「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、フォード エクスプローラーだ。
フォード エクスプローラー(2012年:車種追加)
昨秋(編集部註:2011年秋)に日本デビューを果たした、5代目にフルモデルチェンジされたフォードのミドルクラス(日本ではLクラスに思えるが)SUV、エクスプローラー。それからまだ半年も経っていないが、新たに「エコブースト(EcoBoost)」と呼ばれるモデルが加わった、なんと2Lの直4ターボエンジンを搭載し、燃費と性能の両立を目指しているというのだ。
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先代の4代目から、スタイリングやパワートレーンなどを大きく変更させて我々を驚かせた現行エクスプローラーだが、再び驚かされる日が訪れた。車両重量は2トンを超える大きな車体に搭載されるのは、「エコブースト」と名づけられた排気量わずか2Lの直4 直噴ターボエンジン。
ついにダウンサイジングの波は、このようなアメリカンSUVにまで押し寄せてきたのかと感心しつつ、とてもマトモに走りそうにはないなと思わされたのが本音。だが、スペック上では最大トルク値は3.5L V6モデルの345Nmを上回る366Nmを発生し、しかも発生回転数もV6の4000rpmより低い3000rpmとなっている。
まずは、走ってみることにしよう。すると、乗る前に感じていた不安は杞憂だったことはすぐに分かった。中間加速における力強さはV6モデルをしのいでおり、周囲のクルマの流れに乗るまでの所要時間は確実に短い。エコブーストの音質も直4らしからぬ重厚なサウンドで、安っぽい感じがしないところもいい。
一般的に、最近多く登場してきたダウンサイジングターボは、小排気量であるがゆえに過給が十分でない低速域では扱いにくいものが少なくない。だが、このエコブーストはダウンサイジングとはいえ排気量は2Lあるから、そのあたりのセッティングも巧く仕上げられているようだ。
駆動方式はFFのみだがオンロード中心なら十分
ちなみに、駆動方式はFFのみとなる。新型エクスプローラーはトーラス(日本未導入)などと同じ横置きエンジンのプラットフォームを採用しているから、2WDの場合はFRではなくFFとなる。4WDにこだわりたい人はV6モデルを選ぶほかないわけだが、V6モデルでもほとんどのシチュエーションではFFで走行しているわけだし、ラフロードのハードな走りをする機会が多くない限りは、FFのみでも問題はないと思われる。
新型エクスプローラーはオンロードでの走りの良さもウリのひとつだけに、乗り心地は快適そのものだ。車両重量はV6モデルの2130kgに大して100kg以上も軽い2020kg。そのおかげで、V6モデルでも大きさのわりにドライブフィールは軽快だったが、その軽快さがさらにいくぶんか増しているようだ。
グレードとしてはエントリー的な位置づけのXLTとなるので、上級グレードのリミテッドほど快適装備は充実してはいないが、V6モデルのXLTでは設定されていない本革シートが標準装備される点がうれしい。インテリアのクオリティは先代より上質なレベルにアップしているし、3列シート7人乗りの室内空間は3列目まで広々としている。しかもラゲッジスペースの容量も十分だ。
こうした新型エクスプローラーの強みに加えて、エコブースト搭載によって燃費も性能も向上させた。そして何よりも、アメリカンSUVらしい大らかなスタイリングは日本でも人気を集めている。日本製のLLクラス ミニバンに飽き気味の人たちには、ぜひとも試してもらいたい要注目の1台といえそうだ。
フォード エクスプローラー XLT エコブースト 主要諸元
●全長×全幅×全高:5020×2000×1805mm
●ホイールベース:2860mm
●車両重量:2020kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1998cc
●最高出力:179kW(243ps)/5500rpm
●最大トルク:366Nm(37.3kgm)/1750rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・70L
●10・15モード燃費:8.1km/L
●タイヤサイズ:245/60R18
●当時の車両価格(税込):440万円
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