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プリウスやi7が加わっても良かった! 鮮烈さが薄い? 2024年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー候補たち(2)

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プリウスやi7が加わっても良かった! 鮮烈さが薄い? 2024年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー候補たち(2)

i7とi4を見事には融合できなかった

マット・ソーンダース(以下:MS):「続いて2台のサルーン。BMW i5とBYDシール、どちらも魅力的ですが、惜しい部分もあります。例えばi5は、動的に活発で洗練されていながら、期待ほど電動パワートレインが秀でているわけではない」

【画像】2024年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー候補 BMW i5にトヨタC-HR、ボルボEX30ほか 全204枚

「さらに80km、航続距離は長く欲しい。パッケージングも、少し改善が必要でしょう」

マーク・ティショー(MT):「自分はBMW i7が好きなので、(2024年の欧州COTYへ)ノミネートされなかったのが残念かな。最近はi7を、BMWの洗練性の基準にしています。i4も、操縦性のバランスとドライバーとの一体感で、かなり好きです」

「どちらも優れた電気自動車。i5は、この2つを見事に融合させるのでは、と期待していました。ところが、そうではない。3シリーズと4シリーズがサイズを拡大する中で、5シリーズの居場所がぼやけているような気がします」

「BYDシールはその逆。乗れば乗るほど気に入ります。ブランド名やモデル名を気にしなければ、テスラ・モデル3の対立候補として、かなりの訴求力を持つと思います。ゲームチェンジャーではないにしても、現在の市場を奪える強みはあります」

「シールを1週間お借りした時に、ポルシェ・タイカンのオーナーへ見せたんです。彼はスタイリングやインテリアの水準、航続距離に感心していましたよ」

トヨタ・プリウスが加わっていれば

MS:「確かにシールの内装は素晴らしい。車内空間も広い。タイカンやテスラと同等の急速充電能力はないとしても、エネルギー効率は高い。走りも立派です。ただし、少し派生的なポジションすぎるかな」

「明確な理由でシールを選ぶというより、モデル3に馴染めなかった人を補完するようなクルマ、という印象です。でも、運転しやすく快適。装備も充実しているし、バッテリーEVとしての価値は高い。もっと酷いモデルが実際にありますよ」

「最後に、ボルボEX30とトヨタC-HR。欲しいと感じる人が多いであろう、コンパクト・クロスオーバーです。片方はお手頃な価格のバッテリーEVで、他方は欧州でもヒットしたハイブリッドの最新版。欧州COTYが、評価すべきクルマだといえます」

「わたしは、C-HRの方が良いと思います。現実世界で。シンプルで馴染みやすい。燃費を伸ばすのも難しくない。スタイリングも個性的で面白い」

MT:「C-HRの英国価格は、3万1290ポンド(約582万円)から。5000ポンド(約93万円)安ければ、自分は(欧州COTYでの)投票ポイントをもっと与えたでしょう。製品のポジショニングは巧妙。でも価格を考えると、車内が狭すぎます」

「期待するであろう、大人4名分の広さがない。トヨタ・プリウスが加わっていれば良かったのに。プリウスは、同社が発売したここ数年のモデルで、最高のハイブリッド車ではないでしょうか」

「英国での販売も決まりました。運転しやすく高効率で、賢い選択になるでしょう」

際立つとはいえないノミネートも多い

MT:「EX30は、運転すると弱点が見えてきます。トラクション不足は、ちょっと前世代的。本当に良いクルマへ仕上がりそうに思えるのですが、準備が整う前に、少し急ぎすぎた印象です。フェイスリフトを待ちたい」

MS:「インフォテインメント用タッチモニターの使い勝手は、事前に聞いていたほど気になりませんでした。でも、メーターパネルを省くなら、ヘッドアップ・ディスプレイが欲しい。前方から目線をそらすと、ドライバー監視機能の警報が鳴りますからね」

「現状では、アラームを鳴らさずに走行速度を確認する手段がない。残念です」

「動的な性能では、シングルモーター版の一体感が高いことへ期待したい。今回試乗したツインモーター版はパワフルすぎて、グリップ力や姿勢制御が追いついていません」

「わたしは、ボルボへスポーティさを強くは期待しません。反面、落ち着いた安全志向のドライビング体験を与えられるはず。正直なところ、自分なら欧州COTYの候補には選ばないと思います・・」

MT:「俯瞰してみると、キアEV9とルノー・セニック E-テックは、それぞれの分野で秀でているようです。他方、充分な内容を備えつつ、際立つとはいえないノミネートも多い。複雑な状況かもしれません」

「満点に値するモデルはないように思いますが、得点を与える価値がないモデルもない。今回はプジョーE-3008を確かめられませんでしたが、セニック E-テックの動的な特性を評価する人と、E-3008のインテリアを評価する人で、二分されそうです」

強い印象を残したEV9とセニック E-テック

欧州COTYでは、審査員1人に25点が与えられ、1台に割り振れる点数は最大10点。明確なトップを1台選び、少なくとも5台に、配点しなければならないというルールがある。

正直なところ、EV9とセニック E-テックの2台が、今回の比較試乗で最も強い印象を残すとは想像していなかった。つまり、2023年に登場した新モデルが、いずれも鮮烈な印象を与えるものとはいえなかった、とも考えられる。

しかし、7台それぞれに明らかな強みはある。ターゲット層は大きく異なるはずだが、それぞれの特長へ強く惹かれたことも事実だ。

これをお読みになっている頃には、2024年の欧州COTYが発表されているはず。果たして、ベストに選ばれたモデルはどれだったのか?

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