■名前を聞いても思い出せないほどマイナーなクルマ
大ヒットしたクルマや、近年、人気が再燃して話題になったようなクルマは、車名を聞けばどんなデザインのクルマか思い出せます。一方で、車名を聞いても姿かたちが思い出せないようなクルマも存在。
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そうしたモデルの多くは、人気となることなく短命で終わったり、販売台数が少なくて路上で見る機会が少ない、いわゆるマイナーなクルマといえます。
そこで、忘却の彼方に消え去ってしまったようなマイナーなモデルを、5車種ピックアップして紹介します。
●日産「バサラ」
1990年代はミニバンが一気に普及した時代で、各メーカーから次々と新型ミニバンが登場しました。
そうした背景から、日産は1999年に、前年に発売されていた「プレサージュ」と主要なコンポーネンツを共有するミニバンの「バサラ」を発売。
バサラとプレサージュとの相違点はフロントグリルとテールランプくらいですが、バサラはアメリカのミニバンを思わせるようなデザインです。
トップグレードには最高出力220馬力を発揮する3リッターV型6気筒DOHCエンジンを搭載するなど、高級路線でした。
バサラという車名は「ダイヤモンド」を意味するサンスクリット語の「ヴァジャラ」が伝達されて生まれた日本語「婆娑羅」で、ダイナミックで輝くような存在感を表現したといいます。
そんな荘厳な名前のバサラでしたが、当時、日産は「セレナ」「エルグランド」「プレーリー」などミニバンのラインナップが過剰だったため、徐々に車種整理が進み、2003年にはプレサージュと統合されて販売は終了します。
さらにプレサージュもエルグランドと統合され、2009年には販売終了となりました。
●三菱「カリスマ」
現在、三菱はルノー×日産×三菱アライアンスの一員となっていますが、これまでもクライスラーやPSAグループなどと提携して、クルマの開発をおこなってきました。
1995年には欧州で、三菱とボルボ、オランダ政府が共同で設立した「ネッドカー」社で製造された三菱「カリスマ」を発売。同じ工場で作られたボルボ「S40」とプラットフォームを共有した兄弟車でもあります。
カリスマは欧州で高い評価を受け、1996年には1.8リッターガソリンエンジンを搭載するベーシックな4ドアセダンとして、日本へ輸入販売されました。
なお、カリスマという車名の由来は、ギリシア語で非凡な能力を意味する「Kharisma」をもとに、「CAR」を合わせた造語である「CARISMA」で、日本では人々を引きつける強い魅力を持つ人物を「○○のカリスマ」と呼ぶなど、かつては流行語のように使われました。
しかし、カリスマの販売は好調とはいえず、2001年に日本での販売を終了。現存数も少なく、実際にはカリスマになれなかったクルマです。
●トヨタ「オーパ」
2000年に発売されたトヨタ「オーパ」は、ミニバンでも乗用車でもない、新ジャンルの次世代ミディアムカーという触れ込みでデビュー。実際には5ドアハッチバックのショートワゴンタイプに属するボディです。
発売時は最高出力136馬力の1.8リッター直列4気筒エンジン搭載車のみでしたが、2か月遅れでトヨタ初のCVT(スーパーCVT)を組み合わせた152馬力を発揮する2リッター直列4気筒エンジン搭載車を追加ラインナップし、1.8リッターエンジン搭載車より低燃費を実現。
セダンのような運転感覚ながら、コラムシフト採用によりウォークスルーを可能とした前席や、スライド可能な後席と巧みなシートアレンジで生まれるフラットスペースなど、ハッチバックのようでありミニバンのようでもありました。
広い室内空間と使い勝手の良さで広いユーザー層に受け入れられると目論んでいたようですが、中途半端さが感じ取れてしまい話題になることも少なく、発売から5年で生産終了となってしまいました。
■マツダの勢いがスゴかった頃に発売されたモデルとは
●オートザム(マツダ)「レビュー」
1980年代の終わり頃からマツダは車種の拡充と販売増を目的に、5つの販売チャネルを展開。そのひとつであるオートザムから1990年に発売されたのが、コンパクトセダンの「レビュー」です。
一見するとハッチバックのような外観ですが、リアには容量280リッターの独立したトランクスペースを持っています。
デザインは丸みを強調したキュートなルックスを採用しながら、身長180cmくらいの大人でも頭上に余裕があるトールスタイルです。
マツダが生産していたフォード「フェスティバ」とコンポーネンツを共有し、エンジンは1.3リッターと1.5リッターの直列4気筒SOHCを搭載。トランスミッションは5速MTのほか1.3リッター車には3速AT、1.5リッター車には4速ATが設定されました。
また、上級グレードには前後どちらからも開く画期的な電動キャンバストップが設定され、リアシートからも開閉操作が可能でした。
価格は約90万円からと安価なコンパクトセダンとして競合するクルマは少なかったものの、販売的には良好とはいえず、1998年に「デミオ」に統合するかたちで販売を終了しました。
●スズキ「エリオ/エリオセダン」
現在、スズキの登録車で主力車種となっている「スイフト」のご先祖は、1983年に初代が発売された「カルタス」で、さらにカルタスから分派したのが、2001年にデビューした「エリオ」です。
エリオは取りまわしが良好なコンパクトボディに、高い天井と足元が広いゆとりあるパッケージングが特徴の5ドアハッチバックで、空気の流れをイメージしたモノシェイプフォルムを採用していたことから「AERIO」と名付けられました。
遅れて登場した4ドアの「エリオセダン」はクラス最大容量の独立したトランクルームを実現するなど、使い勝手の良さを重視しています。
搭載されたエンジンは最高出力110馬力の1.5リッター直列4気筒DOHCで、駆動方式はFFとフルタイム4WDが用意されていました。
2003年のマイナーチェンジでは、エリオ/エリオセダンともに125馬力を発揮する1.8リッターエンジン搭載車を追加ラインナップ。1.5リッター車は5ナンバー登録ですが、1.8リッターモデルはフェンダー部にモールが追加されたことで全幅が広がり、スズキ初の3ナンバー登録車になりました。
スズキの意欲作だったエリオ/エリオセダンですがヒットしたとはいえず、2006年にはエリオが、2007年にはエリオセダンが生産を終了。実質的な後継車は「SX4」です。
※ ※ ※
今回紹介した5台は「本当にマイナー車なのか?」という人もいると思いますが、実際に路上で走っている姿を見ることは稀です。
比較的最近のクルマながら中古車でもほとんど流通していないため、現存数も極端に少ないと予想されます。
どのモデルも特徴があり良い点もあるのですが、残念ながらヒットせず、いまでは覚えている人も少ないのではないでしょうか。
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