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2024年の日本発売へ期待 ジープ・アベンジャーへ試乗 他に埋もれない個性 ハイブリッド版も

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2024年の日本発売へ期待 ジープ・アベンジャーへ試乗 他に埋もれない個性 ハイブリッド版も

2024年に日本へも正規導入予定の電動SUV

オフローダーの代名詞、ジープ・ブランドの欧州市場での売れ行きは芳しくない。SUVに絞っても、そのシェアは1%程度だという。そんな状況を打開するべく生み出されたのが、このアベンジャーだ。

【画像】他に埋もれない個性 ジープ・アベンジャー 競合クラスの電動SUVと比較 全115枚

欧州カー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれ、評判は上々。英国でも正式に販売がスタートした。2024年には、日本へも正規導入される予定にある。一方で、北米市場での販売は予定されていないという。

肝心の価格は、英国では3万5700ポンド(約646万円)から。トリムグレードは簡素化され、オプションもパッケージ化されており、店頭での選びやすさへ配慮されている。

アベンジャーはジープ史上最小モデルで、全長は4084mmしかない。既存のコンパクトモデル、ジープ・レネゲードより約150mm短い、電動SUVとなる。

パワートレインは、156psと26.4kg-mを発揮する駆動用モーターで、前輪駆動。駆動用バッテリーは51kWhの容量を持ち、航続距離は400km前後がうたわれる。急速充電能力は100kWまで。エネルギー効率に優れる、ヒートポンプ式エアコンが標準装備される。

実は、ガソリンエンジン版とハイブリッド版も、2024年に追加される予定がある。電気自動車のインフラ整備が充分に進んでいない、イタリアやスペインなどを対象とした設定だが、英国にも導入される見込み。四輪駆動の4xeも控えている。

スクエアでたくましいスタイリング

ジープ最小のボディサイズで前輪駆動でも、悪路性能はクラス最上位。オーバーハングが短く、路面へボディが接する角度は、フロント側のアプローチ・アングルで20度もある。リア側のディパーチャ・アングルは、32度と不足ない。最低地上高は200mmだ。

プラットフォームは、プジョーe-2008も採用するステランティス・グループでおなじみのeCMP2。だが、オフローダーとして改良を受けている。

ボディサイズや走行フィーリングなどが、グループ内のモデルと近似することも事実ながら、プラットフォームの共有は悪いことではない。比較的低価格でアベンジャーを提供できる理由は、その技術共有にある。ジープらしさは、薄いかもしれないが。

とはいえ、スタイリングはスクエアでたくましい。好印象な道具感が漂う。フェンダーやサイドシルは、未塗装のプラスティック製トリムで覆われている。オフローダーらしい見た目を生むだけでなく、修理も安価に済むと主張される。

インテリアも、巧みにジープ感が演出されている。小物入れが豊富に用意され、前席側でも34Lぶんの収納があるとか。ダッシュボードの助手席側には、ワイドなトレイが設けられ、サングラスやスマートフォンを置いておくのに丁度いい。

車内で存在感を示すのが、ボディカラーと同色の鮮やかな内装トリムと、標準装備になる2面の10.25インチ・モニター。1面はメーター用で、もう1面はアップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応する、インフォテインメント用だ。

想像以上に運転が楽しい 他に埋もれない個性

eCMP2を採用するモデルとしては、着座位置を低く抑えたことで、前後席とも頭上空間にはゆとりがある。定員は5名だが、リアシートに大人が3名並んで座るには、我慢が必要だろう。前席側は居心地が良い。荷室容量は355Lだ。

内装は、フィアットやプジョーとの共通点を感じ取れるものの、頻繁にクルマを乗り換えることがなければ気にならないはず。先述の鮮やかな内装トリムは、750ポンド(約14万円)のオプション。これがなくなると、少し薄味に感じられるかもしれない。

運転席へ座ると、スクエアな形状だけにボディ四隅の位置を把握しやすい。外界の視認性も良く、全幅は1776mmと全長の割にワイドだが、車線の中央を維持しやすい。

期待を込めて発進させると、アベンジャーは想像以上に運転が楽しい。数多いコンパクトSUVに埋もれない、個性がある。

スポーツカーのような一体感までは得ていないが、それは当然だろう。ジープの技術者が、欧州市場を見据えて思慮深く開発したという事実が滲み出ている。

今回始めてグレートブリテン島の一般道を走らせたが、カーブが連続する区間でも安定感は高い。パワーデリバリーはスムーズで、156psの駆動用モーターは必要とする力を不満なく発揮する。

回頭性は意欲的で、引き締まった姿勢制御と優れたグリップ力が相乗し、コーナーを安定して駆け抜けていく。ただし、ステアリングホイールの感触は人工的で、切り始めには不自然なバネ感も伴った。

悪路性能も高い 好調に売れても不思議はない

複数のドライブモードが用意され、Bモードでは回生ブレーキが強くなるが、もう少し利いても良いかもしれない。エコ・モードでは、最高出力が82psへ制限される。非力に感じられるため、出番は少なそうだ。

ノーマル・モードは108psまで開放され、スポーツ・モードで本領の156psが発揮される。ほかにスノー・モードと、サンド&マッド・モードも用意され、電子アシスト量も変化する。

試乗車は18インチ・アルミホイールを履いていたが、乗り心地も良好と呼べるレベル。ただし、速度域を問わず小さな揺れが残る。片側2車線の幹線道路でも、落ち着きは得にくいようではあった。DS 3 Eテンスの方が、滑らかさでは勝ると思う。

今回はオフロードを試せなかったものの、前回のデモ走行の限り、悪路性能はかなり高い様子。急勾配を低速で安定して走行できる、ヒルディセント・コントロールも標準で実装する。

総じて、アベンジャーの訴求力は高い。見た目は好印象だし、実用性も充分。ブランドに相応しい悪路性能を、電動パワートレインで叶えてもいる。3万5700ポンド(約646万円)の価格に見合う、上質さは薄いかもしれないが。

ジープは、これほど欧州市場に適したモデルを、過去に提供したことはなかった。ディーラー網の制限はあるとはいえ、アベンジャーが英国で好調に売れても不思議ではない。

次世代のジープをリードするモデルだと、同社は主張する。小さな電動SUVが、力強く牽引してくれるのではないだろうか。

◯:力強く新鮮なスタイリング 不足ない航続距離 市街地での扱いやすさ
△:少々硬めの乗り心地 狭めの後部座席と荷室

ジープ・アベンジャー(英国仕様)のスペック

英国価格:3万5700ポンド(約646万円)
全長:4084mm
全幅:1776mm
全高:1528mm
最高速度:149km/h
0-100km/h加速:9.0秒
航続距離:384-408km
電費:6.2km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:1536kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:51.0kWh(実容量)
急速充電能力:100kW(DC)
最高出力:156ps
最大トルク:26.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

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みんなのコメント

3件
  • pow********
    かっこいいし欲しいけど、高くて買えない。値段設定が異常。
  • 長寿・愛・自立
    一応レクサスRX350Fスポーツ(ホワイトノーヴァ・赤内装・パノラマルーフ付き)乗りの私に言わせると、こういう街乗りSUV(しかもEV)をわざわざジープで買う意味ある?というのが正直な感想。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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