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【手頃な市民のクルマの代表】フォルクスワーゲン・アップ1.0 廉価グレードに試乗

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【手頃な市民のクルマの代表】フォルクスワーゲン・アップ1.0 廉価グレードに試乗

市民のクルマを体現したモデル

text:Kris Culmer(クリス・カルマー)

【画像】VWアップと英国の日韓競合コンパクト 全81枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


今選べるフォルクスワーゲンの中で、最も安価なモデルがアップ。1.0Lのアップは、フォルクスワーゲン、市民のクルマという社名を体現したモデルだといえる。つまり、ヴォルフスブルクの方向性が正しいことを示す、重要なモデルの1つとなる。

8年前にアップが登場した時、英国では7995ポンド(107万円)で購入できた。だが2016年のフェイスリフトと2020年のWLTP値への対応に合わせたアップデートを経て、最も安価なアップでも、英国価格は1万2440ポンド(167万円)へと上昇している。

実用的な5ドアの場合、1万2840ポンド(173万円)とさらに上昇。インフレが価格変更の主な原因だが、理由はエントリーグレードの仕様変更によるところもある。従来はテイクアップと呼ばれるグレードがあったが、それもなくなった。

英国のすべてのアップに標準装備されるのは、レーンキープアシストと、フロントとリアのカーテンエアバッグ、スマートフォンと連動するインフォテインメントシステムなど。

ダッシュボードには、ガッチリとしたスマートフォン用クレドールも追加されている。おそらく多くのユーザーは、スマートフォンの画面を用いるはず。大きなモニターを追加し、価格を上げる必要もない。

エアコンやフロントのパワーウインドウ、アルミホイールも、もちろん装備。15インチホイールも悪くないが、価格に合わせて16インチや、アップGTIでは17インチも選べる。

小柄で軽量な期待通りに軽快に走る

エンジンは、純EVのe-アップとアップGTIを除き、英国では60psの1.0L 3気筒ガソリンエンジンのみ。日本では75psとなる。ブルーモーションと呼ばれる、アイドリング・ストップと回生ブレーキ機能を採用している。

従来は75ps版と90ps版が英国でも選べたが、おそらくWLTPテストをパスするのに苦労したのだろう。できれば、もう少し力のあるスペックに残ってほしかった。

60psの場合、目一杯頑張っても、0-100km/hの加速に要する時間は14.9秒。高速道路での合流には、少しの努力が必要となる。流れの速い英国の高速道路では、アップの肩身が少々狭いのもうなずける。

しかし、シティカーとして重要な都市部でのパフォーマンスに不足はない。1速からの加速は充分に活発で、TSIターボエンジンかと勘違いするほど。2速と3速でも、シャープに走れる。

乗り心地は感心するほど良い。継ぎ接ぎだらけの路面でも、落ち着きがなくなることはない。大きな起伏では、柔らかいサスペンションで大きく揺れることはあるけれど。

コーナリング時のボディロールも大きいが、幅185の細身のフロントタイヤが生み出すグリップ力は高く、大きな問題とはならない。ホイールベースは2420mmと短く、オーバーハングもほぼないアップ。車重は1tを切り、期待通りに軽快に走る。

都市部の速度域で走っていても、飛ぶように交差点を曲がれるのが気持ちいい。ステアリングは軽く正確で、心地いい。狭い角や駐車場でも扱いやすい。反面、速度域が上がると曖昧さが出てくる。

廉価さを感じさせないインテリア

トランスミッションは、マツダMX-5(ロードスター)のような、機械を操る喜びが得られるものではない。それでもゴムっぽい操作感はなく、価格が上のライバルモデルより扱いやすく感じる。

インテリアは、エントリーグレードであっても、安っぽさが強調されない点が好印象。ドアにはボディと同色に塗られた面積が多く、試乗車は特に明るい色味のクロスとドアパネル、ダッシュボードなどが組み合わされ、そう感じるのだろう。

ダッシュボードの化粧パネルは、キューブ状のグラフィックの入るパネルが選べる。廉価版だと感じさせる部分は、ステアリングホイールに操作スイッチがないことくらいだ。

少なくともフォルクスワーゲン・アップのメディア・システムは、立派と読んで良いだろう。5.0インチのカラーモニターは、画面を囲むボタンやダイヤルで操作する。ソフトウエアの動作は滑らかで、英国ではデジタルラジオやブルートゥース、USB接続機能に対応する。

インフォテインメント・システムとして使用する前提の、スマートフォン用クレドールは、様々な大きさに対応。高価なデバイスを安定した状態で固定できる。

フォルクスワーゲンが提供するアプリ、マップ+モアを手持ちのスマホにダウンロードすれば、電話やナビ、メディア機能など、運転に適した画面をスマートフォンに表示できる。クルマに関するヘルプ機能も備えている。

かなり使えるシティカー

フロントのシートもステアリングも調整域が広く、フォルクスワーゲン・アップは快適な着座姿勢を見つけるのも簡単。全方位に大きな窓が開けられ、直立気味の運転姿勢と相まって、視認性も極めて良い。

特に大柄な人でもない限り、リアシートにも大人2人が座れる空間がある。仲の良い友人たちと1日、ドライブを楽しめるクルマだ。荷室は広いとはいえないから、出発前に必要な荷物が全部積めるかは、確認した方が良い。

発表から10年近くが経過するフォルクスワーゲン・アップ。上昇した価格と、韓国からの優れたライバル、キア・ピカントやヒュンダイi10の登場もあり、掘り出し物感は薄れていることも確か。

しかし、都市部を移動することが中心のドライバーを、幸せにする陽気な個性は変わっていない。かなり使える、シティカーのままだ。

フォルクスワーゲン・アップ1.0 5ドアのスペック

価格:1万2840ポンド(173万円)
全長:3600mm
全幅:1645mm
全高:1504mm
最高速度:162km/h
0-100km/h加速:14.9秒
燃費:18.1km/L
CO2排出量:100g/km
乾燥重量:980kg
パワートレイン:直列3気筒999cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:60ps/5000-5550rpm
最大トルク:9.6kg-m/3000-4300rpm
ギアボックス:5速マニュアル

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みんなのコメント

5件
  • そろそろ全面改良してくれないかな、いろいろ注文はあれどある程度は割り切るのでこのクラスの車が欲しいから。
  • 「市民」という言葉を好む人のイメージ
    どちらかというとリベラル(左翼)的思想や共産主義的思想を持つ人
    NO BORDER 、国境のない世界を志向する
    天皇制にはどちらかというと反対
    式典では国旗を掲げたり国歌演奏時に起立する必要はないと考える
    ジョンレノンの「イマジン」が好き
    「地球人」や「地球市民」といった言葉も好き
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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