現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ「背の低いミニバン」絶滅? かつては定番ジャンルも今は「背の高いミニバン」ばかり… 需要の変化で何が起きたのか

ここから本文です

なぜ「背の低いミニバン」絶滅? かつては定番ジャンルも今は「背の高いミニバン」ばかり… 需要の変化で何が起きたのか

掲載 更新 36
なぜ「背の低いミニバン」絶滅? かつては定番ジャンルも今は「背の高いミニバン」ばかり… 需要の変化で何が起きたのか

■そういえばあったね… 「背の低いミニバン」なぜ絶滅?

 ミニバンと言えば、基本的に背が高くスクエアボディに3列シートを設定するモデルですが、かつては背が低いワゴンボディも存在しました。
 
 なぜ最近ではそうした背の低いミニバンは姿を消してしまったのでしょうか。

まさかの「ミニ アルファード」初公開! 全長3.5mの「軽自動車サイズ」をお披露目!

 現在ミニバンと言えば、「高い全高/スクエアボディ/3列シート/スライドドア」を備えるというスタイルで多積載&多人数乗車を特徴とするモデルです。

 日本ではミニバンジャンルとして1990年代にトヨタ「エスティマ」やホンダ「オデッセイ」が登場したことから確立されました。

 その後、現在でも2022年にミドルクラスにおいてトヨタ「ノア/ヴォクシー」、ホンダ「ステップワゴン」、日産「セレナ」がそれぞれフルモデルチェンジ。

 さらに2023年にはラージクラスのトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」のフルモデルチェンジ、レクサス「LM」の日本投入、ホンダ「オデッセイ」の日本復活と、ミニバンの話題は事欠きません。

 これらのミニバンは、前述の特徴を備えたミニバンですが、かつては「低い全高/ワゴンボディ/3列シート/ヒンジドア」というミニバンも国産メーカー各社から登場していました。

 例えば、トヨタ「イプサム」や「ウィッシュ」「パッソセッテ」「プリウスα」「マークX ZiO」 、ホンダ「ストリーム」「ジェイド」、日産「ラフェスタ」「バサラ」、スバル「トラヴィック」「エクシーガ」、三菱「グランディス」、マツダ「プレマシー」といったモデルが挙げられます。

 中でも最も後発で2015年2月に販売されたジェイドは、スポーティなステーションワゴンのスタイルでありながら、3列シート/6人乗りのミニバンとして新たなジャンルを切り開いたモデルです。

 その後、2018年5月のマイナーチェンジでは2列シート車を追加しており、追加した理由について当時のホンダは、「ジェイドのクラスは一定規模の需要があり、走りやデザインの激戦区であるステーションワゴン市場にホンダらしいスポーティなモデルとして2列仕様を投入することを決めました」と説明しています。

 しかし、2列シート車を追加した約2年後の2020年7月に、ホンダはジェイドの生産終了を公表。

 その翌2021年3月にはプリウスαが10年の歴史に幕を下ろしています。

 そして2023年現在では、プリウスα以降に背の低いヒンジドアのミニバンは姿を表していませんが、なぜなのでしょうか。

 国産メーカーAの担当者は次のように話します。

「現在の新車市場での売れ筋は、大きくいくつかのタイプに分けられます。

 ひとつは、ボディサイズが小さく扱い易い軽自動車やコンパクトカー。

 もうひとつは、背が高く居住性もそれなりにあるうえにアクティビティにも向いているSUVで最近では3列シートを備えるものもあります。

 そして、背が高く室内空間が広いスライドドアを備えた3列シートを備えたミニバンです。

 こうした中で、背の低いミニバンは『丁度良い』ように思えますが、逆に言えば中途半端な存在とも言えます。

 居住性では背の高いミニバンに劣りますし、扱い易さでは軽自動車やコンパクトカーに劣ります。

 またかつて背の高いミニバンが支持された要因として『人と荷物が積める上に走りも良い』というものもありました。

 しかし、最近ではクルマの性能自体も良くなったほか、SUVという万能タイプが定番化したこともあり、背の低いミニバンは中々需要が見込めないといった状態で、この先新たに出てくる可能性は低いと思います」

※ ※ ※

 かつては「低い全高/ワゴンボディ/3列シート/ヒンジドア」という特徴を持つミニバンが各メーカーから数多く展開されていました。

 しかし最近では「高い全高/スクエアボディ/3列シート/スライドドア」を備えるというスタイルが定番化したことで、背の低いミニバンは姿を消したままです。

 では今のユーザーはミニバンに何を求めているのでしょうか。

■いまのユーザーは「ミニバン」に何を求めているのか?

