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【ドイツ車らしい作品】アウディA4アバント40 TDIクワトロSライン試乗

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【ドイツ車らしい作品】アウディA4アバント40 TDIクワトロSライン試乗

2Lディーゼルに2種のパフォーマンスレベル

text:Tatsuya Otani(大谷達也)

【画像】丁寧な作りこみ「A4アバント」【走りの「3シリーズ・ツーリング」と比較】 全123枚

photo:Keisuke Maeda(前田惠介)

editor:Taro Ueno(上野太朗)

最近マイナーチェンジを受けたドイツ車を見て、ちょっと驚くくらい内外装の変化が少なかったケースはないだろうか?

ただし、そうした場合でもエンジン・ラインナップが見直されていたり、新たにマイルドハイブリッドが装着していることが多い。

こうしたマイナーチェンジは、ヨーロッパの最新エミッション規制に対応するのが目的と思っていただいてまず間違いがない。

ユーロ6d/RDEと呼ばれる新規制の特徴は、実際の運転状況に即したエンジン負荷で排ガス性能を計測する点にある。

このため、従来よりもスロットルペダルを大きく踏んだ状況で規制値をクリアしている必要が出てくる。

ガソリンエンジンにマイルドハイブリッドを装着し、高負荷時はモーターの力で駆動力を稼ぐのは、こうした環境でもエンジン単体の負荷を低く抑えて排ガス規制を通りやすくするのが目的と考えればいいだろう。

一方のディーゼルエンジンは、もともと低速トルクに余裕があるうえ、すでに何段階にもおよぶ入念な排ガス後処理装置が付けられているため、マイルドハイブリッドなしでもユーロ6d/RDEをクリアしやすい。

ちなみに新型A4では、同じ2Lディーゼル・エンジンに2種類のパフォーマンスレベルを設定。

163ps/38.4kg-mの35 TDIには12Vのマイルドハイブリッドを装着する一方、パフォーマンスに余裕がある190ps/40.8kg-mの40 TDIにはマイルドハイブリッドがないという、きめ細かな対応が採られている。

もちろん、マイルドハイブリッドなしで済めばそのほうがコスト面でメリットが出てくることになる。

ディーゼルかガソリンかは悩ましい

先ごろマイナーチェンジを受けたアウディA4も、ガソリンとディーゼルの価格差は驚くほど小さい。

例えばセダン・ボディの35 TFSIアドバンスドというガソリンモデルは523万円。

これに相当するディーゼルモデルの35 TDIアドバンスドは538万円で、その差は15万円しかない。

一方、今回の試乗車であるワゴンボディの40 TDIクワトロSラインの場合、これに相当するガソリンモデルは45 TFSIクワトロSラインだが、2台の価格は前者が641万円で後者が656万円で、やはり15万円。

エンジンのパフォーマンスレベルを示す2ケタの数字はガソリンモデルのほうが大きいため、45 TFSIと40 TDIを比較すると、最高出力はガソリンが249psでディーゼルが190psとやや差がつくが、逆にトルクでは37.7kg-m対40.8kg-mでディーゼルに軍配が上がる。

一方で燃費や燃料代はディーゼルの圧勝。どちらを選ぶべきかは、悩ましい問題だ。

ただ、マイナーチェンジの内容自体は最近にしては大規模なものだ。

とりわけボディサイドのデザインは、アウディの最新デザイン言語であるブリスターフェンダーを前後に採り入れて全幅が5mm拡大されたほか、これを強調するためにキャラクターラインの中央部分を一段低い位置に設けることで新規性をアピール。

インテリア系では、インターフェイスがダイヤル式からタッチディスプレイ式にあらためられるとともに、大型ディスプレイをダッシュボードの高い位置に設置して操作性を向上させている。旧型との違いは一目瞭然である。

ディーゼルのデメリット「ノイズ」は?

試乗車は前述のとおりワゴンボディにディーゼルエンジンを積んだ40 TDIクワトロSライン。

センターコンソール上に設けられたプッシュボタンを押して4気筒2Lエンジンを始動させると、ディーゼルらしい軽い身震いとガラガラというノイズが聞こえてくる。

ただし、そこは上級モデルと同じエンジン縦置きのMLB evoプラットフォームを用いるだけあって、同じディーゼルでもエンジンを横置きするQ3に比べて振動や騒音は格段に小さい。

もちろん、「これでもダメ」という人もいるだろうが、むしろ「これだったら大丈夫」と思う人が確実に増えたであろうことは想像に難くない。

さらに走り始めて車速を上げていけば、ディーゼルのデメリットはどんどん消えていき、高速走行時はガソリンモデルとほとんど変わらない快適性を堪能できる。

そんなときにはディーゼルエンジン本来の分厚いトルクを発揮。ちょっとした上り勾配や追い越し加速ではギアボックスがキックダウンすることもなく、一定のギアのままぐいぐいと走る力強さを味わえるはずだ。

かつてのドイツ車に近い乗り心地

このエンジンのもう1つの特徴が、高回転域を得意とする点。

レッドゾーンが始まるポイントは4800rpmとガソリンより低めながら、3000rpmをこえてからも軽快にエンジン回転数を高めていく様子には軽い驚きさえ覚える。

しかも、ディーゼルには珍しく高回転域まで高トルクを維持する特性のようで、回転数を上げれば上げるほど力強さが高まっていくのだ。

そしてこのエンジンの旨みを余すところなく引き出してくれるのが、7段デュアルクラッチ式トランスミッション(DCT)のSトロニックである。

レースの世界ではポルシェが最初に実用化したDCT(PDK)だけれど、量産モデルではアウディが世界初。

その経験が息づくSトロニックは、シフトアップするたびにタコメーターの針がストンと落ちるほどシフトが速いのに、シフトショックは皆無。

しかも、歯車でエンジンと車輪がつながっているだけあって、スロットルコントロールにダイレクトに反応してくれる点が嬉しい。

これと組み合わせられるシャシーは、やや硬めの乗り心地で路面からのコツコツというショックを伝えるけれど、ボディや足まわりがガッシリと作り込まれているのでいやな振動が尾を引くこともなく、不快な印象が少ない。

乗り心地は無骨だったけれどどこまでも頼もしく感じられた、かつてのドイツ車に近い感覚といえばわかってもらえるだろうか。

内外装の作り込みが丁寧なことを含め、新型A4は実にアウディらしいそしてドイツ車らしい作品といえる。

アウディA4アバント40 TDIクワトロSラインのスペック

価格:641万円
全長×全幅×全高:4770×1845×1435mm
ホイールベース:2825mm
車両重量:1700kg
エンジン:1968cc直4ターボ
最高出力(エンジン):190ps/3800-4200rpm
最大トルク(エンジン):40.8kg-m/1750-3000rpm
トランスミッション:7速オートマティック
燃費(WLTC):14.6km/L
駆動方式:4WD
タイヤサイズ:245/40R18

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