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スーパーカーブームの陰に隠れた名車マセラティ「ボーラ」が1700万円弱! いまならまだ夢じゃない

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スーパーカーブームの陰に隠れた名車マセラティ「ボーラ」が1700万円弱! いまならまだ夢じゃない

新車時代の保護ビニールさえ残る超絶オリジナルコンディション

北米フロリダ州シー諸島のアメリア島にて、RMサザビーズの北米本社が開催した第24回目“AMELIA ISLAND”オークションでは、フェラーリに代表されるクラシック・スーパーカーの数々が続々と落札されていったが、そのいっぽうで異彩を放つ魅力的な出品車両も散見された。今回は、個性派オークション出品車両の一例として1973年型のマセラティ・ボーラ4.9をご紹介したい。

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ライバルよりもちょっと地味? でも先進技術のかたまりだったボーラ

1971年に発表されたボーラは、マセラティ初のリアミッドシップ・エンジン搭載車であり、マセラティ初の完全独立型ダブルウィッシュボーン式サスペンションを搭載するなど、100年以上におよぶ歴史を誇るマセラティの業績を象徴するようなモデルだった。

ボディデザインを担当したのは、ギア社在籍時代にマセラティの歴史的名作“ギブリ”を手掛けたのち、まだイタルデザイン社を興して間もない時期にあった巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロ氏。彼が1960年代から手掛けてきた、一連のミッドシップ車コンセプトを多角的にとらえたスタイリングは、時を同じくして登場した世界的スーパースター“ランボルギーニ・クンタッチ(カウンタック)”のようなエキサイティングさにこそ欠けるものの、ステンレススチール製のルーフパネルなどが独特のエレガンスを表現する、均整の取れたデザインを実現していた。

ミッドシップに縦置きされるパワーユニットとして選ばれたのは、1950年代末の純レーシングスポーツ“450S”用として生を受け、のちにマセラティ初のミッドシップ・レーシングカー“バードケージ”ことティーポ63などにも搭載されたV型8気筒4カムシャフト。排気量は4.7リッターでスタートするも、のちに4.9リッターも追加された。

ライバルであるカウンタックやフェラーリBBが12気筒エンジンを誇示していたのに対して、ボーラはV8。しかしそのパフォーマンスはホンモノで、330psを発生するボーラ4.9は、頑丈なZF製5速トランスミッションとの組み合わせにより、マセラティ側では100km/hまで7秒以内で加速し、280km/hの最高速度を本当に出すことができると主張していた。

また、スチール製モノコックシャシーに直接取りつけられたV8は、重量配分や安全性、剛性も考慮した設計とされていたことも、現在では高く評価されている。フロントフードの下には、カーペットが敷かれたラゲッジスペースが設けられ、防音・防熱対策も万全。この時代のスーパーカーとしては、もっとも実用的なモデルでもあった。

そして何よりボーラの独創性を物語っていたのは、シトロエン製のハイドロニューマチック式コントロールシステムを大胆に導入していたこと。ベンチレーテッド式ディスクブレーキを駆動するだけでなく、ペダルボックスやドライビングシートのポジション、ヘッドライト、左右ウインドウをボタンひとつで油圧作動できる優れものだったのだ。

アメリカ仕様のボーラは、なかなかリーズナブル?

このほど“AMELIA ISLAND”オークションに出品されたボーラは、4.9リッターエンジンを搭載した275台(ほかに250台説もあり)のうちの1台。1973年10月3日にモデナのマセラティ工場で完成し、その後カリフォルニア州ロサンゼルスにあるマセラティの西海岸地区正規代理店“マセラティ・オートモビル”社に新車として納車された。

添付されるビルドインフォメーション(生産記録)によると、このクルマは新車として作られた時のカラーコンビネーションである“ジャッロ(黄色)”のボディペイントに、贅沢にトリミングされたブラックのコノリーレザーによるコックピットが、双方ともに正しく残されていることがわかる。

現在このボーラ4.9には、カンパニョーロ製の純正アロイ・ホイール(アロイ製センターキャップは取り外し可能)と指定サイズのピレリ“P4000”タイヤが装着されている。

1973年後半に製造されたこのボーラは、当時アメリカ国内で製作された、のちの“5マイルバンパー”に比べるとスリムながら、本国仕様よりは厳めしいクロームバンパーと、純正指定されていたヴィタローニ社製“カリフォルニア”ミラーを運転席側に装備している。室内にはイタリア車の定番ヴェリア・ボレッティ社製のメーターに加えて、1970-80年代にアメリカで流行していた“パスポート・レーダーシステム”も装備されている。

2013年には、オクラホマ州オクラホマシティの“サンチアゴ・スポーツ&クラシックス”社のスペシャリストが、このマセラティのメカニズム系とコスメティックのレストアを320時間以上かけて行っている。添付ファイルの作業概要が示しているように、サスペンションやドライブトレイン、複雑で高度な油圧システムには特に注意が払われたようだ。

昨今、ランボルギーニやフェラーリの70sクラシック・スーパーカーが軒並み高騰しているのに対して、マセラティ・ボーラは派手なアイコン的要素がいささか劣ることから、比較的穏当なマーケット市況にある。それでも、著名なデザイナーによるコーチワークと技術的進歩を体現した、目の肥えた愛好家にとっては貴重なモデルともいえるだろう。

昨2022年1月の“ARIZONA”では、同じく北米仕様でより大きな5マイルバンパーを持つボーラが26万8800 USドル、日本円に換算すると約3100万円で落札される事例もあったようだが、そちらは走行距離が1300km足らずで、新車時代の保護ビニールさえ残る超絶オリジナルコンディション。ある意味、奇跡的な個体だった。そのいっぽうで、今回のオークション出品車両は充分な修復とサービスを享受しているとはいえ、時と走行距離を順当に重ねた個体であるのは間違いない。

それらの要素が不利に働いてしまったのだろうか、競売では12万6000ドル(邦貨換算約1680万円)という、比較的なリーズナブルな価格で落札されることになったのである。

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みんなのコメント

17件
  • たとえ一生を棒に振ってでも、手に入れるべき個体だ
    早速、あした退職金の前借りを社長に申出しよう
  • >シトロエン製のハイドロニューマチック式

    ハイドロのスーパーカーなんて億万長者以外は絶対に買ってはいけない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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