 2023年7月現在、国産メーカーがラインナップするミニバンは下記の通りです。

 ●トヨタ
 ・シエンタ
 ・ノア/ヴォクシー
 ・アルファード/ヴェルファイア
 ・グランエース
 ・ハイエースワゴン

 ●日産
 ・セレナ
 ・エルグランド
 ・キャラバン
 ・NV200バネット

 ●ホンダ
 ・フリード
 ・ステップワゴン

 ●三菱
 ・デリカD:5
 
 ●スズキ
 ・ランディ

 こうしたラインナップの中で、実際に国産ディーラーの担当者は昨今のユーザー事情について、次のように話しています。

「最近のユーザーがミニバンに求めるものは『居住性(積載性)』が大きいと思います。

 また乗り心地も向上していますので、昔ほど背が高いデメリットは感じられないことや、スクエアボディゆえに運転がし易いという声もあります」

 また別メーカーのディーラー担当者は「ミニバンでなくワゴン(2列シート車)を選ぶ人は、そのクルマが好きという理由以外の場合、駐車場の高さ制限によって選んでいることが多い」と話しています。

 またトヨタのラージクラスミニバンとなるアルファードは、いまでは「国産高級車の代名詞」と言える存在です。

 実際に最近では、かつてトヨタ「クラウン」に付けられたキャッチフレーズ「いつかはクラウン」ならぬ「いつかはアルファード」という憧れの現象が起きているほどです。

 SNSでも「アルファード欲しい、いつか乗りたい」、「将来はアルファード欲しい」「ヴォクシーの次はアルファードにステップアップしたい」というような声も見られています。

 またその他のミドルクラス以上の国産ミニバンでは内外装をより上質なものに仕立てるなど、かつての多積載&多人数乗車という需要だけではない新たなユーザー層も取り込んでいるようです。

