方は
いらっしゃらないものでしょうか…?