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【チャーミングな元祖SUV】ジープCJ-7 トヨタ・ランドクルーザー FJ40 2台を乗り比べ 前編

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【チャーミングな元祖SUV】ジープCJ-7 トヨタ・ランドクルーザー FJ40 2台を乗り比べ 前編

コレクターズ・アイテムと化したオフローダー

text:Jack Phillips(ジャック・フィリップス)

【画像】ジープCJ-7とトヨタ・ランドクルーザー FJ40 現行モデルも 全86枚

photo:Max Edleston(マックス・エドレストン)

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


箱に入ったままの古いミニカーのように、現存する貴重なジープCJ-7とトヨタ・ランドクルーザー FJ40は、英国では大人から特別扱いを受けている。メーカーが開発当初に意図していた利用シーンとは、裏腹なほど。

軍事的な目的のオフローダーとして誕生した2台は、英国ではすっかりコレクターズ・アイテムと化した。最新のトヨタ・ハイラックスや三菱L200トライトンが世界中の荒野で汗水を流す中、居心地のいいガレージで余生を過ごしている例も多い。

第二次大戦後の日本で過酷な任務に従事していたトヨタの子孫が、現在では雨に濡れることさえ嫌う。雪など、もってのほか。オークションで高値がつくような、極めて状態の良い例の場合だが。

CJ-7以上にFJ40は珍しいが、その価値を理解する英国人も少なくない。実用的な日本生まれのオフローダーには、英国では数の多いランドローバーにはない、特別なクールさが備わっているからだろう。

ジープCJ-7も、日常的に乗れる1台を手に入れたいなら、中古車サイトへ追加されるのを祈りながら待つことになる。純正状態に近い例が見つかれば、またとない幸運に恵まれた証拠。FJ40もCJ-7も、愛好家には垂涎の的なのだ。

認知度としてはCJ-7、というよりジープの方が高く、自動車業界のホッチキスやセロテープみたいなもの。クルマへあまり感心を持たない人にとって、オフローダーのカテゴリーを表現する言葉が、ジープだったりする。

初代ジープとほぼ同じ見た目のCJ-7

今回ご登場願ったCJ-7は1982年式だが、その隣に第二次大戦時に戦っていたウイリス・ジープを並べてみると面白い。基本的なカタチはほぼ同じ。ユーザーがオプションを付けたかどうか、くらいの差しか感じられないかもしれない。

装飾的な処理のない姿は、自動車として求められる機能をそのまま表している。初期の設計から見事に目的へ合致しており、モデルチェンジは必要とされなかった。

1976年に登場した、より民主化されたCJ-7は、先に登場していたロング・ホイールベースのCJ-6より小さい。CJ-5より大きかったが、初代に通じる雰囲気は残されていた。

CJ-7ではホイーベースがCJ-5から10インチ(254mm)伸ばされ、オプションのハイドラマティックと呼ばれる滑らかなATの搭載も可能。クワドラトラックと名付けられた、四輪駆動システムを組める空間も獲得していた。

駆動力が必要なアスクルへV8エンジンのパワーを分配することが可能で、アメリカのオフロードモデルとして高い評価を集めた。ただし、オレンジがかったブロンズカラーのCJ-7の場合、内容はより質素なもの。

低くフラットなフロントノーズに積まれるエンジンは、直列4気筒。トランスミッションも、基本に立ち返る4速MTだ。アメリカン・オフローダーとして、多くの人は少なくとも6気筒を期待するかもしれない。

本来、258cu.in.(4.2L)の直列6気筒が標準仕様。AMC製の304cu.in.(5.0L)V8エンジンも、オプションで選べた。そこへ1980年にポンティアックが提供したのが、151cu.in.(2.5L)のアイアン・デュークと呼ばれる4気筒だった。

量産自動車メーカーへ飛躍させたFJ40

CJ-7では、1950年代から活躍する4気筒ジープをリスペクトするように、ハリケーン・ユニットと呼ばれた。当時の4ホイラー誌には、「第二次大戦では4気筒のジープが勝しました。このジープも、どんな要求にも対応できます」。と表現されている。

しかし4気筒エンジンのジープは、多くがV8へ載せ替えられており、現存数は少ない。新車当時の北米価格は、CJ-5より500ドル高い6507ドルだった。

1980年代に入ると、ジープは風光明媚な海岸線や山岳地帯に姿を表すようになる。カリフォルニアのビーチサイドでは、ルーフとドアを外し、男女4人がクルージングする様子が定番となった。春が来ると、多くのCJ-7が街へ繰り出した。

CJ-7は、ハリウッドの陽気なB級映画にもしばしば姿を見せた。軍事モノではなく。ジープは、マンハッタンのネオンストリートやサンセット大通りを流す、セックスシンボルになったと、4ホイラー誌が不快そうに取り上げるほど。

他方、日本生まれのFJ40は、そこまで羽目は外していない。ハリウッドとは縁がなく、重くフラットなスチールボディの取引価格を、健全な範囲に留めている。

ジープと同様、ランドクルーザーも軍事的な目的が起源。トヨタを量産自動車メーカーへ飛躍させる、大きな役割を果たした。

1950年代初頭、トヨタは韓国へ駐留する連合軍向けに開発したオフローダーの製造契約を逃し、ランドクルーザーとして発売されることになる。その結果、現在でも名を残す、トヨタで最も長寿命のモデルになった。

見た目で年式を当てることはほぼ不可能

FJ40のフラットなボディの内側にあるのは、基本的にはトヨタ・ジープBJ。1951年に登場したモデルで、エンジンは3.4LのBシリーズと呼ばれる直列6気筒を積んでいた。

ジープBJは標高924mの京都・愛宕山へ頭頂し、富士山の6合目までも走破。しかし、大口契約は三菱が生産するB-85と呼ばれるウイリス・ジープへ流れた。

1955年に「ジープ」は商標登録され、トヨタはランドクルーザーへ改名。BJ20型では、フロントグリルに並ぶ丸いヘッドライトというスタイルが完成している。BJ型はFJ型へ展開し、ボンネットは緩くカーブを描くように。フェンダーもボディに馴染んでいる。

ランドクルーザーを世界に知らしめたのが、第3世代といえる1960年のFJ40型。ジープやランドローバーと同じくオフロード走行が得意で、トヨタの輸出市場で実力を示した。

FJ40ではHシリーズのディーゼルと、Fシリーズのガソリン6気筒に、4気筒ディーゼルのBシリーズが追加されている。それでも、見た目は当初から大きく変化していない。

ボディタイプは複数が用意され、長短2種類のホイールベースに、ハードトップとソフトトップ、ピックアップにスイングドアのワゴン、さらに一風変わったFJ55と呼ばれる長いステーションワゴンまで多様。多くの目的に合致することができた。

FJ40の生産は長く続けられたが、CJ-7と同様に設計が煮詰められ、洗練度や耐久性は向上している。そのため専門家でない限り、見た目から年式を当てることはほぼ不可能。ランボルギーニ・ミウラやローバー・ミニとは別の意味で、タイムレスな存在だ。

この続きは後編にて。

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