 実際に前出とは別の国産メーカーの担当者は次のように話しています。

「ミニバンはいまや日本だけでなく、アジアなどで高級志向なモデルとしても確立しはじめています。

 またアジアでは、現在も背の低いミニバンも展開しており、都市部/郊外などの需要に応じてそれぞれ売れています」 

※ ※ ※

 日本では今後、背の低いミニバンが新たに登場する可能性は低いようですが、ミニバンジャンル自体は時代に合わせて変化し続けているようです。

こんな記事も読まれています

【ドラレコ、延長保証に特別装備も】 アルファ「ジュリア」/「ステルヴィオ」 82台の限定車
【ドラレコ、延長保証に特別装備も】 アルファ「ジュリア」/「ステルヴィオ」 82台の限定車
AUTOCAR JAPAN
スマートがワイルド&タフに進化、『コンセプト#5』市販モデルは年内発売…北京モーターショー2024
スマートがワイルド&タフに進化、『コンセプト#5』市販モデルは年内発売…北京モーターショー2024
レスポンス
スピンしまくる2代目トヨタ[MR2]は危ないクルマだった!? 2026年に復活するって本当なの!?
スピンしまくる2代目トヨタ[MR2]は危ないクルマだった!? 2026年に復活するって本当なの!?
ベストカーWeb
トーヨータイヤが小型トラック用リブタイヤ「DELVEX M135」と、小型EVトラック専用リブタイヤ「NANOENERGY M151 EV」の2モデルを発表
トーヨータイヤが小型トラック用リブタイヤ「DELVEX M135」と、小型EVトラック専用リブタイヤ「NANOENERGY M151 EV」の2モデルを発表
くるまのニュース
より安心で快適な軽バンへ!ホンダが「N-VAN」の新型モデルと特別仕様車を発売
より安心で快適な軽バンへ!ホンダが「N-VAN」の新型モデルと特別仕様車を発売
バイクのニュース
シックなブルーの350台限定車 フィアット500/500Cグランデ・ブル 同時に新グレード追加も
シックなブルーの350台限定車 フィアット500/500Cグランデ・ブル 同時に新グレード追加も
AUTOCAR JAPAN
751馬力! BMW「XM」をACシュニッツァーがカスタマイズ。史上最強のMに挑みました
751馬力! BMW「XM」をACシュニッツァーがカスタマイズ。史上最強のMに挑みました
Auto Messe Web
三菱コンパクトSUVが、もっとハンサムに変身! 改良型「ASX」は日本の町並みにもきっと似合う
三菱コンパクトSUVが、もっとハンサムに変身! 改良型「ASX」は日本の町並みにもきっと似合う
Webモーターマガジン
バニャイアが今季初の初日トップ。「異なる作戦」で表彰台を阻んだ問題解決に取り組む/第4戦スペインGP初日
バニャイアが今季初の初日トップ。「異なる作戦」で表彰台を阻んだ問題解決に取り組む/第4戦スペインGP初日
AUTOSPORT web
ペナルティで3位失うも、スプリント好走にクアルタラロ満足。決勝は「トップ10なら良い結果」
ペナルティで3位失うも、スプリント好走にクアルタラロ満足。決勝は「トップ10なら良い結果」
motorsport.com 日本版
MINIに“新顔”登場、電動クロスオーバー『エースマン』世界初公開…北京モーターショー2024
MINIに“新顔”登場、電動クロスオーバー『エースマン』世界初公開…北京モーターショー2024
レスポンス
ホンダ:中上はホンダ勢最上位の16番手。ザルコ「今日の転倒でマシンへの理解が深まった」/第4戦スペインGP初日
ホンダ:中上はホンダ勢最上位の16番手。ザルコ「今日の転倒でマシンへの理解が深まった」/第4戦スペインGP初日
AUTOSPORT web
新車のクラシックバイク、ロイヤルエンフィールドの伝統を、名を受け継いだ「ブリット350」にアクティブバイク女子、指出瑞貴が乗ってみました!!
新車のクラシックバイク、ロイヤルエンフィールドの伝統を、名を受け継いだ「ブリット350」にアクティブバイク女子、指出瑞貴が乗ってみました!!
バイクのニュース
レクサスの「“ミッドシップ”スーパーカー」!? 美麗シルエットが超カッコイイ! まさかの「ミッドエンジンLC」CGの実現性は?
レクサスの「“ミッドシップ”スーパーカー」!? 美麗シルエットが超カッコイイ! まさかの「ミッドエンジンLC」CGの実現性は?
くるまのニュース
ヤマハ:クアルタラロ、リンスともにコーナリング性能に苦戦。「ブレーキングで考えすぎてしまう」/第4戦スペインGP初日
ヤマハ:クアルタラロ、リンスともにコーナリング性能に苦戦。「ブレーキングで考えすぎてしまう」/第4戦スペインGP初日
AUTOSPORT web
スイフトのリッター24km超えも優秀だけど……ヤリスはリッター36kmで圧勝!! 燃費で選ぶコンパクトカー
スイフトのリッター24km超えも優秀だけど……ヤリスはリッター36kmで圧勝!! 燃費で選ぶコンパクトカー
ベストカーWeb
最新 i7の防弾仕様「プロテクション」へ試乗 動きが鈍重では無意味 BMWの特別プログラムを体験(2)
最新 i7の防弾仕様「プロテクション」へ試乗 動きが鈍重では無意味 BMWの特別プログラムを体験(2)
AUTOCAR JAPAN
まるで違う「装甲」性能 7シリーズ・プロテクション 爆弾15kgにも耐える! BMWの特別プログラムを体験(1)
まるで違う「装甲」性能 7シリーズ・プロテクション 爆弾15kgにも耐える! BMWの特別プログラムを体験(1)
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

36件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

239.9274.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

48.7249.8万円

中古車を検索
ジェイドの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

239.9274.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

48.7249.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村