■日本車随一の迫力を放つ「スーパーカー」!?
日本車にはホンダ「NSX」や日産「GT-R」、レクサス「LFA」、さらに過去にはトヨタ「2000GT」など、スーパーカーと言って差し支えのない走行性能と存在感を放つ、素晴らしいクルマが数多く存在します。
しかしそれらのモデルと並べても全く見劣りしない、むしろ存在感だけで勝負すれば最もオーラを放つかもしれない究極に“スーパー”なクルマが存在しました。
それが、光岡自動車(以下、ミツオカ)がかつて販売していたスーパーカー「オロチ」です。
【画像】怖いけどカッコいい! ド派手スーパーカー「オロチ」を画像で見る(28枚)
富山県・富山市に本社を置くミツオカは、輸入車を取り扱う新車ディーラー事業や、中古車事業を手掛けるかたわら、自社の工房でクルマ作りもおこなっているユニークな会社です。
そんなミツオカが2001年に東京モーターショーに初出展し大きな反響を集め、2007年に市販化を実現した2人乗りのスーパーカーがオロチです。
ワイド&ローなボディに大蛇(オロチ)をイメージした有機的なデザイン、そしてスーパーカーの運転に慣れていない人でも安心して普段使いできるエンジンスペックを特徴とする風変わりなモデルで、スーパーカーでありながら走行性を命題としないことから、ミツオカ自ら「ファッションスーパーカー」と呼称していました。
ボディサイズは全長4560mm×全幅2035mm×全高1180mmで、ホイールベースは2600mm。往年のスーパーカーらしく、ひたすらに広い全幅と地を這うような全高の低さを際立たせた迫力あふれるプロポーションです。
ボンネットには鱗を思わせる穴の意匠が取り付けられ、ヘッドライトには爬虫類の眼のような黒い1本のアイラインが入れられるなど、モチーフの「蛇」を随所に感じられる統一感のあるディテールが施されています。
そんな個性的なデザインを身にまとうオロチは、パワートレインに最高出力233馬力・最大トルク328Nmのトヨタ製3.3リッターV型6気筒エンジンを採用し、ミッドシップに搭載。
決して非力なユニットではありませんが、見た目の印象からするとかなり“優しい”、日本の道路環境にも最適な出力のエンジンが採用され、トランスミッションも扱いやすい5速ATのみの設定となっていました。
しかし、オロチの本分はあくまでも「ファッション」であり、優先すべき「雰囲気」については一切の手が抜かれることなく、インテリアにも職人の手によって手作りされたオリジナルのデザインを採用。
ハンドルなど個々のパーツには既製品が使用されたものの、ダッシュボードやドアトリム、センターコンソールなどのあらゆる箇所が本革で丁寧に縫製された、豪華で派手な内装がしつらえてありました。
先述のように走行性能はやや大人しくとも、その迫力ある外観やゴージャスな内装だけで多く注目を集めつづけたオロチは、専用パーツでドレスアップされた「大蛇・兜(オロチ・カブト)」や「オロチ・ゴールドプレミアム」などの限定車が発売されるたびに大きな話題となりましたが、2014年に発売された5台限定の特別仕様車「ファイナル オロチ」をもって生産を終了しました。
※ ※ ※
まさに「記録よりも記憶に残るクルマ」の筆頭のような存在だったオロチは、台数限定車という希少性もあって、現在も中古車市場では新車価格を上回るプレミアム価格で流通しています。
将来、またオロチのような個性あふれるオリジナルのスーパーカーがミツオカや日本のメーカーから誕生するのか、密かに期待を込めて今後も自動車業界の動向を見ていきましょう。
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